「雨の中OKシェイキン!」
1981年の野音開きは曇り空で、ARB の出演前からポツポツと雨が降り始めていた。ステージに登場した石橋凌の第一声がこの格好いいような悪いような妙ちくりんな言葉だ。
でもこれがなぜか僕のツボに思いっきり入ってしまい、以来この言葉が忘れられないものになった。雨が降ると時々この言葉を思い出すようになり、突然の雨にあった時には「雨の中OKシェイキン!」「イェー!」なんて独り言を言いながら濡れて歩く変なおっさんになってしまった。
ライブでの石橋凌の MC は ARB の魅力のひとつだ。曲を紹介しながらのコール&レスポンス。それを初めて聞いたのが2ndアルバム『BAD NEWS』に収録されている「Tokyo Cityは風だらけ」だった。
アルバムにはライブバージョンが収録されていて、曲が始まる前の石橋凌と観客とのやり取りはライブ感が溢れていて格好いい。
(凌)OKシェイキン! Tokyo Cityは
(客)風だらけ!
(凌)Tokyo Cityは
(客)風だらけ!
(凌)Tokyo Cityは
(客)風だらけ!
(凌)OKシェイキン!
「OKシェイキン」ってどういう意味だよと思いながらも、レコードを聴く度に羨ましくて仕方がなかった。あ~ここに参加したい、石橋凌の声に応えてみたいと。
独特なイントネーションがある石橋凌の MC にはどこか親近感があり、ライブを楽しくさせるものがあった。
決め台詞のような煽りで曲が紹介されると観客は我先に反応してライブはどんどんに盛り上がっていく。ARB のライブは石橋凌の煽りがないと始まらないのだ。ライブの後にその煽りを友達と真似するのも楽しみだったりした。
「Tokyo Cityは風だらけ」以外にも記憶に残る独特な煽り決めゼリフがたくさんあった。思い出すだけで楽しくなってしまう。字面では実際の魅力の半分も伝わらないんだけど。
悪い知らせを聞いてくれ!
BAD NEWS
狂いたくても狂えない奴!
笑いたくても笑えない奴!
泣きたくても泣けない奴!
すべてのロックンロールキッズに贈ります!
BOYS&GIRLS
ず~っと下駄箱の奥に眠ってた
親父の靴の歌で
そう! ダディーズ・シューズ
徴兵反対!
赤紙反対!
赤いラブレター
浮かれたいならダンス!
イカれたいならダンス!
目立ちたいならダンス!
そう、Dance Music!
数年前、テレビで石橋凌のソロライブを見た。相変わらずの歌声に嬉しくなったが、久しぶりに見た姿は大分恰幅がよくなっているじゃないか。見ているうちにふと変なイメージが脳裏をよぎった。
歌のうまさと恰幅によるものなのか、三波春夫? 「お客様は神様です!」なんて煽りはしないでくれよ!
※カタリベ注:
下にエンベッドした「Tokyo Cityは風だらけ」の動画は映画『さらば相棒』のワンシーンでアルバムの音源に合わせたもの。石橋凌以外は ARB のメンバーではありませんので念のため。
※2017年7月19日に掲載された記事をアップデート
2019.07.20
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