最近、黒い皮のローファーを買った。 少し前から公私で履けるローファーが欲しくなり探していたのだが、最終的にリーガルに決めた。私は物持ちがよい方なので、買うとなったら人生で最後のローファーになるかもしれないなどと思った。きちんと手入れして履きたい一足が手に入って大変満足しているところだ。 さて、今回のコラムは、その「靴」が印象に残る曲を、時を遡って探してみることにしよう。 私の30才からの10年間、心の支えのひとつであったのは、BUMP OF CHICKEN(バンプ・オブ・チキン)だった。彼らのたくさんの歌にはいくつかキーワードがあって、「靴」もその一つだ。バンプワールドでは私たちを運んでくれる「靴」が汚れたり、光ったり、新しくなったり――「靴」は人生という物語の中で私たちを写し出す鏡のようだ。 ちょっと可愛らしくて洒落ているのは小沢健二の「プラダの靴が欲しいの」で始まる「痛快ウキウキ通り」。プラダの靴を欲しがる女子と比べ、自分の女子力の足りなさをちらっと卑下したりもしつつ、一年遅れで買うプレゼントって一体どんな一年だったんだろうと想像するのも楽しい。 さらに遡って靴の名曲といえば、槇原敬之の「どんなときも。」(91年)なんてどうでしょう。 あの泥だらけのスニーカーじゃ 追い越せないのは 電車でも時間でもなく 僕かもしれないけど ここでは、再び汚れた靴が登場… 何年か前に子役で活躍した内山くんが「靴がきれいな AD さんは確実に出世する」と言っていたけれど、人間は潜在的に、もしくは経験的にイケてない靴を履くことが、イケてないことを知っている気がする。 だから大事にしていた靴が履き古されてみすぼらしくなってしまうのはかなり悲しい。その慣れ親しんだ姿もまた愛おしいものだけれど、人生の新しい扉を開くためにはパリッといきたい。 80年代半ば、10代から音楽活動を始めていたというマッキー、20代のうちに「どんなときも。」のような歌を作ってしまうなんてすごいなあ、と心底思う。 どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 「好きなものは好き!」と 言える気持ち 抱きしめてたい 50を目前とし、この歌を噛みしめ、励まされる今日この頃である。
2018.12.10
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YouTube / Warner Music Japan
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