3月5日

キャロルに憧れたベーシスト・大土井裕二なくしてチェッカーズは成立しない!

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ベーシスト大土井裕二なくしてチェッカーズは成立しない


社会現象にまでなったチェックのステージ衣装と “チェッカーズヘア” がザ・チェッカーズ(以下、チェッカーズ)を世の中に知らしめめる起爆剤になったことは確かなことだ。

しかし、あれだけの人気を解散まで持続させ、今なお多くのファンに愛され続けている一番の理由は、メンバー7人の個性が遺憾なく発揮された部分にあったと思う。ベーシストという一見地味な立ち位置ながら、プレイスタイルもさながら音楽性においてもバンドに大きく貢献した大土井裕二(以下、大土井)にしても、彼なくしてなくしてチェッカーズは成立しなかっただろう。

「キャロルがいなかったら音楽をやっていない可能性が十分にある」

―― と語る大土井は、日比谷野外音楽堂で行われた彼らののラストライブの映像『燃えつきる - キャロル・ラスト・ライブ!!』を観てロックンロールの衝動にコネクトする。そして、映像の中でリーダーの矢沢永吉が抱えていたものと同じ楽器、つまりベースを手にする。

メンバーで唯一福岡出身の大土井が久留米出身のチェッカーズと合流。久留米という豊潤な音楽的土壌の中で、この土地の特異性とも言えるドゥーワップやオールディーズを基盤とした音楽性をより深く追求していくことになったのだろう。

50年代のアメリカ、ドゥーワップ、ロックンロールのグループはアメリカ全土をサーキットするために、演奏力を磨く以外にもインパクトが強く、時にはコミカルなステップなどダンスの練習に余念がなかったという。これぞアメリカ人のエンタテインメント精神であり、街から街へと旅する中、一晩でどれだけの人を楽しませるのか… という力量が人気継続への大きな鍵となる。

ユーモアと熱狂を兼ね備えたグループがアメリカのロックンロールの礎を作った。チェッカーズもまた、このロックンロール黎明期の精神性を継承し、アマチュア時代からステージで観せるダンスや寸劇にも注力していた。



作曲者・大土井裕二、「ガチョウの物語」の意外性


作曲者クレジットとして “大土井裕二” の名前を当初目にしたのは、セカンドシングル「涙のリクエスト」のB面「あの娘とマッシュポテト」とファーストアルバム『絶対チェッカーズ!!』に収録されている「ガチョウの物語」だった。

どちらもアマチュア時代から演奏されていた楽曲だ。とりわけ、ガチョウの鳴き声の真似から始まるこのコミカルな楽曲の意外性は高かった。この楽曲をファーストアルバムに収録した制作者側の意図は、おそらく子どもにも親しまれる幅広い層へのアピールだったと思う。しかし、これぞ彼らが憧れるドゥーワップグループへの憧憬の証だと思う。

このようなアメリカ人のエンタテインメント精神を日本でお茶の間に持ち込んだグループの代表格がシャネルズ(後のラッツ&スター)とチェッカーズだ。

「ガチョウの物語」はコミカルでありながらも独自性も高く、また、「あの娘とマッシュポテト」は古き良きアメリカのドリーミーな世界観を踏襲。さらに4枚目のアルバム『FLOWER』で自らがボーカルをとる「Missアニーの証言」で見せるスゥイング感も最高だ。

大土井はソングライターとして着実な進化を遂げていた。多面的に楽曲をクリエイトするその資質はアマチュア時代から特出していたことがわかる。



大土井のプレイスタイルの変化がバンドの変化を象徴


周知の通り、古き良きアメリカの継承から、様々な音楽を吸収、同時にバンドとしてのたゆまぬ変化が魅力のひとつだったチェッカーズは、大土井のプレイスタイルの変化こそがバンドの変化を象徴していたように思える。

デビュー当時の大土井のプレイスタイルはベースを高めの位置に構えた指弾きのオーソドドックスなスタイルだったが、メンバー自らが楽曲をクリエイトする後期には、ベースを低く構えたダウンピッキングに移行する。ザ・クラッシュのベーシスト、ポール・シムノンに近いこのスタイルが彼にはよく似合っていた。

つまり、大土井のプレイスタイルがブリティッシュ感を増すと、チェッカーズの音楽性もアメリカ寄りからブリティッシュスタイルを顕著に取り入れ、時代の最前衛をお茶の間に持ち込んでゆく。6枚目のアルバム『SCREW』以降のブルーアイドソウルやアシッドジャズの取り入れ方も含め、チェッカーズにとってイギリスの土壌で深化した音楽が不可欠なものになっていった。



チェッカーズの王道ナンバー「I Love you, SAYONARA」


そんな大土井が手がけた大傑作が1987年3月にリリースされた13枚目のシングル「I Love you, SAYONARA」だ。

この楽曲の魅力は、なんと言っても日本人の琴線に触れる美しいメロディライン、そこにジャンル分けが不問な普遍性が潜んでいる。さらにデビューから11枚目のシングル「Song For U.S.A.」まで多くの楽曲を担った売野雅勇、芹澤廣明が築いた世界観―― つまり、地方都市の少年の見果てぬ夢や叶わぬ現実、儚さと美しさを、自分たちの力でオリジナリティを持ち合わせ具現化するという、チェッカーズにとって王道ともいうスタイルを昇華させている。

バンドは生き物だから変化を伴うのは当然のことだ。しかしそれだけでなく、しっかりと自分たちがたどってきた道筋を振り返りながらも前に進んでいく力強さを僕は「I Love you, SAYONARA」で感じた。これが多面的に楽曲をクリエイトする大土井のソングライターとしての力量だ。

チェッカーズ解散後もバッキングメンバーと共に結成した “アブラーズ” やソロとしても音楽活動を継続中の大土井。精力的な活動を続ける中、自身のルーツであるキャロルのウッチャンこと内海利勝が作詞を手がけ、自らが作曲した3曲を収録したマキシシングル「QUARTA-FEIRA」を本日11月2日、自身の還暦の誕生日に合わせリリースした。

原点に戻りながら前に進んでいくという大土井のソングライター、ミュージシャンのスタイルは今も変わっていない。



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2022.11.02
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カタリベ
1968年生まれ
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