2022年 11月23日

葛谷葉子インタビュー ♪ 復活アルバム「TOKYO TOWER」シティポップブームで大注目!

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ASAYANオーディション課題曲となった葛谷葉子作曲「最後の夜」


90年代後半に、テレビ東京で放送されていた『ASAYAN』という番組を憶えていますか?「夢のオーディションバラエティー」と題して、つんく♂や小室哲哉などのプロデュースで、モーニング娘。や鈴木あみ、CHEMISTRYなどが華々しいデビューを飾ったあの番組です。当時CDショップで勤務していたので、ちゃんと内容を把握していないと次の日にお客さんからの問い合わせに答えられないので、かなり真剣に見ていたのです(笑)。

女性アーティストを中心にオーディションが行われていた番組でしたが、「男子ヴォーカリストオーディション」という男性の実力派ボーカリストのオーディションも行われました。結果、優勝したのはCHEMISTRYの二人でしたが、現在EXILEファミリーで大活躍しているアーティストも多く参加していたオーディションでした。

最終オーディションに向けて、3組のアーティストが仮デビューという形でシングルを発売したのですが、その課題曲となったのが「最後の夜」という曲でした。この曲を作ったのが本日の主役である、シンガーソングライターの葛谷葉子です。

配信シングル「midnight drivin'」「Honey」、そしてベストアルバムを発表した葛谷葉子


葛谷葉子は、松尾潔プロデュースによるアルバム『MUSIC GREETINGS VOLUME ONE』(1999年)、『MUSIC GREETINGS VOLUME TWO』(2001年)という2枚の名盤をリリース。切ない声とメロディーを際立たせるR&Bテイストのサウンドも当時話題になりました。もちろん「男子ヴォーカリストオーディション」の課題曲「最後の夜」の葛谷バージョンもアルバムには収録されています。しかし、その後はコンポーザーに転向。現在までに多くのヒット曲を世に送り出してきました。





そんな葛谷さんですが、昨年突如配信シングル「midnight drivin'」「Honey」を発表。この2曲を収録したベストアルバム『MIDNIGHT DRIVIN'-KUZUYA YOKO MUSIC GREETINGS 1999~2021-』も発売され、個人的にとても驚きました。そして、2022年11月23日、約21年ぶりのニューアルバム『TOKYO TOWER』をリリース。さらに驚きましたが、この度、ずっと大ファンだった葛谷さんにお話を伺えることになりました! ですので、この先はインタビュー形式で進めて行きたいと思います。

葛谷葉子最新インタビュー


ー 高校生の頃に曲作りを始めたとプロフィールに書いてありましたが、当時はどのようなアーティストを目指していたんでしょうか?

葛谷:13歳の頃、従姉妹に久保田利伸さんのコンサートに連れて行ってもらったのがきっかけで大ファンになりました。私も久保田さんのようなシンガーソングライターになりたいと、中3の頃から思い浮かんだメロディーをカセットに録音していました。高校に入り、デモを作るのに必要なキーボードやMTRを購入して本格的に曲作りを始めました。

ー 葛谷さんは1999年8月4日にシングル「TRUE LIES」でデビューをしましたが、具体的なデビューのきっかけを教えて下さい。

葛谷:高3の頃に、音楽雑誌に載っていたJCMのピックアップオーディションに応募し2次審査までいきましたが落選。でも、スタッフの方に「曲ができたらまた送ってね」と言われて、何度か送る中で19歳の時に「一緒にやりましょう!」とお声をかけていただいたのがきっかけです。

ー 葛谷さんがデビューした1999年はCDバブルの絶頂期でしたが、今振り返って当時の音楽シーンをどのように感じていますか?

葛谷:夢のある時代だったなぁと(笑)。1枚のアルバムにかける予算も今では考えられないくらい。当時そんなことには無頓着でしたが。良い音楽もたくさん生まれた時代でもあり、私もこういう曲を作りたい! とか、常に刺激を受けていました。

ー 2枚のアルバムをリリースした後、表舞台から姿を消されてしまいましたが、何か大きな理由はあったんでしょうか? ずっと新作を待っていたものですから……(笑)。

葛谷:待っていただけていたなんて…、嬉しいです! 当時は、エピックを離れた後どうしたら良いのか… という相談をいろいろな方にしたのですが、皆さん口を揃えたかのように「作家をやってみたら?」と(笑)。自分自身も表舞台に立つことがあまり得意な方ではなかったですし、どちらかというと歌うことがしんどく感じていたような時期だったと思います。なので、音楽を続けられるのなら作家という道も良いのかなと思うようになって。きっと曲作りの腕を磨くために作家へ導かれたのでは… と今となっては思います(笑)。

葛谷葉子思い出に残る3曲


ー 葛谷さんには当時直接お目にかかりましたが、こんなに才能があるのに控えめな方だな… という印象が強かったですもんね(笑)。その後はコンポーザーとして、多くの楽曲を提供されていますが、特に思い出に残っている曲があれば教えて下さい(3曲挙げていただきました)。

1. 最後の夜

初めて曲を提供させていただいたChemistryの仮デビュー曲「最後の夜」は、私の作家人生の始まり、きっかけとなった曲。

2. DO THE MOTION

初めてオリコン1位を獲得したBoAさんの「DO THE MOTION」。 作家事務所に入って初めて決まった曲がBoAさんの「Song With No Name〜名前のない歌〜」という曲で、それ以降なかなか曲が決まらない時期があって、作家としてやっていけるのだろうかという不安を抱えていたところで、「DO THE MOTION」、そしてC/Wの「キミのとなりで」が決まって、しかもオリコン1位までいただけて本当に嬉しかったです。

3. you

同じくオリコン1位をいただいた倖田來未さんの「you」。この曲で更に多くの方に、作家としての葛谷葉子を知っていただけたと思います。

「復活嬉しいです!」「ずっと待っていました!」というファンの声


ー 2021年に新曲「midnight drivin’」「Honey」、さらにはベストアルバム『MIDNIGHT DRIVIN'-KUZUYA YOKO MUSIC GREETINGS 1999~2021-』も発表されました。当時とても驚きましたが、周りの反響はいかがでしたか? そして、何故このタイミングで 新曲を発表することになったか教えて下さい。

葛谷:「復活嬉しいです!」「ずっと待っていました!」とファンの方から温かいお言葉を沢山いただき、本当に嬉しかったです。ちょうどEDMブームだった頃からでしょうか。曲の発注書はEDMなど洋楽ものが中心で、次第に海外の作家さんの名前も目立つようになり、とにかく洋楽のようなカッコ良さばかりを求められるようになっていき、だんだん曲作りがしんどくなっていきました。

自分で曲を作っていても、これが良い曲なのかどうかも判断つかない状況にまでなり、このままでは精神的にもまずいなと。当時の作家マネージャーさんに辞める意向を伝えて一度フラットな状態になり、自分はこれから何がやりたいのか、自分ができることは何なのかということをじっくり考える時間を持ちました。そして出た結論はやっぱり音楽で、そして途中で辞めてしまった「歌うこと」でした。実は何年も前からいつか歌えたらいいなと、自分用の曲をストックしていたのですが、その曲のデモを作り直して聴いていただいたのが再始動のきっかけです。



ー 葛谷さんの持つGroovyなサウンドの世界観も、声も変わらず素晴らしかったのですが、作家活動中も歌は歌われていたのでしょうか? 普段の音楽活動も是非お聞きしたいです。

葛谷:ロマンスカーなど、いくつかのCM曲の書き下ろしと共に歌わせていただいたり、日本テレビで放送されていた『歌スタ』というオーディション番組で “ヒグラシ” というデュオのデビューに携わったのですが、その時にBoAさんに提供させていただいた「キミのとなりで」のセルフカバーを出させていただきました。あとはコンペ用のデモを歌うくらいで、特に歌ってはいなかったです。

21年ぶりのオリジナルアルバム「TOKYO TOWER」


ー そうでしたか…。でも葛谷さんの持ち味である艶っぽいボーカルスタイルは全く衰えていなくてとても嬉しかったです。約21年ぶりのオリジナルアルバム『TOKYO TOWER』が11月23日にリリースになりますが、出来上がってみて、率直な感想を教えて下さい。

葛谷:嬉しい気持ちでいっぱいです。しみじみとですが、アーティスト活動をずっと続けてきたわけでもなく、デビューして活動していたのはたった3年ほど。それからの人生のほとんどが裏方の作家であったにも関わらず、21年ぶりに、しかもこの年齢でニューアルバムを出させていただけることの奇跡にもう感謝しかありません。

ー アルバムの制作秘話などあれば教えて下さい。20年前とレコーディング環境もずいぶん変わりましたか?

葛谷:当時はもちろんスタジオでレコーディングしていましたが、今回のアルバム全曲、そして昨年リリースさせていただいたベストアルバムの新曲も、自宅のスタジオで一人黙々とレコーディングしました。だいたい2ヶ月弱かけて歌録りを進めていったのですが、ちょうど真夏で。レコーディング中はエアコンを止めるので、歌っているうちにいつの間にか汗だく状態。休憩入れながら、水分補給もちゃんとしていたのですが、結構喉を酷使してしまったなと後から反省しました。嬉しい誤算ですが、体重も2kg落ちました(笑)。

ー アルバムの聴きどころを詳しく教えて下さい。

葛谷:バラエティに富んだ楽しいアルバムになったかな… と思います。昔からファンでいてくださった方はもちろん、初めて葛谷葉子を知っていただく方にも幅広く受け入れてもらえるような楽曲を作ること、というのがアルバムを作る前の段階、ストックを書き溜めていた時から自分の中にずっとあって。1st、2ndアルバムはどちらかというと自分の内側に向いているようなアルバムです。それが悪いわけではないですし、その年代にしか書けない曲も沢山あったと思います。

でも今回は、外側に向けたというか、もっと開放的な風通しの良いアルバムにしたかった。それが叶えられたかなと。たぶん(笑)。私が得意とする90’sR&Bテイストの曲や、シティポップブームで20年という時を超えて聴いていただいている「サイドシート」の影響もあり、シティポップのエッセンスも取り入れた楽曲。そしてしっとり聴いていただけるバラードなど、楽しんで聴いていただけたら嬉しいです。

ー 歌詞の書き方は20年前とは変わりましたか? それともあまり変わらないですか? 制作期間中苦労した部分や、その曲があれば是非教えて下さい。

葛谷:基本的にはあまり変わらないです。パッと思い浮かんだキーワードから歌詞の世界を広げていったり、人物や状況を設定して書いたり。ただ曲は繰り返し聴くものなので、例え失恋の曲であったとしても、最終的にはポジティブな方へ気持ちが向かうように心がけて書くようにしています。

苦労したというか苦戦した曲は、「Rendezvous」のA、Bメロ。いつもサビを作ってからA、 Bメロに取り掛かるのですが、いつもはサビにつられて割と難なく出てくるのに、この曲はなかなかすんなり出てきてくれなくて。やっとAメロができたと思ったら、今度はBメロでまた苦戦して(笑)。

ー 葛谷さんの代表曲に「最後の夜」がありますが、今作には「最後の恋」という曲が収録されていますね。

葛谷:今回収録されている曲は「最後の恋」で、以前に松下奈緒さんに提供させていただいた曲です。この曲と、私の2枚目のシングル「恋」のサビのメロディーは中3の頃に作っていたもので、まるで双子のような曲。松下さんから曲の依頼をいただいた時に、「恋」のような曲をとリクエストくださり、このメロディーのことを真っ先に思い出しました。 その後、A、Bメロを書いて今の形になったのですが、川口大輔さんの素晴らしいアレンジで、また一味違った大人の「最後の恋」になったと思います。



ー この度はお話をいろいろと聞かせていただきありがとうございました。自分の中で長年埋まらなかったパズルの破片を見つけたような気分になりました!(笑)

葛谷葉子からファンへのメッセージ


―― ということで、葛谷葉子さんに、デビュー前から現在に至るまでのインタビューをさせていただきました。前作から約21年ぶりのオリジナルアルバム『TOKYO TOWER』には、先行配信として発売になった「Tokyo Tower」「Perfect! Your Love」の他、インタビュー内でもお話に出た松下奈緒への提供曲「最後の恋」、さらには鈴木雅之への提供曲「53F」のセルフカバーも収録されています。昨今のシティポップブームで再び注目されている彼女ですが、その世界観は20年前からまったく変わっておらず、ようやく時代が葛谷葉子に追いついたと言っても過言ではないでしょう。

僕がパーソナリティーを務めている女性シンガーソングライター専門チャンネル『ファムラジオ』(FMおだわら 12月4日(日曜日)深夜24時から放送)にも、葛谷さんからの生コメントをいただいたので、是非チェックしてくださいね。アルバムから3曲、O.A.しますよ!

最後に、リマインダーを読んでくださっている皆さまに、葛谷さんからコメントをいただきましたので、葛谷さんのコメントで締めさせていただきます――

世界が大きく変わっていく中で不安を抱えている方も多くいらっしゃると思いますが、音楽はいつの時も私たちの心に寄り添ってくれるものだと感じています。私の音楽もそうあればいいな…。そんな願いを込めながら1曲1曲大切に作ってきました。皆さん、ぜひ聴いてみてください。

―― 皆さま、是非アルバム『TOKYO TOWER』をチェックして下さいね。

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