3月25日

80年代サウンドの発信源!ニューヨークのスタジオ・パワー・ステーション

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photo:FANART.TV  

皆さんは「パワー・ステーション」と聞いたら、何を思い出すだろうか?

1990年代前半に都内に出没していた音楽ファンなら、きっと「日清パワーステーション」が脳裏に浮かんだはずだ。この伝説のライブハウスは88年から98年まで日清食品東京本社ビルの地下にあって “おしゃれ” なレストランを併設するなど、いかにもバブル絶頂期の雰囲気満載の “ハコ” であった。僕自身も何度も足を運んだ思い出の場所だ。

80年代洋楽のファンなら、英米混合のスーパープロジェクト「ザ・パワー・ステーション」を思い出すに違いない。この期間限定ユニットは、デュラン・デュランのジョン・テイラーとアンディ・テイラーの2人が、ロバート・パーマーとシックのトニー・トンプソンと結成したもので、同じくシックのバーナード・エドワーズがプロデューサーを務めたことでも話題になった(残念ながら、バーナード・エドワーズは96年、ロバート・パーマーとトニー・トンプソンは2003年に他界)。

だが、僕がここで言及したいのはそのどちらでもなく、この2つの命名の由来であり、80年代に一世を風靡したNYの録音スタジオ「The Power Station」である。96年に「Avatar Studios」に改称したことで、僕が知っているパワー・ステーションが全てなくなってしまったのは残念だが、だからと言ってスタジオの栄光が色褪せる訳ではもちろんない。

「Avatar Studios」のウェブサイトでは、ここで制作された作品の一部が紹介されているが、これがまた凄い。ちなみに、下に挙げたアルバムは全て全米No.1を獲得している。

■ブルース・スプリングスティーンの『ザ・リバー』『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』
■ザ・ローリング・ストーンズ『刺青の男(Tattoo You)』
■マドンナ『ライク・ア・ヴァージン』
■ブライアン・アダムス『レックレス』
■ダイアー・ストレイツ『ブラザーズ・イン・アームス』

このスタジオのサウンドの特徴は、独特のエアー感と言うか、アンビエントと言うか、天井の高さを活かした不明瞭だけどメリハリのある残響と言うか、とにかく聴けば「あそこで録った」と一発で判る音であった。当時は、このように特徴的なスタジオが世界中に存在していて、スタジオで音楽を選ぶような聴き方も音楽オタクの楽しみの一つだった。

だが、時代は大きく変わり、今ではこのようにドラムやオーケストラが一緒に録れるような大型スタジオが激減しているらしい。音楽プロデューサーの亀田誠治が、こんなことを言っている。

「デジタルレコーディングが発達して、コンピューターさえあれば生楽器以外は、正直、自宅でもレコーディング出来ちゃうんですね。(中略)一発録りの空気感と、緊張感が産む、一期一会ののいきいきとした音楽は、絶対に聴く人の魂を揺さぶる、って信じています。でも、このままコンパクトなスタイルのレコーディングが進むと、一発録り、絶滅の危機が予想されます。」

古い音楽ファンにはなんとも残念な話だが、今日のところは、スタジオ「The Power Station」で録音されたバンド「ザ・パワー・ステーション」 のアルバム『ザ・パワー・ステーション』でも聴いて、当時のサウンドに思いを馳せるとするか。


脚注:
『The Power Station』(85年8月10日 6位)

『The River』(80年11月8日1位)
『Tattoo You』(82年1月16日1位)
『Born In The U.S.A.』(84年7月7日1位)
『Like A Virgin』(85年2月9日1位)
『Reckless』(85年8月10日1位)
『Brothers In Arms』(85年9月7日1位)

2017.04.11
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1965年生まれ
宮木 宣嗣
NYでぱっと思いつくだけでも、ジョン・レノンが最期の日にいたRecord Plant、Electric Lady Land、そしてボウイが最後の2枚をレコーディングしたThe Magic Shop(昨年閉鎖)があります。
The Magic Shop、改めて調べたら先週泊まっていたホテルから歩いて行けました。しまった…
2017/04/12 11:06
1
返信
1965年生まれ
中川 肇
本当にそうですね。もちろんNYだけでなくLAやLondonにも
でも、無くなっちゃうかもしれないので急いだ方がいいかも :)
2017/04/11 15:32
1
返信
1965年生まれ
宮木 宣嗣
先週出張でニューヨークに行っていたのですが、時間が無く、ジョン・レノンが『ダブル・ファンタジー』を録音したSear Sound Studioを訪れるので精いっぱいでした。
次に行った時は必ず!
ニューヨークには訪れるべきスタジオがたくさんありますね
2017/04/11 11:45
3
返信
カタリベ
1965年生まれ
中川肇
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