当時、テレビ神奈川(TVK)で伊藤政則氏がVJをしていた洋楽ロック番組、ミュートマでライオンの「パワー・ラブ」のミュージックビデオはよく見ていた。Music Tomato Worldだったかな? HR/HM特集なんかもありました。
このバンドを知るきっかけはこの番組だったけれど、ヴォーカリストのカル・スワンの中音域の豊かな歌声を僕は何故か以前から知っているような気がしていた。
たぶん、それはチャーリー・シーンの主演映画『処刑ライダー』(87年・日本公開)の中で使われていた「ネヴァー・サレンダー」という曲がずっと耳に残っていたからだろう。
その後、アルバム『デンジャラス・アトラクション~宿命の砦』に収録された曲を改めて聴いて納得することになるのだが、今度はダグ・アルドリッチの弾くギターに魅せられてしまった。テクニカルでもあり、味のあるアップ・ダウン・チョーキングがまたいい。
そうそう、ライオンのデビューは1984年に『13日の金曜日 完結編』で使用された「ラブ・イズ・ア・ライ」ということだが、大ヒットシリーズだけに聴き覚えのある方もいるのではないだろうか。
ところで、『13日の金曜日』のせいではないのだろうが、ライオンというバンドには不運な出来事が付きまとう。
1986年、6曲入りのEP盤「パワー・ラブ」リリース。これは日本のみの発売であった。そして、彼らはアニメーション映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』のテーマソングを担当する。人気アニメの主題歌といえば一見順調そうにも思えるが、実際はレコード会社に恵まれず低予算での制作だった。そして、いよいよこれからという段階で、レコード会社とマネージメント関係が悪化。ツアーが出来ない上に契約書をめぐる法廷訴訟に発展したと聞く。
1987年になると、ドラマーのマーク・エドワーズのソロ+「パワー・ラブ」を合わせたLPを再び日本のみで発売。同年、フルアルバム『デンジャラス・アトラクション』でようやく米国でのリリースを果たしている。
1989年、セカンドアルバム『トラブル・イン・エンジェル・シティ』をリリースしたが、スタジオが保管していたはずのマスターテープを紛失するなどのトラブルが発生。そのため、レコーディングを全部やり直さなければならなかった。その直後にドラマーのマーク・エドワーズ(元スティーラー)がバイクレース中に事故に遭い、バンドは解散へと向かう。ライオンが残したフルアルバムは上記の2枚だけとなってしまった。
バンド自身の実力とは関係のないところでトラブルが続いた上にメンバーの事故をきっかけとなり解散…
ライオンとして、満足のいくアルバムを残せなかったと思うのだが、ハードロックの王道感溢れるメロディアスでヘビーな「ストレンジャー・イン・ザ・シティ」も、スレイドの「ロック・アップ・ユア・ドーターズ」のカヴァーも良かった。
メジャーレーベルとの契約用のデモも数曲あったらしいが、不完全燃焼での解散となってしまったことは残念としか言いようがない。
結局、夢を掴もうとした街 LAではトラブル続き。これを皮肉ってのアルバムタイトル『トラブル・イン・エンジェル・シティ』だったのだろうか。
2017.06.28
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