一緒に口ずさまずにはいられない「モダン・ガール」
美容院で有名人の写真を見せ、「こんな髪型にしてください」というのを一度だけやったことがある。持っていったのは、雑誌の切り抜きではなく、シーナ・イーストンのアルバムだ。
デビュー曲「モダン・ガール」は一度聞いただけで、一緒に口ずさまずにはいられなかった。
ナーナーナーナーナー
シーズモーダーンガール
透明感のあるハイトーンなボーカル、ポップで覚えやすいメロディ。なんて爽やかなんだろ。
さらに、すごくいいなぁと思ったのが、ブルネットのショートヘア。あのショートヘアが、単なる美人ではない、キリッとしたシャープな印象を彼女にプラスしていた。
私がやるべきは、この髪型だ!
シーナでなくチータ。「モダン・ガール」でなく「ありがとう」
半端なおかっぱ頭の中学1年生だった私は、おこづかいで買った彼女の輸入盤デビューアルバムのジャケットをまじまじと見つめ、そう決心した。
翌週レコードジャケットを手に向かったのは、近所の美容院「それいゆ」。最先端の都会のヘアサロンではない。近所のおばちゃんが行くような町のパーマ屋だ。
「うーん、なんとか近づけることはできると思う」
祖母のヘアスタイルも担当していた美容師(中年女性)は、ジャケットを見て、そう言った。
だが、ばっさり短く刈り上げられた私のショートヘアは、シーナ・イーストンには程遠かった。今思えば、私の髪質や頭の形では、どうやったって、あのヘアスタイルが実現できるわけないのだ。
案の定、家に帰った私の頭を見た姉は大爆笑。「あんたの頭、水前寺清子みたい」と言って、「ありがとう」を歌いだした。
シーナでなくチータ。「モダン・ガール」でなく「ありがとう」。
あれ以来、美容院に有名人の写真は持って行っていない。
そういえば、シーナ・イーストンって今どうしてんだろと思って、検索してみると、なんとこまめに来日しているではないか。ハイトーンなボーカルも、ショートヘアの似合うキリッと美しさも健在なのか、ちょっと気になるところではある。
※2016年10月1日、2019年4月27日に掲載された記事をアップデート
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2023.01.19