2023年 9月27日

茅ヶ崎ライブ開催記念!サザンオールスターズのコンサートはいつだってカーニバル!

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10年ぶりの茅ヶ崎公演! サザンのライブの魅力とは?


9月27日より、4日間に渡って開催中の、サザンオールスターズの茅ヶ崎ライブ。

会場となる茅ヶ崎公園野球場は、今から23年前の2000年8月19日と20日に、やはりサザンがこの場所でライブを開催。その後結成35周年を迎えた2013年のコンサートツアー『サザンオールスターズ SUPER SUMMER LIVE 2013 灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!』の8月31日、9月1日の公演もこの会場で行われている。

メンバー桑田佳祐の出身地であり、1978年のデビュー以来、サザンの幾多の名曲に登場する茅ヶ崎は、ファンにとっても特別な場所。10年ぶりの茅ヶ崎公演開催にあたり、ここでサザンのライブの魅力について記しておきたい。



テレビ映えする桑田佳祐のコミカルでアグレッシヴなパフォーマンス


サザンオールスターズは、50代以上の世代にとっては、1978年、「勝手にシンドバッド」でいきなり『ザ・ベストテン』などテレビの歌番組に登場し、リードボーカル桑田佳祐のコミカルでアグレッシヴなパフォーマンスが人々の耳目を集めたことから、当初は「テレビ映えのするコミックバンド」と勘違いされていた。だが、デビューの年からすでにコンサートツアーを開催、翌79年には早くも『春五十番コンサート』と題した全国ツアーを50公演も行っている。彼らは最初からライブバンドでもあった。

筆者が初めて観に行ったサザンのライブは、1983年から翌年にかけて行われた『SASたいした発表会 私は騙された!! ツアー‘83〜’84』の、84年1月の日本武道館公演。この時は最新アルバム『Nude Man』の楽曲を中心にしたライヴで、その年の7月に行われた『熱帯絶命! ツアー夏 出席とります』の横浜スタジアム公演にも出向き、その熱量に圧倒されてしまった。

サザンといえばスタジアム公演が定着しているが、それまで田園コロシアムでの野外ライブはあったものの、球場ライブはこれが初。原由子の出身地でもある横浜での開催はこれ以降恒例となり、夏の横浜スタジアム、大晦日の横浜アリーナでのカウントダウンライブなど、会場が大きくなるほどに魅力を発揮する彼らのライブスタイルの、ごく最初のステージだったと振り返って思う。そしてスタジアムなどの野外ライブこそが、彼らの本領発揮の場なのだ。

印象深いのは85年に開催された『KAMAKURA TO SENEGAL SOUTHERN ALL STARS avec TOURÉ KUNDA』で、この時はセネガルのバンド、トゥレ・クンダがオープニングアクトを務めたほか、サザンの楽曲にも一部参加するなど、かなり実験的なステージを行った。筆者が観たのは横浜スタジアム公演だが、このツアーはアルバム『KAMAKURA』のお披露目も兼ねており、独創性の高い楽曲が多いこのアルバムのナンバーと、アフリカのバンドによる演奏で、いつものお祭り感とは異なる、サウンド重視のシックで、かつ冒険精神に満ちたステージであった。

「ALL TOGETHER NOW」で佐野元春と共演


この年のサザンは、6月15日に国立競技場で開催された一大イベント『ALL TOGETHER NOW』にも、トリを務めた佐野元春のシークレットゲストとして登場、「悪魔とモリー」など洋楽カヴァーと「夕方Hold On Me」などで共演を果たしている。この時に見せた桑田佳祐のパフォーマンスは圧巻で、客席を完全に巻き込んで、集まった6万3,000人の観客を熱狂の坩堝に送り込んだ。

1985年のサザンは次なる展開を模索している状況にあったようで、それがこの2つのライブに象徴的に表れている。そして彼らは活動休止を発表し、3年後の1988年6月に「みんなのうた」をリリースし活動を再開。全国スタジアムツアー『サザンオールスターズプレゼンツ 1988大復活祭』を開催した。

筆者はこの間にKUWATA BANDのコンサートも観に行き、さらにその後桑田佳祐のソロライブも、94年のツアーや2002年の『ロック・イン・ジャパン』フェスのトリなど幾度も鑑賞した。そこではサザンのライブとは違う、ミュージシャン桑田佳祐のストレートな音楽観が出ており、あの独特の “お祭り感” はサザンだけのもの、独自の祝祭感にあふれたものであることを再確認したのである。

サービス精神旺盛、出し惜しみなしのサザンのライブ


サザンの曲を1曲も知らない日本人などそもそも存在するのか、とは思うが、もし全く知らずに彼らのライブに行っても、大満足で帰路につけることは間違いない。とにかくサービス精神旺盛、出し惜しみなしの “全部乗せ” 状態で、「ミス・ブランニューデイ」のピコピコのイントロが流れただけで会場が大爆発し、「真夏の果実」のようなしっとりしたラブソングにじっと耳を傾けながら過ぎ去りし夏に思いを馳せ、「ボディ・スペシャルⅡ」では圧巻のコール&レスポンス、「いなせなロコモーション」や「HOTEL PACIFIC」「匂艶Night Club」などの曲では会場中が狂乱の坩堝と化すアナーキーな展開、そしてアルバムに1曲は必ず収録されている、ブルース系のヘビーなナンバーでは桑田のギターの上手さを堪能できる。

定番曲の1つ、「Love Affair〜秘密のデート」など、不倫の歌なのに会場は大合唱(横浜観光ソング的側面もあるのだが)になり、「思い過ごしも恋のうち」や「マンピーのG★SPOT」の際どすぎる歌詞も、女性ファンが一緒に歌っている姿は、サザンのライブでしかお目にかかれない現象だ。

あれもこれもと全てをぶち込んで、どの曲を取り上げてもヒットパレードになってしまう満漢全席ライブこそが、サザンの魅力に他ならない。彼らのライブは、特別なことがなくても毎回カーニバルなのである。

サザンのライブの真骨頂、「勝手にシンドバッド」


その象徴的なナンバーが、コンサートの終盤、本編最後に歌われる確率が高い「勝手にシンドバッド」だろう。一度も彼らのライブを観たことがない人でも、2018年、平成最後のNHK『紅白歌合戦』の大トリの後の締めで歌われた「勝手にシンドバッド」のパフォーマンスをご記憶の方も多いかと思う。あの時は曲の終盤に松任谷由実がステージに送り出され、ユーミン&桑田の掛け合いで、NHKホールをサザンのライブステージのようにカオスな光景にしてしまった。そう、まさにあの時の「勝手にシンドバッド」はサザンのライブの真骨頂ともいえるお祭り騒ぎなのである。あのテンションを毎ステージごとに行っているサザンオールスターズというバンドの凄み、そしてそれに呼応するかの如く狂乱状態を一緒に演出する観客たち。全てを巻き込んでカオス状態を作り出し、皆をハッピーにするのが、唯一無二、サザンならではのパフォーマンスなのだ。

2000年の茅ヶ崎ライブを鑑賞した際は、「これでもか!」というほど、上記全ての要素をぶち込んで、なんと全36曲、4時間に渡る圧巻のステージを見せてくれた。アンコールでは、大有名曲だがあまり歌われる機会のなかった「いとしのエリー」を披露し、鳥肌が立つほどの感動を与えてくれた。今年の茅ヶ崎ライブはどんな思い出をファンに残してくれるのか、楽しみでならない。



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2023.09.30
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