その昔、私「シルヴィアとデュエットした男」との称号をいただいておりました(ほぼ知人の中だけですが)。80年代、カラオケのデュエットソングとして、最もポピュラーだった1曲『別れても好きな人(1979年リリース)』を、なんとご本人と歌ったことがあるのです。
その日は、大学生の私が毎日せっせと働いていた木屋町のお店に、仲間の歌手の皆さんに連れられてシルヴィアさんがいらしたのです。初めは「すっごい、キレイな女性が来た」という印象で、ご本人と気付いておりませんでした。私の目の前のカウンターに座り(ラッキー)静かにお酒を飲まれていました。しかし、仲間の歌手の皆さんがカラオケを歌い始めると、ご本人も火が点いたのか「一緒に歌いましょっ」と。
「えーっつ!!! 俺に言ってるのかぁ~」「だって横に本職の人たちがおるやんか」とドギマギしていると、どうも彼女の視線はやっぱり自分に… その時点では、さすがにシルヴィアさんだとわかっていましたので、断る度胸など私にはございません。
もっとも、一緒に歌う度胸はあったようで「何を歌われますか?」とお聞きしたところ「も・ち・う・た」と一言(すっごい色っぽい)。持ち歌って、もしかして『別れても好きな人』かと思いつつ、内心では「それなら何とかなる」と。何せこの時期、男女グループが来店すると大抵歌われていましたから、イヤでも覚えておりましたので。はい。
それで、、、歌ってしまいました。シルヴィアさんと。
「別れても~」(私)
「好きな人~」(おー)
ほかのお客さんも当然のように拍手、大喝采、合いの手、手拍子。あまりの緊張と喜びに、歌い終わった後、思わずガブ飲みしたのをよく覚えています。でも、これじゃ終わらなかったんですよ。しばらくお話ししてたら「次は『アマン』ねっ!」と。
そう、菅原洋一さんと歌って、京都カラオケ界では人気があった曲です。こいつも歌ってしまいました。お帰りになるとき、「ありがとう」と一言(なんていい人だぁ)。思わず握手していただき、チーフが素早く購入してきた色紙にサインをいただき、夢のようなひとときは終りを告げました。しかし、そのサインは、お客さんの誰かに手に渡ったようで、どこに行ったか今だに不明です。
2010年、残念なことに、シルヴィアさんは52歳という若さで永眠されました。つつしんでご冥福をお祈ります。
2015.12.23