ウェイン・ショーターとジョー・ザヴィヌルによって結成され、伝説的なベーシスト、ジャコパスことジャコ・パストリアスを擁するジャズフュージョングループ、ウェザー・リポート。 彼らの代表曲といえば「バードランド」ですよね。しかしこの「バードランド」、私が初めて聴いたものはヴォーカルが入ってました。CMにも出演して日本でも人気だったマンハッタン・トランスファーによるカヴァーだったのです。 元々歌のないインストゥルメンタル楽曲(主にジャズ)に歌詞を付けて歌うことをヴォーカリーズと言うそうです。その代表格としてはジョン・ヘンドリックスやアル・ジャロウなどが挙げられます。チック・コリアの「スペイン」、デイヴ・ブルーベックの「テイク・ファイヴ」などに歌詞を付けて歌うアル・ジャロウの歌唱は本当に見事です。 ちなみに歌詞を付けない場合はスキャットといってこれもアル・ジャロウは素晴らしいスキャットを披露します。ジョージ・ベンソンが自ら弾くギターのメロディーにユニゾンでスキャットを乗せるのもカッコいいですよね。 ヴォーカリーズに戻りますが、このヴォーカリーズというものを男女混声グループでよりポピュラーに世に広めたのがマンハッタン・トランスファーです。マンハッタン・トランスファーは男女2名ずつ計4名のジャズヴォーカルグループ、メンバーの年齢差は最大で15歳、ルックスや雰囲気もバラバラのメンバー達ですが(そこが売りでもある)、パフォーマンスにおける息はピッタリの超のつく実力派です。 81年、既に本国ではヒットを続けており、日本でも人気の火が着き始めた頃に彼らのベストアルバムがリリースされました。それを姉がカセットに入れていたので一緒になってよく聴きました。 やっぱり耳を引くのが「バードランド」。そもそもウェザー・リポートの原曲を知らずにただただかっこいい楽曲だと思って聴いていたのが、のちになって原曲を聴いてビックリ。よくもまあこの複雑な曲をヴォーカルを入れて歌にしたものだと。あらためて歌入りの方を聴くと原曲とは別物としての素晴らしい味わいがあることに気付かされます。 そして他にも聴きどころ満載のこのベスト。TVシリーズのあの独特なフレーズまでヴォーカリーズにしてディスコアレンジした「トワイライト・ゾーン」やラジオヒットしたドゥーワップ調の「ボーイ・フロム・N.Y.City(The Boy from New York City)」、アカペラも完璧な「バークレー・スクエアのナイチンゲール(A Nightingale Sang in Berkeley Square)」などなど。 そして忘れてならないのが、そのパフォーマンス。日本で盛んに来日公演を行ったり、TV出演していたので割と目にすることが多かったのですが、ただ歌うだけでなくアクションが大きくダンスを交えたその動きはミュージカルのよう。 ジャズからロック、ポップスまで幅広いレパートリーがあり、メドレーや即興、まさにエンターテインメント! 見ていてすごく楽しいのです。こりゃ人気出るわ。 創設者にしてリーダーのティム・ハウザーが亡くなった後も新たにメンバーが加入して、現在も精力的に活動している彼ら。いまだに毎年のように来日公演を行っているようです。一度は生で聴きたいグループですね。
2017.10.30
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