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早見優、小泉今日子、堀ちえみ!花の82年組が主演した「秋のアイドル映画」ベスト5

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“花の82年組” 主演作品を年代順に5作品を紹介


昭和の中・高校生にとって秋は文化祭や体育祭等色々行事も多く忙しい時期でした。しかしながらそんな中アイドル映画はしっかり公開されていました。今回は9月〜11月に公開されたアイドル映画のうち、“花の82年組” 主演作品を年代順に5作品ご紹介したいと思います。

たのきん、イモ欽の女性アイドル版、“パンジー” 主演の青春映画


夏の秘密
(1982年9月18日劇場公開 配給:松竹)

アイドル映画の製作には大きく2パターンあると思います。1つは本人の人気が出て、歌だけでなくドラマや映画に挑戦と言ったケース。もう1つはデビューに併せて宣伝も兼ねて製作されるケース。

1981年モデルクラブ最大手だったオスカープロモーションがタレント育成に乗り出します。そのころ “たのきん” “イモ欽” が台頭しており、事務所首脳陣が “女性アイドル版トリオを作ったらひょっとするかも” と思い選ばれたのが北原佐和子、真鍋ちえみ、三井比佐子の2名。榊原郁恵主演のドラマ『先生は一年生』に抜擢され、同番組のプロデューサーに “パンジー” と命名されます。

その頃1982年の秋に向け中身の濃い青春映画を製作しようとしていた松竹。争奪戦の上でパンジーを獲得します。

1982年に入り、3月に北原が「マイ・ボーイフレンド」、5月に真鍋 が「ねらわれた少女」、 6月に三井が「月曜日はシックシック」でデビュー。しかしながら「マイ・ボーイフレンド」がオリコン最高25位、「ねらわれた少女」が同91位、「月曜日はシックシック」が同93位と苦しいスタートに。

前置きが長くなりましたが、そんな中1982年9月に公開されたのが『夏の秘密』でした。映画チラシには――



「物語は、ちえみとチャコの通っている小田原の高校に、佐和子が転校してくるところから始まる。佐和子が2人と同じ水泳部に入部したことか、3人は急速に仲良くなったが、ちえみとチャコには、佐和子の影のある行動がちょっと気になる。そして、高校で殺人事件が発生し、佐和子に疑いがかかったのだが…」

―― と書いてあるものの、当時の映画評なんかを見ると、「松尾嘉代他大人俳優の話が中心となって展開してパンジーの青春部分が薄い」と。パンジーファン冨田格さんのコラム(『アイドル映画の珍品「夏の秘密」パンジーとは北原佐和子、真鍋ちえみ、三井比佐子のユニット』参照)に、当時の製作背景が語られています。

アイドル映画製作って、多くの大人の事情が絡み合う大変な作業だったのかと推測されます。現場で鍛えられたプロの映画人たちによって完成した作品を鑑賞できることに、まずは感謝すべきなのかもしれません。

あだち充原作漫画の実写映画化、マドンナみゆきを演じるのは三田寛子


みゆき
(1983年9月16日劇場公開 配給:東宝)

1978年の『ナイン』以降『陽あたり良好』『タッチ』など少年少女から圧倒的に支持されていたあだち充原作漫画の実写映画化。血の継がっていない妹みゆきと、マドンナ的存在の同級生みゆきに恋心を抱き、二人の間で戸惑う少年を描く青春ラブコメディ。



主人公若松真人役は1983年相米慎二監督の映画『ションベン・ライダー』でデビューした永瀬正敏。本作の主題歌「南風ドリーミン」も担当。妹みゆきを演じるのは翌年の1984年に「蒼い多感期」でレコードデビューした宇佐美ゆかり。そしてマドンナみゆきを演じるのはTBSドラマ『2年B組仙八先生』で注目され1982年「駆けてきた処女」でレコードデビューした三田寛子。

監督は1981年『ガキ帝国』で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞した井筒和幸。見た目怖そうな監督ですが、本作を引き受けたものの、原作を読んで舞台設定の根本的なイメージが追いつかなくなり、全く脳が動かなくなって女子医大病院の精神科に駆け込み、精神科医から「仕事のストレスでの離人症のため、最低2ヶ月の療養が必要」と診断されるが、撮影は3日延期したのみでクランクイン。1日3度の抗鬱剤を飲みながら作品を完成させたのだとか。同時上映はアニメ版『ナイン』。あだち充ファンには満足の2本立て?

主題歌は「PASSION」、早見優主演のハードボイルド・ラブストーリー


キッズ
(1985年9月14日劇場公開 配給:松竹 / 松竹富士)

1985年、3年目に入った82年組はそれぞれが方向性に試行錯誤しておりました。

1982年4月21日「急いで!初恋」でデビューした早見優は、1983年4月「夏色のナンシー」の大ヒットを経てキュートなポップス路線を進みます。しかしながらバイリンガルの先輩として可愛がってもらっていたアン・ルイスの勧めもあり、クールなロック路線へと軌道修正。1985年2月にアン・ルイスのアルバム『I LOVE YOUより愛してる』に収録されている「女・Tonite」のカバー「Tonight」、同年5月にはリック・スプリングフィールドのアルバム曲のカバー「STAND UP」をリリース。



そんな時期に製作された『キッズ』は、王道のアイドル映画とは全く違うハードボイルド・ラブストーリー。横須賀米軍基地周辺の港町を舞台に、秘密の拳銃製造工場から盗まれた3丁の拳銃を巡って事件に巻き込まれていく姉(早見)、弟(角田英介)、恋人(佐藤浩市)のドラマ。愛する人たちを奪われ、怒りに燃え拳銃を手に敵地に乗り込むジャズシンガー、サキを演じます。

主題歌は本人歌唱の「PASSION」。前年に化粧品CMソング「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」でブレイクを果たした中原めいこが作詞・作曲を担当。ポップスとロックのバランスが絶妙なアッパーチューン。オリコン最高10位(累計11.7万枚)のヒットになります。

同時上映はジャッキー・チェン主演『ファースト・ミッション』。今から思えば意外に良い2本立てだったかも。

堀ちえみ映画主演第1作は三島由紀夫原作による文芸映画「潮騒」


潮騒
(1985年10月10日劇場公開 配給:東宝)

1981年第6回ホリプロタレントスカウトキャラバンで優勝、1982年3月21日「潮風の少女」でデビューした堀ちえみ。1983年TBSドラマ『スチュワーデス物語』で “何があろうとも決して諦めない” 松本千秋役でブレイク後は、女優業の方が忙しくなっておりました。

そんな彼女の映画主演第1作は三島由紀夫原作による文芸映画『潮騒』。伊勢湾に浮かぶ神島を舞台に力強く愛を貫き通す恋人たちの物語。日焼けした健康的なあまちゃん役は『スチュワーデス物語』で確立した “ドシでのろまな亀だけど決して諦めない” キャラクターにつながっていて、これまでこの役を演じてきた吉永小百合や事務所先輩の山口百恵より合っていたかも。相手役には同事務所の鶴見辰吾。



ホリプロ25周年記念作品なのですが、1本立てではなく同時上映は武田鉄矢主演『刑事物語 くろしおの詩』。

デビュー6年目、小泉今日子3作目の映画主演は「快盗ルビイ」


快盗ルビイ
(1988年11月12日劇場公開 配給:東宝)

1982年3月21日「私の16才」でデビュー。聖子ちゃんカットの典型的な82年アイドルの1人だった小泉今日子が、1984年「まっ赤な女の子」の発売前ショートカットになり、“かわいい” から “かっこいい” に自己のイメージを変化。主演映画は第1作がアイドル映画王道の少女漫画原作『生徒諸君!』(1984年12月公開)、第2作が本人も企画に参加して製作された『ボクの女に手を出すな』(1986年12月)。こちらに関しては以前書いたコラム『小泉今日子「木枯しに抱かれて」脱アイドル路線で女性ファンの支持を獲得!』を。

デビューから6年目の1988年3作目に選んだ『快盗ルビイ』は、本業イラストレーターながら監督デビュー作『麻雀放浪記』で高い評価を得た和田誠監督が、ヘンリー・スレッサーの短編集『快盗ルビイ・マーチンスン』を映画化すると言う企画。元々主人公・相棒とも男性だったのを男女にすることで恋愛要素を加味。



ある日、母と二人暮らしのドジで冴えないサラリーマン・林徹(真田広之)の住むマンションの上の階に、スタイリストの加藤留美(小泉)が引っ越してくる。ひょんなことから2人は親しくなるが、留美は徹に自分の正体は犯罪者のルビイだと打ち明ける。嫌がりつつも、気がつけばルビイに押し切られ、相棒として数々の犯行計画に加担することに。

まずはクールなルビイに振り回されるサラリーマンを演じる真田広之の、アクションスターではないコミカルな演技が達者。そして、おしゃれな映画としての要素が色々なところに散りばめられています。

白黒の大きなハンフリー・ボガートのポスターが飾られるルビイの部屋が基本モノトーンなのに対して、ルビイの20数点の衣装やアクセサリーはカラフル。当時小泉が知り合いのおしゃれなスタイリストを誘い、キャラクターのファッションを作りこんだそうです。最近のインタビューでも小泉は――

『ルビイのスタイリングは古臭くならず、スタンダードになっていったものもあるし、ぐるっと周って今カッコイイと思えるものもある。さすがプロの方たちに作ってもらっただけある。』

―― とおっしゃっておりました。

また、監督こだわりのセット撮影で描かれる屋上の夕陽の総天然色の美しさや、劇中往年のハリウッド映画のようなミュージカルシーンでルビイと徹が「たとえばフォーエバー」を歌うシーン、多数のお楽しみゲストが出演していて、エンドクレジットで舞台のカーテンコールのように1人ずつ登場するのも楽しい演出。

そこで流れる和田誠監督作詞、大瀧詠一作曲の主題歌「快盗ルビイ」はシングルレコードとはアレンジの異なる八木正生編曲のミュージカル調バージョン。と言った感じで細部まで洗練された映画なので、令和の若者たちにも鑑賞してもらって感想を聞いてみたい作品になっていると思います。


―― という感じで、今回は5作品に絞りましたが、いかがでしたでしょうか?

因みに番外編として、以前コラムを書かせていただいた1985年9月14日劇場公開『原田知世主演「早春物語」自ら主題歌も歌う角川映画10周年記念作品』も良かったら読んでみていただけたら嬉しいです。

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2023.10.23
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カタリベ
1967年生まれ
高橋みき夫
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