2022年 12月3日

バスケットボール漫画の金字塔「スラムダンク」が時代に与えた影響力とは?

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アニメーション映画「THE FIRST SLAM DUNK」が劇場公開される日
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本日12月3日公開、映画「THE FIRST SLAM DUNK」


映画『THE FIRST SLAM DUNK』が明日12月3日に公開される。原作者の井上雄彦自身が監督、脚本を務めたことでも話題となっている今作だが、その詳細は公開を間近に控えた今もなおベールに包まれている。果たして以前のアニメ化の際には描かれなかった山王戦がフィーチャーされることになるのか? それとも完全新作になるのか? SNSやYouTubeを中心に熱心なファンが様々な予想を披露しているが、公開前からこれだけ話題を呼ぶのも人気作ならではの現象と言えるだろう。

とはいえ『SLAM DUNK』は連載終了から既に26年の月日が経過しており、一定世代にとってはマストな作品であっても、若い世代の中には漫画にもアニメにも触れたことがないという方がいてもおかしくはない。

そこで今回は『SLAM DUNK』という作品が時代に与えた影響力などをあらためて見ていきたい。

ジャンプ黄金期の看板作品 「SLAM DUNK」


『SLAM DUNK』(以下、スラダン)は『ドラゴンボール』『幽☆遊☆白書』と並ぶ、『週刊少年ジャンプ』黄金期の看板作品として6年間(1990年10月1日〜1996年6月17日)連載され、コミックスの累計発行部数は1億2千万部以上を誇る。商業的に最も成功したスポーツ漫画であり、またアニメの視聴率も平均15.3%、最高21.4%と高い数字を記録した。少年漫画史に燦然と輝くレジェンド作品だ。

これだけ爆発的な人気を集めた漫画の題材が野球やサッカーではなく、日本人に馴染みの薄いバスケットボールというのがまず衝撃的だった。それを表すように『スラダン』の連載と共にバスケの競技人口は急増。右肩上がりに伸び続け、ピーク時の1995年、1996年には100万人を超える国民がバスケに汗を流したという(公共財団法人日本バスケットボール協会ホームページより)。明確な因果関係こそ証明できないが、連載時期との一致からして『スラダン』の影響と見るのが自然だろう。

連載前と後とではバスケの地位は比べ物にならないほど向上。日本人初のNBAプレーヤーの田臥勇太がファンを公言するなど、B.LEAGUE(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)をはじめとした今日におけるバスケ文化の隆盛も、1990年代に沸き起こった『スラダン』ブームが起点にあると考えられる。

スラムダンクが及ぼしたファッション業界への影響


ファッション面への影響も忘れてはならない。1990年代といえばヒップホップカルチャーから生まれた “Bボーイファッション” が日本でも大流行。その象徴的なアイテムでもあるスニーカーの中で、とりわけストリートの人気を独り占めしたのがNIKEの「エア・フォース1」、「エア・ジョーダン」というバスケットシューズだった。

マイケル・ジョーダンのセンセーショナルな活躍や、バルセロナ五輪でのアメリカ代表「ドリームチーム」の快進撃と共に、日本でのバッシュ人気を牽引したのはやはり『スラダン』だった。特に流川楓が作中で履いたエア・ジョーダン5 、桜木花道がスポーツ用品店のオヤジから30円で奪い取ったエア・ジョーダン6はプレミアが付き、未だに復刻モデルが出るたびに争奪戦が巻き起こるほどの支持を集める。

それまでもキャラクターがオシャレな服装を着こなす作品は存在したが、『スラダン』は “バッシュ” という中高生でも多少無理をすれば手が届く範囲内でのアイテムで格好良さを表現したのが新しかった。それも当時ムーブメントとなりつつあった実在のスニーカーをキャラクターに履かせることにより、相乗効果でファッション界にも影響を及ぼしたのだ。

このように『スラダン』は人気漫画の枠に収まらず、1990年代的カルチャーの在り方そのものを少年誌で提示し、若者を中心に絶大な支持を得るという、ある種のカリスマ的な影響力を持つ作品だったのだ。

イケてるメンズのマスト漫画。モテる奴は必ずスラダンを読んでいた


だが白状すると、実は私が『スラダン』全盛期の1995、6年頃に本当に熱中していたのは『新世紀エヴァンゲリオン』や『機動新世紀ガンダムW』といった巨大ロボットアニメだった。自室でニッパー片手にガンプラを組み立てるインドア少年にとって、『スラダン』が放つ無類の格好良さはあまりにも別世界で、自分のような日陰者が読むべき作品ではないと感じていた節があったのだ。

キャラクターは皆、現代的なルックスで扉絵の構図や雰囲気もとにかくオシャレ。少年漫画というよりは、ストリート系のファッション誌を読むような感覚に近かったような気がする。あの頃、『スラダン』は “イケてるメンズのマスト漫画“ だった。そして実際、モテる奴は必ず『スラダン』を読んでいた… といっても決して過言ではなかろう。

しかし、この作品が記号的な “格好良さ“ だけではなく、緻密なストーリーラインと魅力的なキャラ造形、そして息つく間もないほどの熱量によって成り立っていることは忘れてはならない。それに加えて躍動感あふれる圧倒的な画力、 “名言“ として知られる心に響くセリフの数々も、『スラダン』を名作たらしめる要素である。

新作映画のティーザー広告を見る限り、桜木花道は原作後半と同じ坊主頭をしており、試合と思わしき描写が見受けられる。それ以外、対戦相手など一切の詳細は不明。一刻も早く劇場に足を運び、全容を確認したくてたまらない。もちろん私は公開初日に観にいく予定だ。

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2022.12.02
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カタリベ
1985年生まれ
広瀬いくと
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カタリベ / 長井 英治