歌手であり、旅人。さだまし74歳の誕生日 さだまさしは、4月10日が誕生日。今年(2026年)で74歳になるという。とにかくお元気だ、驚くほどに!言わずもがな、日本中をあちこち飛び回る歌手であり、旅人。いっそ吟遊詩人といったほうがしっくりくるかも。しかも、彼の旅の範囲は広い。五線譜を線路にし、メロディの汽笛を鳴らし、日本全国はもちろん、世界にも行く。ときには地球を飛び越え、過去も未来も宇宙へも平気で行く!
コンサートでは、そんな自由過ぎる歌の旅に加え、トークもこれまた弾むものだから、正直かなり長尺。なのに、年配の方もウキウキと参加されている。トイレの心配などなんのその、コンサート中は彼の音楽に乗って、みなさんそれぞれの旅をしているのだろう。年齢も引力を忘れ、気が付けばたどり着いているのだ、ふるさとまで。ナイロビやオレゴンまで。シリウスまで。そしてなにより、あの思い出まで!
彼の歌には、もうなくなった景色、失われた恋、会えなくなった大切な人をテーマにした楽曲が多い。聴いていると、記憶の中で忘れかけていた風の匂いや街の色、会話の温度まで復元され、いなくなった人や景色と再会できるのだ。私は先日、ふと流れてきた「親父の一番長い日」を聴き、30年前に死んだ父と再会できた。姉の披露宴で超不機嫌に出されたステーキを食べる顔がそのまんま思い出されて、一人泣き笑い。参った。ある意味危険。さだまさしの歌はちょっと揺れの激しいタイムマシンでもある。
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「主人公」や「案山子」「道化師のソネット」… 生み出した歌は600曲以上 今年で歌手活動53周年。これだけでも十分長いと驚くのだが、バイオリンを3歳8か月から始めたそうなので、音楽活動となると約70年!彼は物心ついた時から、ずーっと音楽の道を進んでいるというわけだ。そして生み出した歌は600曲以上。誰の心にも、きっと大切な歌がある。
「主人公」や「案山子」「道化師のソネット」「北の国から」などは、ファンでない人でもイントロが流れると自動的に口ずさんでしまうパワーがある。なんというか、パブロフの犬系ソングというか。心への刷り込み具合がハンパではない。しかも、ちょっと心が弱った時に彼の歌を猛烈に求めてしまう。コロナ禍のときには、テレビやラジオで「いのちの理由」や「奇跡」を歌ってほしいと出演依頼が殺到したそうだ。
そして、現在も精力的に楽曲を生み出し続けているさだまさし。むしろ「天までとどけ」(1979年)を歌っていた頃、風が吹いたら倒れそうだった20代の彼より、今の方がお元気そうに見える。ご自身も “この年ですが、まだまだ成長するからね” と昨年のコンサートツアーで宣言。会場から大きな拍手が起こっていた。まだまだ大きな木のように、すくすく、のびのび。
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「生命の樹~Tree of Life~」のライナーノーツはもはや詩集 そのパワーは、昨年リリースされたアルバム『生命の樹~Tree of Life~』で存分に堪能できる。いやもうCDの蓋を開けてビックリ、まずブックレットが厚い。 数えてみたらなんと40ページ!最近私は、音楽の聴き方がデジタル配信からCDに戻っているのだが、ブックレットがついているからというのが大きな理由だ。
この『生命の樹~Tree of Life~』には1曲1曲のライナーノーツがみっちりと書かれ、読み応え十分。もはや1冊の詩集だ。クーッ、それにやっぱり紙で歌詞を読めるのは嬉しい。伝わる愛しさが違う!7曲目「風知草」の歌詞の最後、ぽんと離れて一行置かれた「♪るるるるる」の5文字を見て、私は曲ごと抱きしめたくなった。
そして、5月13日にはソロ通算46作目、自身通算51作目となるニューアルバム『神さまの言うとおり』がリリースされる。ぬおー!さすが日々成長する、元気すぎる74歳のさだまさし。情報がどんどん更新されていく。心の旅の準備をし、エッチラオッチラ追いかける甲斐があるってもんである。待ち遠しい!
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吉田政美とのユニット、グレープも本格始動 さだまさしといえば、1976年に解散した吉田政美とのユニット、グレープが2023年からすっかり本格再始動しているのも嬉しい出来事だ。『生命の樹〜Tree of Life〜』に収録されている「初恋駅」「残月」、そして前述した「♪るるるるる」の「風知草」はグレープ名義の歌である。
そもそもグレープは1973年のデビュー作「雪の朝」から名曲揃いなのだ。1975年リリースのサードアルバム『コミュニケーション』は特に名盤。さだは、収録曲である「無縁坂」「縁切寺」「フレディもしくは三教街 - ロシア租界にて -」をはじめとした6曲を、一晩で作ったという逸話が残っている。
このエピソードを読んだ時、すごいを超えて、コワッと思った。いったい何を飲んで食ったらあんな濃い名曲を次々と作れるのか(汗)。いや、もしかすると逆に、何も飲んだり食ったりしなかったのでは。さださん、もう体力気力ともに限界だったのでは……。そういうとき逆に人は、人智を超えた力が出るというのを聴いたことがある。
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グレープのコンサート「春の葡萄祭」が今年も開催 グレープの2人は、今とても楽しそうだ。解散から50年近い時を超え、戻ってきた盟友、吉田政美の存在は、現在のさだまさしにとって大きな支えになっていると『生命の樹〜Tree of Life〜』のライナーノーツに書かれている。なんとも不思議な縁でつながった、オヤジたちの長く賑やかな旅。泣いて笑って、離れてまた寄り添って、今年もグレープのコンサート『春の葡萄祭』が開かれている。
彼の歌を待つファンについて、さだまさしは以前こんなふうに語っていたが、あっはっは、確かに!と身に覚えのある人も多かろう。
「口を開けて笑った3分後に歌に共感して泣いている。そして歌が終わったら、何事もなかったかのように口を開けて笑っているファンが結構多い」
「日経クロストレンド」より
さだまさしが1985年、コンサート1,000回記念として作った「恋愛症候群―その発病及び傾向と対策に関する一考察―」の最後に「♪あなたに 出会えて 心から 幸せです」という言葉がひょっこり出てくる。きっと、これこそ人生の旅の最高の醍醐味。さだまさしさんは人も景色も花も星も、その命に丸ごと “あなたに出会えて心から幸せです” と伝えたくて、歌の旅をしているのではないだろうか。3分ごとに笑ったり泣いたり忙しい旅だけど。
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2026.04.10