2月10日

角松、陽水、ナイアガラ!シンガーソングライター目線で選ぶ【80年代アイドル総選挙】

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女性アイドルに求めるリアリティとファンタジーと憧れ


1980年代以降、シンガーソングライターと言われる自作自演のミュージシャンがアイドルに楽曲提供することが増え、いまでは職業作家との垣根もかなり崩れたように見えます。

わたしが女性アイドルに求める世界はリアリティとファンタジーと憧れ。この3点を念頭に置いて、個人的な好みも含めて、シンガーソングライターのみなさまが提供した楽曲が印象的だった10組を選んでみました。なお、わたしは当時女性アイドルのみなさんの楽曲をそんなに聴いておらず、作曲者から入った作品が多いので、かなり偏っていることはご容赦ください。

第10位:長山洋子


バナナラマの「ヴィーナス」のカバーをはじめとしたユーロビートカバーが印象的ですが、演歌をメインとする以前の、ユーロカバー以外のポップス作品にも良質な楽曲が多く、多くの人に聴いて欲しいと思い、ここに上げました。

2枚目のシングル「シャボン」は桑田佳祐さんの作品(サザンオールスターズの『人気者で行こう』収録曲のカバー)で、サザンの原由子さんとは少し違う清楚な楽曲になっています。アイドル末期の1988年には、伸び伸びと歌うヴォーカルが印象的なアルバム『F-1』を発表しており、「雨にうたれて」では作曲者の鈴木雅之さんと、「あきらかに愛になってた」(作曲:安部恭弘さん)では芳野藤丸さんとの良質なヴォーカルワークが聴けます。



第9位:渡辺満里奈


1987年発表の5枚目のシングル「ちいさなBreakin’my heart」は大江千里さんの作詞・作曲。千里さんらしい詞とメロディがせつない、ハチロクのリズムが奏でるバラードにキュンとします。ちょっと拙い満里奈さんのヴォーカルの最大の魅力はカジュアルさ。80年代後半の豪華で美しいサウンドに載る、等身大のカジュアルなヴォーカルが、その頃少しお姉さんだった私から見ると、本当に可愛らしかったのでした。

第8位:原田知世


1983年の『バースディ・アルバム』収録「地下鉄のザジ」が個人的に大好きなので入れました。作詞・作曲ともに大貫妙子さんの書き下ろしで、とてもヨーロピアンでキュートな1曲。この多少のリアル感を持った、おしゃれなファンタジックさを表現できる女の子は原田知世さんだけでした。絵本から飛び出した不思議な少女が歌で描き出す世界感は、永遠の ”憧れof憧れ” です。

第7位:南野陽子


可憐で硬質なアイドル声と美人度では、80年代女性アイドルでは一番と定義しています。わたしが彼女の曲で一番好きなのは1987年のファーストアルバム『ジェラート』A-1に収録された「春景色」。

 制服にさよならして 電車の駅が変わって
 4月からあなたより ひとつ上級生になる

極めて個人的な話で恐縮ですが、中高時代に神戸の学校に通っていたわたしは、この歌を聴くと、阪急神戸線から見える景色と想い出で、胸がキュンとします。作曲は岸正之さん。陽子さんには「話しかけたかった」も提供しています。



第6位:松本伊代


松本伊代さんについて、筒美京平さんや林哲司さんの職業作家の作品について語る人は多いですが、意外といろんなシンガーソングライターの楽曲を歌っています。1984年に尾崎亜美さんが提供した「恋のKNOW-HOW」がサウンド面でも華やかで楽しいポップスで好きでした。他にも亜美さんが杏里さんに提供した作品を、伊代さんは同年のアルバム『Sugar Rain』でカバーしています。アルバムでは1989年の『Private File』で多数のシンガーソングライターの楽曲を歌っており、これがリアリティに溢れた、ガールポップ的な作品集になっています。

第5位:菊池桃子


近年のシティポップブームで世間の評価が一気に変わったひとり。ソロ時代の林哲司さんのサウンドも良いけれど、ここでわたしが取り上げたいのはRA MU(ラ・ムー)時代の1988年に発表したアルバム『Thanks Giving』から「夏と秋のGood-Luck」。ダンサブルで重厚なR&Bに載る桃ちゃんの歌声は、ファンキーなコーラス隊とは真逆な存在感に溢れていました。R&B路線は本当に短かったけど、女版1986〜オメガのラインは車で聴くのに結構よかったのです。ロックと言ってしまわなければ、あんなにRA MUが叩かれることもなかったのでは。



第4位:河合奈保子


1980年にデビューし、ずっとアイドル然としたイメージが強かったところ、1984年に発表したアルバム『DAYDREAM COAST』を最初聴いたときの驚愕たるや。まんま西海岸、TOTOのサウンドの上で伸び伸びと歌う河合奈保子さんに、「え、これが河合奈保子?!」とその存在を見直しました。デヴィッド・フォスターとのデュエットは松田聖子よりも早く、彼女を見直したものです。翌85年の『NINE HALF』ではさらにパワーアップして、完全な洋楽のサウンドの上でスティーヴ・ルカサーと英語でデュエットしており、この2作は文句なしにカッコいいアルバムです。シンガーソングライターからの楽曲提供という意味では竹内まりやさんの「けんかをやめて」「Invitation」に、リアリティを感じて、当時好感を持っていました。



第3位:松田聖子


好きな歌手のひとりであり、客観的に見て作品の素晴らしさでは選ばない理由はありません。多数のシンガーソングライターから作品提供を受けており、リアリティのある作品以外にもおとぎ話的な作品も多いのが聖子さんの特徴。1曲あげるとすれば、大瀧詠一さん作曲の「いちご畑でつかまえて」(アルバム『風立ちぬ』収録)。ファンタジックな世界観と不思議なメロディ。「クシュン」という可愛らしいくしゃみがたまらない。この可愛らしさ、おとぎ話感が表現できるのは聖子さん以外に誰がいたでしょうか。ファンタジー系ではアルバム『Tinker Bell』も大好きです。



第2位:中森明菜


文句なしの歌姫。シンガーソングライター系作家の曲も多いアイドル期の明菜さんで1曲選ぶとしたら、1984年に井上陽水さんが提供した「飾りじゃないのよ涙は」。陽水さんのセルフカバーよりずっとストレートで、分厚いサウンドに負けない、リアリティ溢れる強いヴォーカル。19歳にしてカッコイイ大人の女の風情を見せつけてくれました。いまでもこの明菜さんのヴォーカルには憧れます。

第1位:中山美穂


美しいバラード「You’ re Only Shinin’ Star」とダンサブルな「CATCH ME」という両極端な角松敏生さんの作品を歌いこなすミポリン。14,5歳の頃から杏里さんの『Timely』が愛聴盤だったというだけあり、その色っぽい雰囲気の表現は、年齢の割には凄いと思ったものです。楽曲の良さと雰囲気で1位に据えました。角松敏生さんが提供した中山美穂さんの楽曲はバラードにも名作が多く、もっと注目されて欲しいと思っています。


―― 今後みなさんに聴いて欲しい、再評価を求めるというところも加味しての選択ですが、80年代の女性アイドルにシンガーソングライターの方々は欠かせないものだと思っています。他にもシンガーソングライター系の作品を歌った80年代のアイドルの方々は多いので、“作家で聴く80年代アイドル歌謡” という目線で聴くと、これまでにない新しい発見があると思います。


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2022.12.29
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カタリベ
1965年生まれ
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