1994年 11月10日

ミスチル最大のヒット曲「Tomorrow never knows」は大人になった僕たちのアンセム

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90年代デビューアーティストヒット曲列伝vol.7


■ Mr.Children「Tomorrow never knows」
作詞:桜井和寿
作曲:桜井和寿
編曲:小林武史 & Mr.Children
発売:1994年11月10日
売上枚数:276.6万枚

1990年〜1999年の10年間にデビューし、ヒットを生み出したアーティストの楽曲を当時の時代背景や、ムーブメントとなった事象を深堀しながら紹介していく連載の第7弾。今回は、Mr.Children「Tomorrow never knows」を紹介します。

ドラマ「若者のすべて」のオープニングで映し出された “工場地帯の夕焼け” に観る、儚さと美しさ


「Tomorrow never knows」は、最終回のラストでV6の井ノ原快彦が「負けるわけにはいかねぇんだよ!」と言い残し去っていく衝撃的なシーンで終わりを迎えるドラマ『若者のすべて』の主題歌に起用され、ダブルミリオンヒットを記録します。

『若者のすべて』に出演した俳優陣は、萩原聖人、SMAPの木村拓哉、鈴木杏樹、武田真治、深津絵里と、その後のテレビドラマで主役を務めるメンバーが揃った豪華な布陣。このメンバーが、川崎の下町で生まれ育った幼馴染みの仲間を演じ、夢を追い苦難を重ねながら生き抜く青春群像劇は、大きな話題となりました。

ドラマ放送時、中学生だった私は “大人になったらこんなにつらいことばっかりなのかな” と感じながらも、リアルな現実としっかり向き合い進んでいく、まさに「若者のすべて」を演じていた俳優陣の演技に心を奪われていたことを思い出します。

演技とともに心を奪われたのは、ドラマのオープニングで映し出された “工場地帯の夕焼け”。鍵盤の音が震えるように儚く響くこの曲のイントロから、登場人物のモヤモヤした心情を浮き彫りにするリアルな表現で描く歌詞が入り込んでくる主題歌として起用された「Tomorrow never knows」は、ため息がでるほど美しく、映像とマッチしていました。

心が震えた音楽と映像は、色々なことを知って大人になった私を鼓舞してくれます。そして心の奥にずっとある、決して忘れてはいけない強い気持ちの拠りどころになりました。勝利も敗北もないまま孤独なレースが続いても、優しさだけじゃ生きられず、別れを選んだ人がいても、今より先へ、手を伸ばしていくことを止めない! 同世代の方で、私と近い感情を覚えた方、多いのではないでしょうか。



信藤三雄が手掛けた8cmシングルのジャケットと、崖で叫んでいるミュージックビデオ


ドラマ『若者のすべて』のオープニングとともに、この曲を語る上で思い出す映像がもう一つあります。それは、ドラマ放送開始の少し後に公開された、この曲のミュージックビデオです。

Mr.Childrenのフロントマン桜井和寿が、オーストラリアにあるグレートオーシャンロードの崖で、サビの歌詞「果てしない闇の向こうに 手を伸ばそう」を、叫ぶように歌う映像を観た私は、その壮観な映像とサウンドアレンジに鳥肌が立つほど震えたことを今でも鮮明に覚えています。



―― 時が経ち、大人になった私は、この曲の黄色い空に羽ばたく鳥が描かれる8cmシングルのジャケットと、崖で叫んでいるミュージックビデオを制作したのは、松任谷由実をはじめ、渋谷系と呼ばれていたアーティストやエレファントカシマシなど、多くのミュージシャンのデザインを手掛けていた信藤三雄というアートディレクターだということを知ります。

信藤三雄は、音楽はサウンドだけではなく、ジャケットやアートデザインとしても楽しめて感動を与えてくれるものだということを私たちに教えてくれました。

信藤三雄という存在を知り、作品に注目し始めてから、この作品も、あの作品も手掛けたのは信藤三雄だったのか! と、ドラマや映画の伏線回収シーンのように、自分のフェイバリットがことごとく信藤三雄作品だったことを知った時の多幸感は一生忘れないでしょう。

2023年2月10日、信藤三雄は、沖縄県の自宅で胃がんで亡くなりました。亡くなったニュースを知って私が一番最初に聴いた曲は「Tomorrow never knows」でした。

大人になって感じるようになった悩みや葛藤を言葉として具現化した「Tomorrow never knows」


美しい夕焼けと工場地帯、そしてグレートオーシャンロードの崖で叫ぶ映像を思い浮かべながら、子供の頃にこの曲を聴いて感じたパッションは本物だった。

それが間違いじゃなかったことを証明するために、これからどんな未来が待っているとしても、自分の思う道をがむしゃらに進もう。

つらいことや悲しいことはこれから、きっとある。

でも、やるんだよ!

―― という想いがこみ上げ、目から涙がこぼれてきました。

「Tomorrow never knows」は、記録で語られることも多いですが、90年代に青春を過ごしてきた世代は、大人になって感じるようになった悩みや葛藤を言葉として具現化し、私も同じ気持ちだよと、語りかけてくれるかけがえのないアンセムなのです。

これからも、心のまま僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ。

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2023.06.06
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カタリベ
1979年生まれ
藤田太郎
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