昨日なにしてたの?
そんな昔のことは覚えてない
今夜会える?
そんな先のことは分からない
ご存じハンフリー・ボガードが主演した映画『カサブランカ』の名場面である。飲み会が増える忘年会シーズン、一度でいいからカミさんにこんな返事をしてみたいものだ。
昨日はどこで飲んできたの?(あんなベロベロになるまで)
そんな昔のことは覚えてない
今夜はご飯食べるの?(こっちにも予定があるのよね)
そんな先のことは分からない
はぁ~?(怒)
当分家に入れてもらえなくなることだろう。
さてカサブランカと言えば沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」(1979年)が思い出されるが、カサブランカのあるモロッコから、ジブラルタル海峡を挟んで反対岸のスペイン領にアンダルシアという地方がある。
ここをモチーフにした、これまたかっこいい曲が1989年にリリースされた。タイトルは「アンダルシアに憧れて」。ザ・ブルーハーツの真島昌利がソロデビュー曲として歌ったものだ。
トニーが何をしくじったか分からないが、敵対する組織と対決することになってしまった主人公達は罠にはまってしまう。
男同士の命のやり取り、律儀すぎるほどの女への想い、そこに情熱的なフラメンコの旋律が見事に融合しており、行った事はないけどアンダルシアの情景が目蓋に浮かぶ秀作である。
是非、今時の草食系と呼ばれる男子には、熱い男の歌を聴いて欲しいものだ。
ただこの曲、フラメンコチックな旋律なのに「カスタネット」が入っていないのだ。私としてはそれが残念でならなかった。
それからというもの、私はカラオケボックスに行くと必ず店員にカスタネットの有無を聞くようにしている。もし有れば「アンダルシアに憧れて」を歌うし、無ければ歌わない。
カスタネットは幼稚園から習っているので腕には自信がある。カチカチカチカチとカスタネットを叩きながら全力で歌う。
ザ・ブルーハーツを歌う時と同様に全力で歌う。ネクタイを鉢巻き代わりにして全力で歌う。
“男と言う生き物は、目先の損得で生きているんじゃない、情熱で生きているんだ” っていうメッセージを込めて歌う。
…… でも誰も聴いていない。
草食系の部下が電話で話している「はい、あと、カルピスハイ2つ追加で」
私のグラナダの詩は響かなかったようだ。
2017.12.19
YouTube / AYKIM
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