改めて振り返りたい「LIVE SDD 2026」
春は眠っていた希望と不安がむくむくと顔を出す。浮かれようと思わなくても、自然と足元が浮足立ってしまう!そんな季節だからこそ、4月1日から始まったこの重要な案件はぜひ頭に入れておきたい。今までは自動車だけだった青切符(交通反則通告制度)が自転車にも適用されるのだ。たとえば、チャリンコに乗りながら携帯電話を手に持って通話、もしくは画面を注視すると12,000円の罰金が取られる!他にもいろいろあるので、ぜひ注意してほしい。
なぜこれを音楽サイトで書くのか。実は私、この制度改定と交通事故撲滅を訴え続ける必要性を、ニュースサイトではなく音楽で知らされたからだ。それが2月14日に大阪城ホールにて行われた『LIVE SDD 2026』。とにかく仰天し忘れられない日になった。それは、幸せな毎日の意識が変わるほど。ライブの存在と名前は知っていたものの、もっと形式めいた感じなのかと想像していたら、とんでもなかった…。
プロジェクトリーダーを務めるスターダスト☆レビューとTRFをはじめ、渡辺美里、ゴスペラーズ、ゆずといったレジェンド・アーティスト、そしてアンジュルム、超ときめき♡宣伝部、FANTASTICS、CLASS SEVENという勢いと実力のある若手アイドルグループが、寄ってたかって私の思い込みを蹴り倒してきた。歌の力で!ライブから2か月が経っても感動は持続。チャリンコ青切符スタートの今こそ、改めて振り返り、その活動を再確認したい。むしろ絶好の機会だ。

ヒット曲連発のセトリとメッセージの神バランス
そもそも “SDD” とは何か。STOP!DRUNK DRIVINGの略だ。つまり “飲んだら乗るな” のシンプルな略語。わかりやすいッ。この『LIVE SDD』はドネーション(寄付制)の形を取っているので、ライブに参加する観客も、飲酒運転撲滅の取り組みの仲間・“メッセンジャー” となる。今で19年目、常にチケットは争奪戦。メッセンジャーの数は全国247万人を超えている!今年も会場の大阪城ホールは満席。約11,000人の心熱きメッセンジャーが集まった。開始早々色とりどりのペンライト(サイリウム)が輝き、美しい夜空のようだ。
なによりビックリしたのが、惜しげもなく大ヒット曲を繰り出すレジェンド・アーティストたち。TRFが「BOY MEETS GIRL」「EZ DO DANCE」「survival dAnce ~no no cry more~」、渡辺美里が「10years」「My Revolution」、ゴスペラーズが「永遠に」、ゆずが「サヨナラバス」「栄光の架橋」「夏色」、スターダスト☆レビューが「夢伝説」「木蘭の涙」「愛の歌」‼

しかも、ここでしか見られないであろうコラボ企画で披露される楽曲もあり、最近ただでさえ高めの血圧がより急上昇しないか心配になるほどテンションが上がった。いやもう、何度も “キャースタレビ!” “キャー美里!” と悲鳴と涙を出しながらともに歌ったのは言うまでもない。個人的に、このライブで再発見だったのはゴスペラーズ。テレビで観る10倍くらいの迫力と色気におののいた。初めて聴いた「1,2,3 for 5」もクーッ、ダンディ!帰宅後、公式サイトをチェックしたほどだ。
このように、ただただ名曲が聴けたという歓喜で終わってもいいくらいの神セトリ。しかし一番感動したのは、本来の目的である “飲酒運転撲滅” が薄まらず、しっかりと伝わってきたことだ。レジェンドたちの衰えぬ実力、グループアイドルたちのパワー。多くの人たちをハッピーにしようと願うアーティストたちが、あえて大勢で盛り上がれるわかりやすいヒット曲を選んで、その願いを乗せていた。自分たちの歌で思い出してほしい。少しの意識で守れる命がある、伝われ、伝われ、と。それがダイレクトに届いてきたのである。

会場が静まり返った大東立樹の朗読劇
若手のパワーもすごい。オープニングを飾ったCLASS SEVEN、そして今をときめくFANTASTICS、アンジュルムの躍動感と眩しさに黄色い声が飛ぶ!私は初見だった、超ときめき♡宣伝部の可憐さにクラクラきた。カワイイ。推してしまうかもしれん!そして、この人将来すごいことになるのではと感じたのが、CLASS SEVENの大東立樹だ。
ながら運転撲滅 “STOP! NAGARA DRIVING PROJECT” のパートで、朗読劇を担当していたのだが、つらく悲しいシーンが当然ある。朗読劇なので、読み方の工夫だけで1人で何役も演じ分ける必要もある。非常に難度が高い役割だと思うが、SDDシンフォニックオーケストラの演奏とともに会場を飲み込み、見事世界に引き込んでいた。おかげで、自動車にも自転車にも乗らない私も交通事故という悲劇を自分事に置き、深く考えるきっかけになった。大東立樹さん、絶対日本のドラマ界を背負って立つ人になる。賭けてもいい!

広がっていくSDDのメッセージ
歌や朗読劇だけではない。交通事故はどんな人の生活にも決して無関係ではないのだということを、あらゆる角度で伝わりやすいように考え抜いていることを体感できる構成だった。特に今年はSDDプロジェクトが始まるきっかけとなった、福岡海の中道大橋事故の被害者である大上かおりさんが初めて登場。“自分でやめることができる犯罪、自分で阻止できる” と飲酒運転撲滅を静かに、しかし強く語っていた。また、SDD音楽奨学金の奨学生に選ばれた清水咲良さんもオンラインで参加。会場から大きな拍手とエールが送られていた。当事者の2人が、すごい覚悟を持って自分の言葉で話をされているのは、想像に難くない。
強い想いと願いを重ね、19年継続されてきたSDD。飲酒運転撲滅を願うパートナーも増え続け、今では60以上の関連省庁や団体の後援、約100の協賛が参画している。2012年にスタートした、『JD共済 presents SDD全国こども書道コンクール』など、新たな人気企画も生まれ、おおいに会場を沸かせている。今年は、新たに自転車による飲酒運転撲滅を目指す新プロジェクト『SDD BICYCLE』の始動とロゴが発表されていた。私はそれで、自転車青切符の事を知ったのだった。

歌はスイッチ。繰り返し伝え続ける大切さ
2025年の大阪の飲酒運転による事故件数は147件、2024年は159件だったので、12件減少している。けれどSDDの目標はあくまでも撲滅。ゼロだ。スターダスト☆レビューのコメントには、こうある。
「繰り返し伝えることで飲酒運転はなくなるはずです」
“音楽は必要とされた時、とても大きな力を発揮するからね” 以前、根本要さんに取材した際、かみしめるように言っていた言葉を改めて思い出す。
歌は大切なことを思い出すスイッチ、そして願いだ。私はこれからも「夢伝説」や「My Revolution」を何度も聴く。今回知った「最上級にかわいいの!」も何度も聴く。そのとき、このライブで感じた、幸せな日常と笑顔を守りたいという想いも一緒に思い出すだろうと思う。逆の言い方をすれば、それができるアーティストが揃っていた。悲しい事故を減らすためにここにいる、これを歌う、響かせる!という気迫が集まった『LIVE SDD』。何度も参戦しているメッセンジャーの方、遅ればせながら、羨ましい!
大阪城ホールに歌声が響く『LIVE SDD』は来年で20年。今年、初めてライブの様子がradikoで生配信され、11万人が視聴。この活動がいつか全国に広がり、このSDDの意味が “STOP! DRUNK DRIVING” ではなく、“START!誰もが大丈夫” と祝うLIVEになる日が来ることを信じて。
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2026.04.19