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渡辺美里の「マイ・レヴォリューション」走り出した涼子の物語
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photo:SonyMusic  

渡辺美里の「My Revolution」。

この曲がリリースされた1986年1月。
中学3年生の聡史と、ひとつ年下の涼子が付き合い始めたのはちょうどこの頃だった。

2人が通う中学校は、横浜の港の近くにあるせいか、あか抜けた印象の生徒が多かった。中でも、制服を品よく着崩し、端正な顔立ちの聡史と涼子は特に目立つ存在だった。

聡史は高校生になると、受験を控えた涼子を気遣い、16歳の誕生日を迎えるとすぐに小型バイクの免許を取得。塾の送迎などで、2人の時間を埋めていたのだった。

翌年、晴れて女子高校生となった涼子と聡史の行動範囲は一気に広がり、辻堂や葉山などの海岸まで足を延ばすようになっていった。

学校での涼子はというと、部活に入らず、どこのグループにも属さず、いつも一人で行動していることが多かった。それでも、高2になる頃には、学食で頻繁に顔を合わせる数人には、ポツリポツリとプライベートなことを話すようになっていた。私はそのうちのひとりだった。


時は流れ、高3の冬のことだった。
涼子は、3学期から突然学校に来なくなった。1週間が経過しても欠席のままだった。

「こんなに休むなんて、何かあったに違いない。」

電話に出てもらえず、迷惑かとも思ったが、直接家を訪ねてみることにした。

・・・ピンポーン。

緊張しながらチャイムを鳴らす。
涼子によく似たお母さんが出迎えてくれた。しかし、その表情は暗く沈んでいて、私は涼子に会うのが怖くなった。

部屋の扉をノックする手が震える。
か細い声で返事があり、恐る恐る扉を開けると、小さなテーブルの前で膝をかかえて、ぼんやりと座っている涼子がいた。―――散らかっている部屋。きっと何も手につかないのだろう。

彼女の隣に座り、じっと彼女が話し出すときを待つ。


どのくらいの時間が経った頃だろう・・

「クリスマスの前日にね・・・」  

そう話し始めた途端、彼女の目に大粒の涙が溢れ出した。


「いつものようにバイクで海まで出掛けてね、帰りに自宅の前まで送ってもらったの・・・ 

玄関の前で彼が走り去る姿を見送り、見えなくなったところで、私は家の中に入ったの・・ 

そのあと、、ほんのすぐ後にね、彼は事故に遭い・・・・ 亡くなってしまったの・・・・・」 


遠出したので疲れていたのではないか、
そのまま返さずに家で休んでもらっていれば、事故に遭わなかったのではないか、

亡くなったのは自分のせいなのではないか・・ と、泣き崩れ、深く傷ついた彼女の心の前に、私は為す術がなかった。


―――あの事故から2年が経過した頃、彼女は明るさを取り戻し、以前よりも積極的で、口調や態度がとても強くなった。事故のことには一切触れなくなり、意図的に封印しているようだった。その変貌の様子が、逆に強がっているようにも見え、心の奥底にある深い悲しみを感じずにはいられなかった。

聡史と涼子が付き合い始めたときにリリースされたこの曲の冒頭に、2人の未来を暗示していたかのような歌詞が続く。


 さよなら Sweet Pain
 頬づえついていた夜は 昨日で終わるよ
 確かめたい
 君に逢えた意味を 暗闇の中 目を開いて

 大地のすみに 倒れたバイク
 壁の落書き 見上げてるよ
 きっと本当の悲しみなんて
 自分ひとりで癒すものさ


そして中盤では、彼女の変化と重なる歌詞が続く。


 夢を追いかけるなら
 たやすく泣いちゃだめさ
 君が教えてくれた
 My Fears My Dreams 走り出せる


作詞を担当した川村真澄は、渡辺美里本人と直接会話したときに、

「ひとりでも強く自分でやっていける女の子」
「夜の街をひとりで走り抜けていくような、少し寂しさを背負った感じ」

とのイメージを受けて、この曲を作詞したという。

高校の同級生だった涼子もまた、まさに同じ印象を受ける人だった。

2017.06.10
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