内外の多くのロックドラマーがファンであることを公言してはばからないのが「コージー」こと、コージー・パウエル。
ちなみに、中学時代エレキギターを始めたものの手先が器用でないため一年も経たずにドラムに転向した僕ですが、結局下手なまま今に至っているため、「ドラマー」ではなく「ドラムおたく」といったところでしょうか。
さて、最初にコージーを聴いたのは、ラジオです。リッチー・ブラックモアズ・レインボーのライブアルバム『オン・ステージ』のオープニング曲『キル・ザ・キング』でした。足で踏み鳴らす大太鼓「バスドラム」が2つ並んだ所謂「ツーバス」のドラムセットを叩くコージーのプレイを初めて聴きましたが、曲自体のスピード感に加えギターソロの後半、3分19秒あたりからのツーバスの連打には圧倒されました。
そして、初めて生のコージーを観たのは高校時代、マイケル・シェンカー・グループの武道館ライブ。あのカッコいいコージーがそこにいる、というだけで大感激。ただ、その前年にリリースされたマイケル・シェンカーの復帰アルバム『神〜帰ってきたフライング・アロウ』の一連の曲はコージーよりもレコーディングメンバーのサイモン・フィリップスのプレイの方が合っていると思います。
そんな中、コージーにフィットしていると思う数少ない曲の一つが『イントゥ・ジ・アリーナ』です。ライブ映像の2分13秒あたり、離してセットした左右のシンバルを敢えて右手一本で交互に叩きにいくというムダな動き! ……じゃなくて派手なスティック・ワークがコージーのドラミングの醍醐味なのです。
来日時にソロアルバムのプロモーションも兼ねて「つのだ⭐︎ひろ」のラジオ番組に出演した時のこと。番組のコーナーで2人の「ドラム合戦」があったのですが(番組を録音したので後で何度も聞き返しました)、何回聴いても「つのだ⭐︎ひろ」の方がドラマーとしては上手に聞こえてしまうのです。まあ、実際の評価はさておき、むしろこの時、このロックドラマーが自分にとってのアイドルであることを再認識する事になるわけですが。
それから幾年の時を経た、ロンドン駐在からの帰国を間近に控えたある晴れた春の日の夕方。帰宅途中のオフィス最寄りの地下鉄駅の新聞スタンドで買った夕刊紙の小さな記事でコージーの死を知りました(1998年)。スピードの出し過ぎで中央分離帯に激突するという自動車事故とのことで、かつて真剣にカーレーサーを目指していた彼らしい最期だったかと。
当時まだ音楽活動は続けていたようですが、在英中に彼の出演するライブに行かなかった事への後悔は全くありませんでした。ただ「好きなロックドラマーは?」と訊かれれば答えの中に間違いなく彼の名前が出てきます。来年で没後20年になりますが、今だに時折YouTubeで再生する『キル・ザ・キング』の「ツーバスドコドコ」には聴き入ってしまいますね。
2017.03.03
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