進化を続ける音楽家 小室哲哉のイマ、TM NETWORK も再起動！

TM NETWORK再起動、小室哲哉、完全復帰！

10月１日、“TM NETWORK再起動” というビッグニュースが飛び込んできた。同月９日には３回シリーズのライブ映像『How Do You Crash It? one』も配信された。

TM NETWORKが新しい幕を開くということは、司令塔・小室哲哉の完全復帰を意味する。小室哲哉が表舞台に帰ってくる―― いつか必ず戻って来てくれると信じて待ち続けたFANKSたちにとって、これほど嬉しい日はなかった。

ここで少し時間を戻し、振り返ってみたい。

2020年10月、小室の姿は香川県の父母ヶ浜で開かれた芸術祭のオープニングにあった。浜辺に組まれたステージで鍵盤に向かい、「My Revolution」、「SWEET 19 BLUES」、「DEPARTURES」、「YOU ARE THE ONE」など名曲たちを惜しみなく披露していく。沈みゆく夕日の美しさと海辺の波音をバックに、小室が無心で鍵盤に向かう姿には “ぐっ” ときた。そして改めて彼が作った楽曲の普遍的な素晴らしさに心が震えた。「こんなにも音楽と一心同体の人から誰が音楽を奪うことができるだろうか。そんな権利は誰にもないはずだ」と配信映像を見ながら強く思った。そして同時に “今の小室哲哉の音” の変化と新しさに衝撃を覚えた。

“小室サウンド” といえば、誰もが80年代、90年代のダンサブルで煌びやかな楽曲たちを思い出すだろう。けれど、この日の鍵盤の音色、フレーズ、アレンジのすべては今までのそれとはまったく違う大人のフレーバーがした。

新しい小室サウンドはジャズ＆クラシカル

今年２月、ニコ生の特別番組に登場した際、サプライズ披露された「RUNNING TO HORIZON Ad lib Piano Mix」もそうだった。1989年にリリースされて『シティーハンター３』のオープニング曲としてもお馴染みの原曲とはイメージが一変。ジャズのテイストがふんだんに盛り込まれたクールなアレンジに視聴者たちのテンションも盛り上がりを見せた。その後、“一夜だけではもったいない” “もっと聴きたい” という声に後押しされる形で、「RUNNING TO HORIZON 206 Mix」というタイトルで新たに生まれ変わった楽曲として配信された。

小室哲哉とジャズ… というと、イメージ的に結びつかない人もいるかもしれない。けれど、そもそも小室自身は学生時代からELP（エマーソン・レイク・アンド・パーマー）やピンク・フロイドなどプログレを聴いてきた洋楽派でもある。ロックやジャズ、クラシック音楽を融合させたキース・エマーソンやジャズピアニストでありながらクラシックの要素も取り入れたキース・ジャレットらに大きな影響を受けたとも話している。

こうした音楽的ルーツを持っているからこそ、今の演奏はある意味必然であり、原点回帰でもあり、音楽人生を歩いてきた音楽家としての円熟期ともいえるのではないだろうか。

先月まで『ミュージカル マドモアゼル・モーツァルト』も再演され、1991年の初演当時に小室が作曲したクラシックな楽曲たちが、変わらず舞台に花を添えた。

まさに今、ロックやジャズ、クラシックといった垣根を越えて、自身の音楽ルーツを辿るように、何かが動き出しているようなそんな気がしてくる。

思えば、80年代、90年代と小室サウンドに夢中になった私たちリスナーも時を重ね、十分過ぎるほど大人になった。そんな大人になった私たちにとって、今の小室が弾くジャジーでクラシカルなアレンジと、上質な演奏はとても深く心に響く。しかも、思春期に何度も何度も聴いてきた愛着のある名曲たちが、洗練されたジャジーなサウンドとして、また荘厳なクラシックのテイストとして、イキイキと甦ることはとても感動的なことだ。

会員限定でジャズのアナログ盤「JAZZY TOKEN」をリリース予定

現在は『TETSUYA KOMURO STUDIO』というコミュニティサイトも開設し、週に一度、生演奏や情報、トークを配信。時には木根尚登、DJ　KOO、浅倉大介ら豪華ゲストも登場し、ファンとの時間を過ごしている。

今月末には会員限定でジャズのアナログ盤『JAZZY TOKEN』も発売予定で、こちらも今からとても楽しみだ。

今日11月27日は小室哲哉の誕生日でもあり、26、27日とBillboard Live TOKYOでライブも開催中だ。果たしてどんなナンバーが飛び出し、どんな演奏を聴かせてくれるのだろう。27日のライブは、ネット配信も予定されているため、ぜひ一人でも多くの人に “今の小室哲哉の音楽” を聴き、その音楽の素晴らしさを感じてほしい。

音楽は自由であり、音の一つひとつはアーティストの心の声だ。小室哲哉が鍵盤に向かう限り、ずっとこれからも聴き続けていきたい。ミュージシャン、名プロデューサーと呼ばれた時代を経て、まさに今の小室哲哉は “音楽家” という呼び方がふさわしく感じる。

進化を続ける音楽家・小室哲哉の音楽がこれからも楽しみで仕方がない。そして、これまで多くの楽曲で楽しませてくれたのだから、これからは小室自身がのびのびと自由に音楽を楽しんでくれたら嬉しいな… と思ったりもする。これはきっと、多くのファン共通の願いではないだろうか。

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2021.11.27