2022年 11月11日

ランディ・ローズ没後40年、ドキュメンタリー映画で明らかになるギターヒーローの輝き

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没後40年。今なお加速し続けるランディ・ローズへの想い


ランディ・ローズがこの世から去って40年もの歳月が流れた。そんな事実が信じられないように、ランディの存在は日本のHM/HRファンの中で今も息づき、輝きを増し続けていく印象すら受ける。

2022年の命日にあたっては、10年単位の節目だけにランディの話題をメディアなどを通じ、いっそう目にする機会が多かった。亡くなった人々はときに美化されていくけど、それはランディにも当てはまる事象だ。若く天使のような残像、激しくも美しい哀愁を帯びたギタープレイ、伝えられる誰からも愛された人間性。ランディに対して我々が抱くイメージがどれも非の打ち所がない以上、それは至極当然と言える。

生前のランディに関する情報量の少なさは、終わりなきイマジネーションを抱かせ、美化、神格化をいっそう増長させていく。残されたオフィシャル音源は、周知の通りオジー・オズボーンとのスタジオ作2枚とクワイエット・ライオットでの2枚のみ。そこに没後リリースされた未発表トラックやライヴアルバムが存在する程度だ。例えば、没後52年が経過しても、毎年のように未発表音源がリリースされるジミ・ヘンドリックス辺りの状況とは全く異なる。

音源のみならず、ランディのアーティスト写真も、知名度を考えるとバリエーションは少なく、メディアに掲載されるのは何度も目にしたお決まりのカットばかりだった。ましてや映像となるとほとんど目にする機会がなく、“動くランディ” の希少性は高まっていった。

長らく続いたそんな状況下でHM/HRファンは、ランディについてギタリストとしてのみならず、ひとりの人間としてもっと知りたいという渇望を掻き立てられてきた。



オジー・オズボーンを通じて触れるランディ・ローズの凄み


ランディの没後に新たな “贈り物” をいち早く届けてくれたのは、最後まで活動を共にしたオジーだった。1987年のライヴアルバム 『トリビュート』は、ランディ在籍時の貴重な音源であり、日本人のほとんどが生で耳にすることすら叶わなかった、ライヴにおけるギタープレイの凄みにようやく触れることができた。



さらなる大きな贈り物となったのは、2011年に届けられた30周年を銘打ったオジーのボックスセットだった。多くのコンテンツや特典が同梱された中には、まだ見ぬランディの姿が息づく多数の写真を掲載したブックレットが封入された。

何といってもハイライトは、ランディを映し出したレアな映像が多数含まれていたことだ。実際に動いてギターをかき鳴らす勇姿は、天使のような美しさと想像以上の激しさが同居したもので、僕たちが抱いていたランディ像すら超えてくるものだった。オジーを通じて秘蔵の"動くランディ"が一気に放出されたことは、ファンにとって至福の瞬間となった。

動く勇姿をつぶさに確認し、その偉大さを改めて噛みしめると、もっとランディのことを知りたい! という渇望がさらに増幅されていく。未公開の情報が30年も経過したタイミングで出てきたのならば、さらなるお宝が眠っているのではないか? そんなもどかしい思いに駆られたのも事実だ。

「Randy Roads」で検索! 理解を深めたインターネットの恩恵


潮目が変わったのは、インターネットが定着し始めて以降だ。ネット上のサイトやYouTubeなどのプラットフォームを通じて、ランディに関する海外からの情報が散発的に出始めたのだ。これまではオジー周辺からの発信が中心だっただけに、インターネットの威力は絶大だった。

日本の状況でいうと、長年ランディを追い続けたギター誌を中心に、現地での取材も交えて様々な記事を発信してくれていたが、やはり現地から直接発信される情報の質や量は格別だ。しかも音楽系メディアのみならず、当時LAのシーンでランディを観た人々による貴重な映像や証言といったものに、誰もが触れられるようになった利点は大きかった。

「Randy Roads」で検索すれば、そうしたレアな情報にアクセスできる機会が年々増えていき、インターネット時代の恩恵をファンが実感できる状況になっていった。とはいえ、時代の移り変わりの中で新たに発掘された情報は、ある意味ネットの大海に散らばったままのもので、それらを体系的に整理、分析するのは至難の業だ。そんなタイミングで届けられたのが、初となるドキュメンタリー映画だった。



40年目の節目に遂に実現! ドキュメンタリー映画「ランディ・ローズ」


ランディ・ローズについて真に理解を深めるために、40年の節目にドキュメンタリー映画が公開される意義はあまりに大きい。ネット上でも観ることができない未公開映像に加え、ランディの肉声をさらに聴けるだけでも、一気にランディの存在をリアルに感じられるのは喜ばしいことだ。

アーティスト、関係者、親族などランディに関わった数多くの人々の貴重な証言で構成されているが、オジー以前のクワイエット・ライオット時代を辿る流れで、むしろオジーを大勢の中のいち証言者としているのは正しい視点だろう。LAのクラブシーンにおいて当時のランディがどう捉えられていたのか、多角的に紹介されるのは貴重だ。

加えて、誰もが好印象を口にする彼の人柄など、パーソナルな魅力も改めて浮かび上がるはずで、黎明期のランディをより深く知るうえで、この上ない道しるべになるだろう。

メタルファンの多くが周知とはいえ、ランディがプロデビューしたのは日本だった、という事実も、日本とランディの結びつきが感じられるエピソードとして、映画の上映に際し改めて噛みしめたい。クワイエット・ライオットを拾い上げた日本のレコード会社が、国内マーケットでの可能性を信じて独自の契約したのは興味深いし、最近再発された実際の音源をこの機会に聴いてみることは、日本で愛され続けるランディの原点を辿る良いきっかけにもなるだろう。



ランディ・ローズとエディ・ヴァン・ヘイレン。そしてジョージ・リンチ


最後に、今回のドキュメンタリー映画にもコメントで登場するエディ・ヴァン・ヘイレン、さらにはジョージ・リンチとランディの関係にも思いを馳せたい。偶然にも同じ時代にLAのクラブシーンの空気を吸い、個性的なギターを搔き鳴らしていた3人のギタリスト達。エディはすでにスターとしてトップを走っていたが、それに触発されながらもクラブシーンで奮闘していたのがランディであり、ジョージだった。

日本ではそれぞれバンドでのデビュー時期も異なり、どちらかと言えばさほど繋がりのないギタリスト同士として認知されてきたように思えるけど、当時のLAのシーンを知るものにとっては、点と点ではなく同じ土壌で名を挙げていった、関係性の深いギタリストとして捉えられている。エディ自身は、タッピングなどのギタープレイをランディが真似ていると認識しつつも、一定のリスペクトをしていたことも伺えるのが興味深いところだ。

ランディはオジーに見出され、ギタリストとしての才覚を一気に開花させながら、早くにこの世を去ってしまうが、その後、エディは世界のトップギタリストに昇りつめ、絶対王者として君臨し続けた。ジョージはヨーロッパに主戦場を移しつつ、遅ればせながらLAメタルブームに乗って80sのメタルシーンで成功を勝ち取った。

今ではエディまでもこの世にいない。もし3人のギタリスト達がずっと揃ったまま活躍し続けていたら、どう交わりあったのか。想像すると興味は尽きない。

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2022.11.12
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カタリベ
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中塚一晶
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