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甦るトランスの音、80年代インディーズは東京という地方のあだ花?
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photo:Discogs  

幾らなんでもこれは…
そんな思いにかられながら,僕は麦酒片手に東京へと向っていた.

現在岡山在住の僕は,就職の面接のために初めて日本地図を広げ岡山を探すほど地理に疎い.それにこれまでは全てが東京を中心に回っていた.災害の少ないこの土地の人は同情心に乏しく人柄が悪い.そんな前情報を真に受けて沈んでいた.

ところが,である.北は山,南は瀬戸内海,気候は温暖,白桃にマスカットがとてつもなく美味く,牡蠣も妙に安い.鰆(さわら)の切り身に粗塩を振って炙った塩たたきなんて,よそじゃちょっと味わえない.聞いて地獄見て極楽.だが意外なところに落とし穴があった.

去る7月23日,僕の通った高校のある新大久保のライブハウスEarthdomでHertzというイヴェントが開催された.出演はRuins Alone, The Sodom Project, Der Eisenrost, Bacteria.ドラムの吉田達也が独りでルインズをやる,Der〜 はZeitlichのChuさん,活動再開後のソドム.かつて存在したトランスレコードのファンなら心ときめくラインナップだ.ちなみに80年代,トランスはナゴム,キャプテンとともに三大マイナー・レーベルといわれていた.

でもまぁいいかと諦めかけていた僕の眼に別のフライヤーが飛び込んできた.「特別編成ドグラマグラ 吉田達也+森川誠一郎+石川忠+川口トヨキ」.吉田さんはYBO2,森川さんはZOA,忠さんはZeitlich.かつてのトランスの面々で「ドグラマグラ」をやるらしい.あぁもうダメだ… 前売りチケットが2,500円で交通費がその10倍.僕は地方在住者の悲哀に涙を滲ませながら,新幹線に飛び乗った.ポジパンでもハウスでも嫌だなぁと思っていたソドムに思わず身体が反応し,うかつにも,名前すら知らなかったBacteriaの音に打たれてしまった.間違いなく,グランジやオルタナを経たトランスの音だ.

80年代の東京で普通の高校生をしていた僕は,せっせとレコード屋を回りライブハウスに通い,インディーズにどっぷり浸かっていた.そんな僕にとって1986年に発売された『NG Various collektiv from Trans Records』は未だに聖典の一つだ. YBO2,Zeitlich,デビュー当時のボアダムス,プログレ・ハードコアのルインズ,ポジパン(Positive Punk)期のソドムなど名曲ぞろい.とりわけZOA(Zionist Organisation of America,通称ゾア)の「Cry the war」なんてオールタイムベストの1曲.僕にとってオムニバスの最高傑作といえばこれなのだ.

そうは言っても,レコードがお店に並ばず,情報誌が取り上げず,客がライブに通えなければ,ミュージシャンは暮らせないしツアーも難しい.「メジャー」じゃないというのはそういうことだろう.80年代のインディーズは東京という地方のあだ花だった.しかし北村昌士はそんなロックのしくみを意識してトランスを創設し『FOOL'S MATE』を発信していた.そしてその音に今も反応し花を咲かせる人がいる.嬉しかった.でもやっぱり,地方在住者にはちと痛い.

2016.08.17
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カタリベ
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