1981年の野音開きは “めんたいロック” が多数出演!
海開きや山開き、プール開きなんて言葉がある。でも僕にとっての「〇〇開き」といえば、これはもう間違いなく「野音開き」だ。
毎年4月初旬に日比谷野外音楽堂で開催されていた『野音開き100円コンサート』は、入場料が100円で色々なバンドが観られる、とてもお得で嬉しいコンサートだった。僕が観に行ったのは81年の野音開きで、“めんたいロック” と呼ばれるバンドが多く出演した年だった。ARB、ロッカーズ、ルースターズ、モッズ(当日出演キャンセル)、アナーキー(めんたいロックじゃないけど)などの名前が並んでいて、当時の僕のど真ん中。これらのバンドがたったの100円で観られるのだから行かないわけがない。
吐き捨てるように歌う大江慎也、もう手をつけられない勢い!
この日出演したバンドで一番記憶に残っているのがルースターズだ。吐き捨てるように歌う大江慎也の姿がとても印象的だった。セカンドアルバム『THE ROOSTERS a-GOGO』が発売される直前で、この日初めて聴いた新曲「FADE AWAY」にはもう手をつけられない勢いを感じた。バンド史上最もスピード感が溢れる時期だったのではないだろうか。
受話器を置いて
今やっと気づいたところさ
お前がくだらねぇ女だってこと
とっととここから消えちまいな
活動時期によってサウンドが違うルースターズ、一番勢いがあったのは?
たたみかけるように次々と曲は続き、中でも輪をかけて早い「恋をしようよ」ではもう何だかわからない状態。ステージ前には観客が集まり、曲に合わせて体を動かしているんだけど、ビートが早すぎてただ暴れてるだけで全くついていけない。下で紹介する「恋をしようよ」のライブ映像も途中からメンバー同士で競争が始まり、一気に走り抜けていく感じがこの上なく格好いい。早けりゃいいってもんじゃないけど、これだけ早けりゃ文句ありません!
ルースターズは活動時期によってガラリとサウンドが違う。テンションが高い初期、サイケデリックな中期、大江慎也脱退後のラウドな後期とそれぞれに違った魅力を待つバンドだった。紆余曲折していくルースターズには常に魅力を感じていたが、一番勢いがあったこの頃のライブを見られたのはとても貴重な体験だったと思う。しかも100円でね。
※2016年5月13日に掲載された記事をアップデート
2020.04.05