渡辺美里の「My Revolution」をエンドレスリピートしながら、高校生のとき私はよく一人旅に出ていた。
学校を午前中に早退して鎌倉まで海を見にいったり、親に行き先も告げずに青春18切符で鈍行を乗り継ぎ、仏像を見るためだけに京都や奈良に行ったりと当時から逃避癖があった。
私は常に学生生活に不満を抱き、早く抜け出したいと思って生きていた気がする。そう、退屈な今を抜け出せれば、きっと革命が起きて理想の未来が待っている!
ずっとそう思っていた。
自由に各地を旅できる友人たちを羨ましく思っていた。いっそずっと旅をして暮らせたらどんなに幸せだろうかと。
しかし現実は厳しく、理想の世界は広がるばかりか試練が襲うようになる。だから定期的に現実逃避の旅が私には必要だった。逃げても何も変わらないし、そんな今に幸せは感じられないこともわかっていたけど逃げたかった。だからこそ、このフレーズが心に刺さった。
「きっと本当の悲しみなんて 自分ひとりで癒すものさ」
全ての答えは自分の中にしかない、だから解決できないこともない! 味方は私自身だ! と不思議と前向きになれた。少しずつではあるが、現実から逃げずに自分と向き合えるようになったきっかけの曲だった。
そして私にとっての革命的な格言、「マイ・レヴォリューション・センテンス」をここでもう一つ挙げておく。
『運命は一秒で変わる』
3浪した予備校時代、英語読解の授業をしていた先生が口ぐせのように放っていた言葉。予備校に通いながらも暇さえあればローカルな映画館に入り浸り、読めるふりして知ったかぶって英語長文を解いていた私が18年間覚えている数少ない名言である。
残念ながら当時の私の大学受験の運命はさほど変わらなかったが、つい先日、実感せざるを得ない出来事があった。
ある日、3年間でかなりの成長を遂げている男子生徒の歌声をレッスン中に聴きながら、いろいろなことが頭の中を駆け巡った。
通い始めた頃とは別人のように上手くなったなぁとか、私の罵詈雑言まみれのレッスンによく耐えてくれてるなぁとか密かに感動しながら、私はこの仕事に就けて本当に幸せだなぁと余韻に浸り始めたとき、今まで閃きもしなかった考えが浮かんだ。
マンツーマンレッスンで80人の歌声に定期的に触れられてるって実は凄い貴重なことなんじゃない?
私は毎日生徒さんの声、心の中を12年間旅していたんだ。この経験をシェアしたい人もいるんじゃない??
そう思えた瞬間、パズルがぴたっとはまるように心が満たされた。
まさに『足るを知る』。
私は既に旅人だったのだ。
2017.11.13
YouTube / nonchan 45sai
Information