はい。クリスマスということで、我々世代的には、クリスマスといえばユーミン。そこで、この2017年のクリスマスに、80年代ユーミンの珠玉のクリスマス・パンチラインを、今一度味わってみましょう。
パンチラインとは、ヒップホップ用語で、「曲のいちばん印象的な部分」のことです。転じてここでは、「歌詞の中のいちばん印象的なフレーズ」と解釈します。クリスマス・パンチライン、略して「クリパン」でどうでしょう。
例によって、コピーライター風に、四角で囲んで、句読点を足して、級数大きめの画像にして載せてみます。広告コピーを味わうように、読んでみて下さい。
まずはやはりこれ。1980年12月1日発売のアルバム『SURF&SNOW』のB面1曲目。
もう今や、スタンダードと化していますが、よくよく考えたら、この「サンタクロース=恋人」という発想はすごい。一種の「コロンブスの卵」ではないでしょうか。そしてこの発想が、ゆくゆくは、80年代後半の、あの恋愛一色のクリスマス騒ぎの「のろし」となったわけです。
そして時代は、そんな80年代後半に突入します。1986年11月29日発売の『ALARM à la mode』には、それほど有名ではないのですが、ユーミンのセンスがピリリと効いている「クリパン」があります。
設定は、女の子が、雪国にある実家に、彼と帰るところ。そのときに、列車の車窓から見える景色を「3-Dのクリスマスカード」と言い換えるセンス! 北海道・東北地方が実家の女の子たちが当時、この曲を聴いて狂喜したとか。「銀色野原」(ぎんいろのはら)というフレーズもいいですね。
しかし、80年代ユーミンの「クリパン」の最高峰はこれです。86年と87年のクリスマスイブにオンエアされた、日本テレビ系の特別番組『メリー・クリスマス・ショー』で発表された、この曲・この歌詞です。
それぞれ1番と2番の最後のフレーズ。語呂も含めて、完璧な文字列。80年代ユーミンを超えて、日本の「クリパン史」の中でも最高水準でしょう。のちに「桑田佳祐 & His Friends」名義でCD化されました。
そしてやがて、年は暮れていきます。ユーミンの凄いところは、クリスマスだけではなく、「年の瀬パンチライン」(年パン)でも、名作を作っているところです。1984年12月1日発売のアルバム『NO SIDE』より。
年の瀬のデートで、彼女がふと「さよならを云わなくていい方法」を思いつく。それは――「一緒に暮らそう」、と同棲の話に始まり、「二人同時に、年とってゆく」と宗教的な高みにまで立っている感じがします。
そして新年。1981年11月1日発売の『昨晩お会いしましょう』のラストを飾る。「新年モノ」の名曲中の名曲。このフレーズは、私のフェイバリット・ユーミン・パンチラインでもあります。
メリー・クリスマス&よいお年を!
2017.12.25