4月21日

水谷豊「カリフォルニア・コネクション」と 熱中時代・刑事編のオープニング

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水谷豊のシングル「カリフォルニア・コネクション」がリリースされた日
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コミカルなオープニング映像とチャップリン愛「熱中時代・刑事編」


鮮烈な印象を与えるキャッチーなイントロ…
そのドラマのオープニング映像は、延々と一人芝居を繰り広げる役者をロングショットで映し出していた。

ちょっぴりコミカルな小芝居を観たほとんどの人は、映像の中にチャップリンの姿を思い出したに違いない。素晴らしいオマージュだと思う。このコラムを書くにあたって僕も久しぶりにオープニング映像を観たけれど、計算し尽くされた細かい演技に笑わされ、愛車スバル360で走り去るオチまで含め大いに楽しませてもらった。

チャップリンという銀幕の大スターに対し、幼少のころから敬愛の念を抱いていた彼にとって、これは「いつの日か自分が絶対にやってやる」と思い描いていたシチュエーションコメディだったはず。チャンスは逃さない。完成した映像を観た当の本人は “しめしめ” だったんじゃないかな。そう、その “彼” とは『熱中時代・刑事編』の主人公を演じた水谷豊のことである。

「熱中時代」から「相棒」まで、誰にも真似できない水谷豊の才能


『熱中時代』とは、1978年10月から1981年3月まで日本テレビ系列で放送された水谷豊主演のテレビドラマで、小学校の先生(北野広大)を演じる学園ドラマと、新米刑事(早野武)を演じる刑事ドラマがあり(同シリーズながら、人物や世界観の繋がりはない設定)、どちらのドラマも主役である水谷豊の器用さがフィーチャーされていた。

いまでこそ『相棒』の “杉下右京” という役柄で、お上品でインテリな頭脳明晰という変人刑事を演じているけれど、この『熱中時代』の水谷豊は、純朴で子ども思いの熱血先生、あるいは失敗を繰り返しながらも事件を解決していく熱血刑事という “夢中になると周りが見えなくなる” タイトル通りの役柄を演じていた。

同じシリーズでありながら異なる役を演じ分け、それでいて基本の人物像に統一性があるという演技の器用さは、まさに天才の仕事としか言い表せない。しかし本人は、きっと2つのキャラクターを演じ分けようなどと気負ってはいなかっただろう。純粋に役柄を理解して打ち込める… その器用さが彼の強みであり、そこに誰にも真似できないという天性の才能を感じるのだ。

その才能の片鱗は、TBS系列で放送された大人気ドラマ、赤いシリーズの5作目『赤い激流』で演じたピアニスト役で見受けられる。彼は、全く弾けなかったピアノの練習を重ね繊細な指遣いを習得し、「英雄ポロネーズ」など実際に弾いているかのような迫真の演技を見せた。 そんな努力家である面もあってこその器用さが天才の所以だと僕は思っている。

主題歌「カリフォルニア・コネクション」を作曲した平尾昌晃の才能


ということで、1979年4月から放送された『熱中時代・刑事編』の主題歌で、主役の水谷豊が歌う「カリフォルニア・コネクション」について振り返ってみたいと思う。この曲は、水谷豊5枚目のシングルで、およそ65万枚を売り上げた大ヒット曲。深読ミストの僕からすれば、阿木燿子の描く歌詞の世界を妄想したいところだけど、今回注目したいのは作曲家:平尾昌晃の職業作家としての仕事ぶりだ。

「カリフォルニア・コネクション」を覚えている人はサラッと口ずさんでみて欲しい… 特に男性の方、めちゃくちゃ歌いやすいと気が付くはず。そう、この曲はキーがかなり低く設定されていて、なおかつメロディーの音域も9度(B♭~C)という驚くべき狭さで作られている。まず、この狭い音域の中であれだけメロディックなラインを作りあげた平尾昌晃を称讃したい。

使える駒が少ないのに、それをものともしないアイデアがいっぱいなのだ。たとえば、メロディーが始まる冒頭8小節(4フレーズ)は、ほぼ音程のアナグラムである。その後も音域の狭さを考慮してなお音楽的な豊かさ、一度聴いたら忘れられないような旋律を生み出すなど、平尾昌晃はメロディーメーカーとして類まれな才能を「カリフォルニア・コネクション」で十二分に発揮した。この曲はまさに天才と唸らせる作品であり、聴くほどに職業作家としての凄みを感じるところだ。

歌番組に出演する役者たちはものすごくシャイ?


ところで、僕はこの「カリフォルニア・コネクション」を生で歌う水谷豊の姿を、歌番組で観たことがある。スタジオトークでは何を質問されても耳まで真っ赤にしてほとんど喋ることが出来ず、ものすごくシャイな一面を覗かせていた。

当時の役者さんにはそういう傾向があったようで、同時期に『池中玄太80キロ』の主題歌「もしもピアノが弾けたなら」を歌い大ヒットさせた俳優の西田敏行も、歌番組に出演したときはドラマで観る姿とはイメージが全く違い、ただひたすらモジモジしていたのを覚えている。

きっと役者というのは、台本があって役になり切ることで堂々としていられるのだろう。役ではない素の自分を出す場面に遭遇すると、途端に恥ずかしくなってしまうのかもしれない。

熱烈希望「熱中時代・刑事編」の DVD化!


さて、『熱中時代・刑事編』に関して唯一の不満は、二度と観ることができないこと。教師編はDVDボックスが発売されているのに、刑事編は何故かDVD化されてないし再放送もしないのだ。

僕個人としては、刑事なのにお洒落なスーツに身を固め、独特なリーゼント(両側に分け目を入れて真ん中だけ立てた髪型)で活躍する姿や「あーららららららら…」という口癖、愛妻を演じたミッキー・マッケンジーの「ティケィシー!」という舌足らずな発音と演技が観たいのだ! これは同様に思っているファンが絶対いるはずなんだけど、関わったスタッフの皆さん… どうにかならないですかねぇ。なんだかんだで、いまの『相棒』シリーズの原点が、この『熱中時代・刑事編』にはあるはずなのだから。

温故知新… 80年代の音楽には現在に通じる音楽的素養があって、それは60年代、70年代と積み上げてきた歴史の上に成り立っているものである。同じように現在活躍するベテランの俳優、女優なども遡ってその原点に触れてみるのはとても有意義だと思うんだけどなぁ。そこで、『熱中時代・刑事編』DVD化を、この場を借りてぜひともお願いしたい次第である。それは天才の再発見に繋がる “コネクション” になり得るのだ。

2020.04.17
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カタリベ
1967年生まれ
ミチュルル©︎たかはしみさお
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