ブラジルでは人種差別はあまりないように感じますが、私が小学校1年生に通っていた学校がドイツ系の学校で、白人が多く、黄色人種が少なかった時代でした。クラスには25人の子どもがいましたが、私が唯一の黄色人でした。
入学式から私はある女の子から毎日のように「わ〜日本人だ!」と指をさされ、笑われていました。最初は気にしたり、落ち込んだりもしていましたが、仲の良い友だちもいたおかげで何事もなく、学校生活を送ることができました。しかし、自分の中で、日本人であることをあまり嬉しくないと思っていた部分があったのかもしれません。それを変えさせたのが、ピーター・セテラの「グローリー・オブ・ラブ」という曲です。
1986年、12歳だった私は、洋画好きな両親に「Karate Kid PartII(ベスト・キッド2)」を観に映画館に連れて行かれました。この映画の舞台は沖縄で、ミス日系優勝者のタムリン・トミタがデビューをするということでブラジルにいる日系人の中でも話題になっていました。私は日系人でありながらも日本のことを全く知らなかったですし、興味もあまりありませんでしたが、この映画では沖縄の街が再現されていたり、日本人の生活も、「日本人魂」、日本人の精神を分かりやすく映り出し、とても新鮮でしたが、同時に「あ、私と同じ」という気持ちになり、日本人であることを再認識し、誇りがもてるようになるきっかけを作ってくれた映画でした。
タムリンがとても美しく、私の憧れの対象になり、主役のダニエル・ラルッソとタムリンとのキスシーンに流れてくる「グローリー・オブ・ラブ」に魅了されて、サウンドトラックまで買ってしまったことを思い出します。その3年後、15歳の時に日本に引っ越す前に母が楽器店で「好きな楽譜買ってもいいよ」と言ってくれた時も、早速この曲の楽譜を買い、ピアノで始まるイントロを自分で弾けたときは本当に嬉しかったです。
その後、日本に引越しをしてから、バラード集の楽譜を買ったことがきっかけでシカゴの「素直になれなくて」が気に入り、ピーター・セテラが同じ曲を歌っていることに驚きました。2012年にデイヴィッド・フォスターが来日をし、「David Foster & Friends」でピーター・セテラが生でこの曲を歌った時には本当に感動し、この映画を始め、当時のことがタイムスリップのように甦てきました。
2016.06.06
YouTube / SPEAKTRUTHALWAYS
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