7月12日

鬼平犯科帳!ジプシー・キングスのラテンギターと江戸の春夏秋冬

58
2
 
 この日何の日? 
中村吉右衛門版、ドラマ「鬼平犯科帳」第1シリーズ第1話が放送された日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1989年のコラム 
誤解されまくった筋肉少女帯「日本印度化計画」が一人歩きする!

80年代最後を飾る大物アイドル、Winkとタクシー券と僕のバブル初体験

セクシーこそ、岡村靖幸の神髄だ!どんなことして欲しいの岡村ちゃんに?

考えるな! 感じろ! 陣内孝則率いる「ザ・ロッカーズ」の本質

シェイクスピアズ・シスターと白黒写真に学ぶ女の友情と加齢

レベッカの東京ドーム公演を完全収録!チケット5万枚が即完した「BLOND SAURUS TOUR」

もっとみる≫



photo:フジテレビ  

熱心な時代劇ファンというわけではないのだが、これだけは特別と思えるのが中村吉右衛門主演のドラマ『鬼平犯科帳』だ。

江戸情緒たっぷり、鬼平が粋でカッコいい…… などなど、このドラマの魅力をいうときりがない。とはいえ、一番の魅力は、時代劇にありがちな勧善懲悪におさまらないところではないだろうか。

何しろ、ほんとうの主役は、鬼平ではなく盗賊なのではと思えるくらいに彼らを多面的に描いているのだ。

鬼平の名台詞に「人間(ひと)とは、妙な生きものよ。悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事をはたらく」というのがある。

あぁ、そうだよね、私だって、電車で席譲ったけど、その前は人を押しのけて座ろうとしたし…… なんて、盗賊を見ながら、自分の行動をふと振り返ったりする。

そして、吉右衛門版鬼平の魅力を語るうえで、欠かせないのがエンディング。

四季折々の江戸の風景を見せながら、バックに流れるのはジプシー・キングスの「インスピレイション」。

哀感たっぷり、むせび泣くようなラテンのギターが、江戸の春夏秋冬に見事にハマる。余韻に浸りながら、あぁ、いいドラマ見たなぁという思いを深めてくれる。

普通ならしっとり歌い上げるバラードや演歌を選びそうなところ、ラテンギターのインストを選ぶなんて、ほんとセンスよすぎ!

2017年に鬼平ファン必読の書、制作スタッフの鬼平裏話が満載な『ドラマ「鬼平犯科帳」ができるまで』(春日太一著、文春文庫)が刊行された。その中に、プロデューサー2人の対談が収録されていて、エンディングテーマがなぜ「インスピレイション」になったかにも触れられている。

もともとは、池波正太郎がラテンのギターが好きだったのがきっかけという。第1シリーズを見て、吉右衛門鬼平を絶賛したという池波先生、きっとこのエンディングについても、満足だったに違いない。

1989年から連続ドラマとしてスタートし、途中からは年1本のスペシャル版として放送されていた鬼平だったが、それも2016年末に終了した。

でも、時代劇チャンネル等が繰り返し再放送しているせいか、鬼平は終わってなんかいない、今も江戸で生きているって、私には思えるのだ。それに、現代劇をあとで見ると、古さを感じてしまうことがあるが、時代劇だとそもそもが昔を描いているから、逆に古びない気もする。

ひとつ心配がある。

視聴率が低迷するフジテレビが、キャストを変えて新・鬼平をつくろうとしないかってこと。テーマ曲もキャストも、吉右衛門版は完璧なんだもの。

新キャストで鬼平に新たな魅力を…… なんて、くれぐれも考えないでほしい。

ほんと、頼みます。


※2017年5月26日に掲載された記事をアップデート

2019.05.22
58
  YouTube / zaimos 505


  YouTube / Yoe Valencia
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
コラムリスト≫
17
2
0
2
1
劇画家 さいとう・たかをが「ゴルゴ13」と「鬼平犯科帳」で伝えたかったこと(後編)
カタリベ / goo_chan
20
1
9
9
0
ディスコミュージックからの「グレゴリオ聖歌」驚くべきエニグマの歴史
カタリベ / DR.ENO
20
1
9
8
7
魅惑のカセットテープミュージック、ドライヴで聴くためのAORオムニバス
カタリベ / DR.ENO
42
1
9
9
1
今やミュージカルに!なぜ「東京ラブストーリー」は時代を超えて愛されるのか?
カタリベ / 村上 あやの
28
1
9
8
9
下半身密着ダンス「ランバダ」バブル時代のど真ん中に世界的大ヒット!
カタリベ / 太田 秀樹
45
1
9
8
0
カシオペアの輝き、鮮烈な眩しさを放つ「サンダー・ライブ」
カタリベ / ミチュルル©︎たかはしみさお