4月10日

これぞ最上級!大賀典雄プレゼンツ、大物来日アーティストへのおもてなしディナー

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レコード会社のカンパニーディナーとは?


洋楽アーティストが日本に来るのは、興行会社の招聘でのコンサートか、レコード会社の我々が必要な時にリクエストするプロモーションでの来日か… ほとんど、この2つの機会だけです。インタビュー取材やTV出演などでアーティストに協力的になってもらうためには、少ない機会を生かしてアーティストリレーションをうまくやっておかないといけません。彼等に対してレコード会社としてのホスピタリティを発揮する大事な機会が、“カンパニーディナー” です。

ツアー同行中に担当者が一緒に食事をしたり、取材が終わって食事をすることは多々ありますが、これはいくら食事代を会社の金で払っていると言っても、カンパニーディナーではありません。部門長以上のクレジットをもつ幹部や役員主宰でのディナーがそれにあたります。

実は、懇意にしているアーティストはともかくも、特にキャリアのあるアーティストやマネージャーは、“誰が主宰するディナーなのか” に非常に敏感です。この国(この会社)における自分の立ち位置がどのレベルなのかを、こういうことでも判断するのです。

これぞ最上級のディナー、Mr.SONY こと大賀典雄も参加!


こちらとしては、“あなたに気を遣っているよ” とアピールするためのものですから、ちょっともったいぶって、時にはフォーマルに、時にはカジュアルに、相手のタイプやアーティストの格などによって会食の場を選び、こちら側の出席メンツも考えていました。

ちなみに当時は洋楽部長職以上の上位者は、社内には社長のみ。よって、カンパニーディナーと言うと、部長主宰のものがほとんどでしたが、アーティストの格によっては社長を引っ張りだしたり、時には、親会社SONYの大賀典雄社長にまでご登場願うこともありました。というのも、大賀社長はCBSソニーの創始者であり初代社長。自分で作ったレコード会社を我が子の様に可愛がってくれていたし、そもそもが音楽家です。こういうアーティストと交わる機会は喜んで参加してくれました。

大賀社長参加となると、このディナーは一気に “Mr. Ohga Presents” ということになります。Mr.SONYとしてアメリカにも轟いている彼の名前ですし、これ以上の上位者はいないので、これぞ最上級のディナーでした。

ビリー・ジョエルの場合は、最高級フレンチ “マキシム・ド・パリ”


私の担当アーティストで大賀社長が初めて参加したのは、1984年5月のビリー・ジョエル来日時のディナーです。会場は銀座ソニービルにあった最高級フレンチレストラン「マキシム・ド・パリ」。

巨大なアクリル板で作った記念ディスクなど贈呈され、ビリーも大そうご満悦でした。婚約者のクリスティ・ブリンクリーも同席しており、ビリー・カップルにカメラを向けると、パパラッチのスクープ写真を避けるような素振りで顔隠したりしておどけてくれました。そういうご機嫌な2人でした。

このディナーには松田聖子さんも同席していました。急遽、翌日の武道館公演で彼女はコーラスをやることになったのですが、このあたりのいきさつも含めたエピソードは、以前アップした『松田聖子もオモテナシ ♡ ワンパク坊主、ビリー・ジョエルの素顔のままで』で詳しくレポートしています。機会ある時に読んでいただければ嬉しく思います。

ちなみに、これ以前の来日時には何度も部長主宰のカンパニーディナーが行われてましたが、その時はビリーが大好きな六本木の高級炉端焼きのお店でした。ここは安倍元首相とトランプ大統領が訪ねて有名になったあのお店です。ビリーは気取らない陽気なニューヨーカーです。本来はこういう活気があって楽し気なお店を気に入っていました。

ブルース・スプリングスティーンは、ディナーというよりパーティ好み?


ビリーの翌年1985年4月ブルース・スプリングスティーン初来日公演の際にも大型のおもてなしを行っています。SONY大賀社長主宰のカンパニーディナーとなると、同じく「マキシム・ド・パリ」でのものですが、これはディナーというよりはパーティでした。この場合でもこの店はジャケット着用ですから、1年中Tシャツとジーンズ以外見たことがないクルー達のぎこちないジャケット姿をみると、思わず冷やかしたくなりました。

日本側出席者は社内の洋楽関係者のみ。もちろん興行会社のスタッフも同席ですが、懇親会的な佇まいで日米合わせて総勢50名ほど。先方からのリクエストで、かしこまった儀式はなく、ハイライトは大賀社長からブルースへのディスクとSONY製品の贈呈がメインでした。

この贈呈の直後にブルースは仲間達に「スピーチ、スピーチ!」と催促され、マイクを握ってくれました。

「初めての東洋の国日本で、初日のステージにあがるまで緊張していたが、観客たちの熱い声援が自分をリラックスさせてくれた。本当に嬉しかった。また帰ってきたい」

…と、嬉しいスピーチでしたが、実は個人的に妙に嬉しかったのがその直前です。仲間に促された時「where is my guitar?」と言いつつ、照れながら「Well, I got the guitar, I learned how to make it talk」と独り言を言いながらマイクに向かったのですが、これは彼のレパートリーである「涙のサンダーロード(Thunder Road)」の歌詞の一部。外人仲間には大ウケでしたが、私も感動。日本人は私以外、誰も気付きません。そりゃそうですね。

このパーティでは出席者全員へのギフトとして、日本公演大成功記念のパーカーを準備していました。ただ残念なことに、日本で調達できるサイズには限界がありました。外人のデカい連中は相撲の力士並みに巨大です。分かっていながらも、さすがに、そういうサイズは揃えることができず、大きくてもLLが限界でした。それでも、外人連中は、その場で無理して着用してくれました。

こういうものは、もらったその場で身に付けるのがマナーですし、喜びを共有できます。

大賀社長も同じように着用してくれましたが、頭でかくて苦しそうでした。ただ、このパーティでは一切の写真撮影がNGでしたので、時間の経過とともに記憶も薄れてきたのが残念です。厳しいマネージメント事務所なので、スナップ写真ですら許してもらえなかったのです。

ボズ・スキャッグスは和食好き? リクエストは天ぷら


大賀プレゼンツから離れて、ボズ・スキャッグスのディナー話です。1988年6月『アザー・ロード』のプロモーションで来日した時は、高級な天ぷら屋さんでの会食でした。ボズの地元はサンフランシスコ。その頃、彼自身もレストランを経営していました。ここにはご存知のように昔から日本料理店も多く、彼も日本的な味に馴染んでいたようで、リクエストでメニューは天ぷらになりました。

宿泊先の赤坂にある天ぷら屋さん「天一」。実は、参加したメンバーがコミュニケイションとるには、やや難があるのが、こういう高級な天ぷら屋さんです。寿司屋同様に、揚げてくれる職人さんの真正面のカウンターが上席です。しかし席が横並びですから、隣の席以外とは会話がはずみにくいのです。もっともボズはちょっと気難しそうなタイプで、テンション高く陽気に盛り上がるということはありません。この横並びでよかったのかも知れませんね。やたらと職人さんの動きに興味をもち、使っている油の種類やバランスなど結構一生懸命に訊いていました。

ちなみに親会社がSONYですから、カンパニーディナーのお土産には必ずSONY製品を用意していました。CD登場以前は、大体がカセット・ウォークマンでしたし、都度都度の新製品を準備。特にアメリカ未発売のものが大人気でした。CDが登場してからは、アーティスト達への理解を深めてもらうためにも、ポータブルCDプレイヤー… いわゆるディスクマンと呼ばれるものですが、これを参加全員にプレゼントです。

主役のアーティストには、それよりもちょっと高級なSONY製品を用意していました。ボズは忘れましたが、ビリーの場合には8ミリビデオであったり、ブルースにはプロ用カセットレコーダーでした。



2020.10.23
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