2023年 9月21日

後期【ザ・チェッカーズの魅力】決して色褪せない、試行錯誤を繰り返したどり着いた音

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チェッカーズのアルバム「チェッカーズ 40th Anniversary オリジナルアルバム・スペシャルCD-BOX」発売日
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photo:©THREE STAR PRO/COM  

チェッカーズはチェッカーズであり続けながら、音を開拓し続けた90年代


80年代から90年代へ。時代の変化を音楽シーンは敏感に感じ取った。テレビドラマ主題歌からミリオンヒットが連発され、一方ではストリートでは音楽の細分化を象徴する “小箱文化” とも言えるクラブカルチャーが浸透、渋谷系と称されるレコードカルチャーからも数多くのアーティストが輩出された。

こんな異変の中でも国民的バンド、ザ・チェッカーズ(以下チェッカーズ)は、デビュー時期と変わることなく約3ヶ月に1枚というハイペースでシングルをリリース。ヒットを連発する。

幅広い層に支持される国民的バンドというイメージを持ちながら、アルバムアーティストとして、飽くなき探究心で革新的なアルバムをリリースし続けた。つまり、チェッカーズはチェッカーズであり続けながら、音を開拓し続けた時期が90年から92年の後期にあたる。

ハウスミュージックを大胆に取り入れた「OOPS!」


初のセルフプロデュースアルバム『GO』から『SCREW』『Seven Heaven』という3部作で多様性を開花し、ロックバンドとしての堅固なるフォーマットを築き上げたチェッカーズだったが、90年代の幕開けにリリースされた『OOPS!』はこれまでのフォーマットを大きく覆す作品となった。この時期に台頭してきたハウスミュージックを大胆に取り入れた。

『Seven Heaven』では、クラブシーンで大きな盛り上がりを見せたスカをフォーマットにした「HEART IS GUN〜ピストルを手に入れた夜〜」を収録したように、ヒットチャートの常連である彼らが、最先端のサブカルチャーとも密接な繋がりがあったこともわかる。

ハウスミュージックを大胆に導入した『OOPS!』でチェッカーズは自身の音楽性を極限まで引き出す。それは、音楽に無限の可能性があることを示唆しているようでもあった。アメリカンオールディーズの憧憬からバンドを始めた7人がデビューから7年後にハウスミュージックにたどり着くとは誰が想像しただろうか。

『OOPS!』は、シングル曲が未収録で、ラブソングと言える楽曲の比率が従来のアルバムに比べ極めて低い。ここには、『GO』の時見せた原点回帰のロックンロールスピリットと極めて近いモチベーションが感じられる。つまり、誰にも媚びず作りたい音を作る、やりたいことをやるという信条だ。そしてこれこそが、アルバムアーティストとしての矜持でもあったと思う。そしてこの実験的かつ革新的なアルバムで見事オリコンチャート1位を獲得する。



普遍性を追求したアルバム「I HAVE A DREAM」


そして次作『I HAVE A DREAM』では、表題曲が#1、#2とバージョン違いを収録、これをオープニングとエンディングに持っていくことで重厚なイメージを確立。『OOPS!』を経て、真逆の方法論とも言える普遍性を追求したこのアルバムは、大土井裕二、徳永善也というリズム隊が構築した音楽の土台にこれまでのキャリアで蓄積した重厚さが際立っていた。

このアルバムで感じられるクラブミュージックを経由した滑らかなグルーヴ、UKソウルを基盤としたブラックフィーリングも90年代のチェッカーズを体現していた。それは極めてアダルトな雰囲気を醸し出し、「ギザギザハートの子守唄」から8年でたどり着いた回答であったようにも思えた。そして、ここで構築したフォーマットは彼らの集大成とも言える大傑作ラストアルバム『BLUE MOON STONE』へと導かれる。



「いつか愛するあなたに届くように」と歌う「Rainbow Station」


チェッカーズがアマチュア時代に大きな影響を受けたキャロルのラストアルバム『キャロル・ファースト』がメンバー各々のソロの集大成だったのに対し『BLUE MOON STONE』はバンドの結束をそのままに帰結した7人でしか奏でられない音の集大成だった。このアルバムは “解散” を念頭に制作されたと言われるが、終わりに向かう7人が、“解散” の向こう側に見える未来を描いたアルバムだと思えてならない。

ラストナンバーの「Rainbow Station」では ”おいら” というロックンロールの歌詞の常套句である一人称を使い、「いつか愛するあなたに届くように」と歌う。この曲で感じる余韻は、彼らが活動期の9年間を悔いなく走り切ったという思いから生まれるマジックのようにも感じる。チェッカーズは終わった。しかし、それは、彼らの軌跡は永遠だと思わせる余韻だった。

『BLUE MOON STONE』で、9年間という活動期間に終止符を打ったチェッカーズだが、ここまで音楽的進化を遂げたバンドは日本でも稀だ。アイドルとしてキャリアをスタートさせたバンドが試行錯誤を繰り返しながらたどり着いた音は普遍性に満ち溢れ、今の時代にも決して色褪せない輝きを放ち続けている。その証拠に当時からのファンは、チェッカーズの残した音を懐かしさで語ることはない。それぞれのアルバムには、今なお新たな発見が数多く潜んでいる。特に90年代に解散に向かいながら制作された3枚のアルバムは、その時代を鋭角的に切り取りながら彼らが音楽に向き合う真摯な姿勢が熱量として密封されているのだ。



Information
ザ・チェッカーズデビュー40周年を記念してポニーキャニオンからは『チェッカーズ 40 Anniversaryオリジナルアルバム・スペシャルCD-BOX』としてオリジナルアルバム11枚を最新リマスター、高音質UHQCD仕様にしたBOXとしてリイシュー。

そして11月3日には、彼らのラストアルバムにして最高傑作、『BLUE MOON STONE』を初のレコード化、2枚組LPとしてリリース。さらに11月22日にNHKに残された貴重映像をBlu-ray化した『チェッカーズ〜40 Anniversary〜NHKプレミアムBlu-ray BOX』、12月20日には、1992年12月、日本武道館でのチェッカーズラストライブとなった「FINAL TOUR」の模様をファンからの熱い要望もあり最新のリマスター映像のBlu-ray化したものがリリースされる。こちらの特典映像には新たに発掘された1987年の中野サンプラザでの「GO」ツアーライブ映像の一部が収録されている。

©THREE STAR PRO/COM



チェッカーズ 40th Anniversary
https://checkers40.ponycanyon.co.jp

特集:THE CHECKERS 40th ANNIVERSARY

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2023.09.29
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カタリベ
1968年生まれ
本田隆
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