1977年 6月10日

ピンク・レディー「渚のシンドバッド」デビュー4作目にして早くもミリオン達成!

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ピンク・レディーデビュー時のキャッチフレーズは“はじめての味覚(あじ)”


1976年8月25日のデビューから、46年もの歳月が経過しようとしている。が、今なお多くの人々を魅了してやまないのがスーパーデュオ、ピンク・レディーである。その活動期間は4年7か月と、今考えれば驚くほど短い。しかし、それまでに類を見なかった圧倒的なスケール感と強烈なインパクト、そして他を圧倒しまくったミリオンセラー連発などにより、ニッポン音楽界における数々の記録を塗り替えた怪物ぶりには目を見張るものがあったもの。

ピンク・レディーは、アイドル歌謡というジャンルを超越した異次元的な楽曲群、コドモたちがこぞって真似したユニークなフリツケ、スパンコールがまばゆいばかりのコスチューム、キャラクターグッズ販売も兼ねたマーチャンタイズ戦略等、どこかアメリカナイズされた新しい形のアイドルとして当時の日本を躍動させた。デビュー時のキャッチフレーズが “はじめての味覚(あじ)” だったことを知る人は決して多くはない。

が、その味とやらに、まずはコドモたちがおぼれていき、やがては全世代をおぼれさせてゆくほどの味付けで、日本全体をクラクラさせる社会現象を巻き起こしていったのである。

今回は、ピンク・レディーブームが明らかに沸き始めた頃、夏向けの楽曲として発売された「渚のシンドバッド」にズームインしてみることにする。

「渚のシンドバッド」で勝負をかけた1977年の夏




 アアア アアア アアア アアア… 渚のシンドバッド

 ここかと思えばまたまたあちら 浮気なひとね
 サーフィンボード小わきにかかえ 美女から美女へ
 ビキニがとってもお似合いですと 肩など抱いて
 ちょいとおにいさん なれなれしいわ

シンドバッドとは、『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の登場人物。その物語によれば、インド洋を幾度も航海した船乗りであり、島から島への大冒険を成功させた勇敢な男として描かれている。

そんなシンドバッドを船の上から陸へと呼び出して、“渚” という舞台へ連れていく。そして、プレイボーイ的なキャラクターとして登場させたのである。渡るのは島から島へ… ではなく美女から美女へとなるワケである。

ガニマタ歩きのペッパー警部、ピンチを前に “S.O.S” を叫ぶ乙女、薔薇を口にして踊るカルメン… この曲以前からキャラクター色がすこぶる強かったピンク・レディーの楽曲群。次は真打ち登場とばかり、テレビまんがや童話の主役として馴染み深かったシンドバッドを担ぎ出してきたのだから勝負アリ!

すでに人気沸騰中、風雲のぼり竜のようになっていたピンク・レディーが、ここぞとばかりの勝負をかけてきたのが1977年の夏のことである。

たかがプレイボーイ、されど気になるアイツ


 くちびる盗む早わざは うわさ通りだわ
 あなたシンドバッド

さすがは幾多の武勇伝を持つツワモノ、シンドバッドだ。船上のみならず、渚においても美女たち相手に百戦錬磨のテクニシャンぶりを見せつけるのだ。それを横目で見ては「馴れ馴れしい奴!」と引き気味だった主人公ですら、その華麗なテクニックであれよあれよという間にトリコになっていく。

たかがプレイボーイ、されど気になるアイツ。理性を失うほど夢中にさせる野郎… そう、その名も “渚のシンドバッド” に腹を立てながらもおぼれてゆくのである。

夏の渚で起きているエキサイティングな風景を、ピンク・レディーのミイ&ケイ(当時表記:ミー&ケイ)が歌って踊って表現する。頭部には可愛い羽飾り、足元はヒールの高いキラキラ銀色サンダル。スパンコールがふんだんにあしらわれたスリップドレスは、2人の体が躍動する度に宝石のごとくキラキラするのだ。まさしく、少女たちの夢や憧れを満たす要素がてんこもりだ。

スパンコールや羽飾りに見られる衣装へのこだわり


その、スパンコール衣装に関してもこだわりがあったことをご存知だろうか。デザインを一手に引き受けていたのは、服飾デザイナーの野口よう子氏(当時表記:野口庸子)。事務所側からの発注は、とにかくアメリカのショービジネスを思わせるキラキラしたものであればなんでもよい、コレだったという。

この要望に応えるかのように、野口氏が採用したのがダブルスパンコール使いだ。通常、スパンコールは布に対してひとつずつ、隙間が埋まるまで縫い付けていくもの。が、ダブルスパンコールはそれらをズラしながら二重に縫い付け、魚のウロコのようにギッシリと埋め尽くしていく手法だ。

これにより、見た目のなめらかさとキラキラ感が一層増す効果があるという。その分、衣装はズッシリと重たくなるものの、その見た目の美しさと輝きの差においては、同時代に蠢いたピンク・レディー亜流が着用した衣装との比較で一目瞭然といったトコロになるのである。

また、頭部に付けた可愛い羽飾りについても補足する。これは、シンドバッドのターバンに付いていた羽飾りをイメージして考案されたもの。世間一般的に、頭の羽飾り=渚のシンドバッドかと思うが、実のところこの試みは「ペッパー警部」の時点で行われていたのだ。デビュー曲だけで10パターン以上、新人なのに衣装持ちとして知られたピンク・レディーだったが、デビュー1年目「ペッパー警部」で出場した『新宿音楽祭』のステージにて、頭に羽飾りのある衣装を着用済み。その趣はインディアンの… といった風ではあったものの、シンドバッドで付ける前からすでに試されていたというワケである。

「渚のシンドバッド」でも数多くの衣装が用意され、歌番組ごとにお召し替えといったワクワク状態。中でも鮮烈だったのは、ブルーのスパンコールをダブル手法で縫い付けた、海を思わせる真っ青な超ミニスリップドレスだろうか。お腹のところがスケる、ヒモ状態になった黒スパンコールミニにもゾッコンになったもの。

フリツケも数か所にてマイナーチェンジが行われているので、マニア諸君ならば知識として押さえておこう。

それはそうと、ピンク・レディーに無我夢中になったのは、なにも少女たちだけではない。少年たちも、青年たちも、はたまたそれ以外の全世代を巻き込んだ狂乱の渦であり、社会現象にもなったのだからやっぱり凄いのだ。それはあたかも巨大化したモノが襲いかかりメチャクチャにされるような… それくらいの激しさだったもの。

色々おかしくなりながらも、やめないで… もっとメチャクチャに! と絶叫する… これぞまさしくピンク・タイフーンの狂乱劇と言える。

4作目にしてミリオンセラーを達成、そして始まる伝説


 うっとりさせるテクニック
 腹が立つほどよ あなたシンドバッド
 セクシー あなたはセクシー

デビューから僅か1年にも満たない4作目だったが、この曲で早くもミリオンセラーを達成。それは瞬く間といった感じで、100万枚という壁をいとも簡単にブチ破ってしまった。当時は、20万枚も売れればヒットとみなされていた状況下でのミリオンである。この大成功によってピンク・レディーは歌謡界のトップに上りつめ、次作以降で更なる猛威をふるうことになる。他の追従は許さん! という、凄まじさと勢いで。

その凄まじさの始まりとして、「渚のシンドバッド」は発売早々の6月20日付チャートにて4位という好位置につけ、翌週6月27日付であっさり1位の座を奪取。そして、

・6月27日付~7月11日付(3週間) 連続1位
・8月15日付~9月12日付(5週間) 連続1位

通算8週の1位という記録を打ち立てた。空白期間については、沢田研二「勝手にしやがれ」が1位の座を奪い取ったが、山口百恵「イミテイション・ゴールド」もここに加わったことで三つ巴の争いは激化した。この闘いに決着をつけることになる、ピンク・レディーのナンバーワン伝説はこの後すぐやって来るのだ。前述8月15日付から「渚のシンドバッド」で1位を独占中だったピンク・レディーは、翌78年2月28日付チャートまでの28週(7か月)の内、27週もの間1位の座に君臨! 次作「ウォンテッド」、次々作「UFO」という連続メガヒットで “1位かっさらい状態” と化したのである。

日本中の老若男女がおぼれた… ミイ&ケイこそが “渚のシンドバッド”?




 私はいちころでダウンよ
 もうあなたにあなたにおぼれる

私… ではなく、周囲がいちころでダウンなのよ、お分かり? この記録を見れば、誰もかれもが “おぼれた“ 状況にあったことはご理解いただけるはずである。

おぼれるとは、“溺れる” とも表記される言葉であり、

1:水中に落ち込んで、死にそうになる
2:心をうばわれ、そのことにふける。夢中になって本心を失う

… という2通りの意味がある。「渚のシンドバッド」の主人公が置かれた状況は「2」。しかし、歌披露時のフリツケ “おぼれそうになってブクブク” を鑑みると

・シンドバッドという、男の海に “おぼれる”
・シンドバッドという、男に心をうばわれて “おぼれる”

… という両方の意味を表現していた… とも言えそうである。

ピンク・レディーは、コドモたちにも安心安全の摩訶不思議な絶妙セクシー加減で、彼らに “おぼれる” という感覚を体感させてしまった。老若男女問わず、おぼれる人々を大量に出したミイ&ケイの2人こそ、渚のシンドバッドの比喩だったのではないか… こんな風に思えてきたりもするのである。ただし、女の子バージョンのシンドバッド… であることは、なにかにおぼれ理性がすっ飛んでしまう前に付け加えておく必要があるけれど。


Song Data
■ 渚のシンドバッド / ピンク・レディー
■ 作詞:阿久悠
■ 作・編曲:都倉俊一
■ 発売日:1977年6月10日
■ 発売元:ビクター
■ オリコン最高位:1位
■ 売上枚数:100.0万枚

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2022.08.12
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カタリベ
1968年生まれ
チェリー|昭和TVワンダーランド
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