2010年、マイケル・ジャクソンの未発表曲を集めたアルバム『マイケル』が発表された。その中に「ビハインド・ザ・マスク」という曲がある。現在までに世界で1億400万枚以上を売り上げているアルバム『スリラー』(1982年)に収録する予定で録音されたもので最終的にトラックリストから外され発表されないままになっていた。オリジナルはYMOの代表曲である。
プロデューサーのクインシー・ジョーンズもよくぞこの曲を候補に入れてくれたと思うけれど、これが『スリラー』に収録されていたらどうなっていたのだろう。そんなことを考えているとなんだかとても楽しくなってくる。これは日本のロックが1982年の段階でロックを生んだアメリカに追いついていたという証拠で大きな事件だと思う。
面白いのはその後もこの曲が大物にカバーされたという事。フィル・コリンズがプロデュースし1980年代のエリック・クラプトンを代表するアルバムとなった『オーガスト』(1986年)でも使われ、その翌年にはシングルもリリース。オリジナルのテクノテイストから、クラプトンの歌唱とギターによってマイケルのそれよりもさらにロックを感じさせる内容になっている。
坂本龍一さんはある番組のトークで、YMOの最初のニューヨーク公演において聴衆から「これには特別なロックを感じる。」と言われたと語っている。その理由をピーター・バラカンさんは「テンポの速さではないか?」と言い、坂本さん本人自身の解析によれば、どうやら「リフの部分がギターで弾きやすく作られているから。」ということなのだ。そして、それは「ザ・フーとかストーンズがよく使うようなフレーズ。」なのだそうだ。なるほどクラプトンにとっても馴染みのある音形だったんですネ。
Behind The Mask
作詞:Chris Mosdell(補作詞:Michael Jackson)
作曲:坂本龍一
発売:1987年(昭和56年)4月21日
2015.12.23
YouTube / Mikes Dance Videos
YouTube / Michael Jackson México
YouTube / HemlockDKiller
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