1979年は歌謡曲全盛であると同時に、Char、原田真二、世良公則も活躍し、歌謡曲とロックが絶妙なバランスで混在していました。たくさんの歌番組からヒットソングが溢れ、私もテレビに釘付けとなっていた時期です。
僕にとって、野口五郎は「カックラキン大放送」の面白いお兄さんで、番組の途中で歌を歌ってるなあ、というくらいのイメージでした。しかしながら、1979年4月21日に発売されたシングル「真夏の夜の夢」でいきなりギターを弾きだしてビックリ!
その姿を見たのは彼がよく出演していた「夜のヒットスタジオ」で、バックコーラスのお姉さま方(イブ)と自身のバンドを率いる姿に心を奪われました。ゴロンボ刑事(カックラキンでのキャラの名前)かっこよすぎ!!
そして、同年7月10日に発売された「女になって出直せよ」ではさらに進化を遂げ、なんだか難しそうなギターソロを、しかもそれに合わせて歌も歌っているのです。
後に、オクターブ奏法にスキャットを合わせて弾く ジョージ・ベンソン・スタイルであることや、こういった曲調をクロスオーバー(現在でのフュージョン)と呼ぶことも知りましたが、この路線は時代が早すぎたのか、この二曲だけで幕を閉じ、同年9月15日発売の「青春の一冊」以降は王道の歌謡曲路線に。
ああ、あの感じをもっと聞きたかったなあ…
しかし、私が高校生になった80年代中頃、中古レコード屋を巡る中で新たな事実を知りました。野口五郎は 1980年5月1日に、ライブ盤『10th ANNIVERSARY U.S.A. STUDIO CONNECTION』を発売していたのです!
なんと、デイヴィッド・サンボーンやドン・グロルニック、さらには現在もキング・クリムゾンのベーシストとして活躍するトニー・レヴィンといったアメリカの凄腕ミュージシャンとともにクロスオーバー路線を極めた、80年代の幕開けに密かに輝いた宝石のようなLP。このアルバムの中の一曲「君こそわが青春」は名曲中の名曲。
まさに青春でした。
2016.02.15