日本が誇るポップマエストロ・杉真理
3月14日は日本が誇るポップマエストロ・杉真理の誕生日。おめでとうございます。1954年生まれのポスト団塊世代ということで、今年(2022年)で68歳になります。もちろん杉サンはまだまだ現役!
さて、当時のティーネイジャーはだいたいそうだったと思うけど(僕は1966年生まれ)、杉真理という名前を意識したのは1982年の春にリリースされた『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』から。最初は “スギマリ” って女性かと思いましたよ。普通 “マサミチ” なんて読めませんよね。
そう、お馴染み「A面で恋をして」が収録された、大滝詠一、佐野元春とのコラボレーションアルバム。このアルバムはカセットに録音して、テープが擦り切れるくらい聴きました。だって田舎の高校生ですからお金なんて持ってないんですよ。でも音楽は浴びるように聴きたい。だからレンタルレコードを利用したり、買ったレコードを友達と貸し借りしたり。ほとんどの高校生はそんなスタイルだったんじゃないかな。
あふれるビートルズ愛「Nobody」
もちろんこのアルバム全部が白眉なんですが、僕は杉サンの「Nobody」って曲が大好きでした。初期のビートルズっぽい疾走感あふれるナンバーで、ジョン・レノンが亡くなった直後に作られたようですが、そんなことを知るのもだいぶ後になってから。言われてみれば、ジョン・レノン不在の喪失感を抱きながらニューヨークを彷徨っている主人公だったり、ビートルズの『ホワイトアルバム』に収録されている「ジュリア」の冒頭フレーズを引用したBメロの歌詞だったり……
君の喋る言葉の半分は意味がない
⇅
Half of what I say is meaningless
サウンド面でも、途中で三拍子になる「恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)」をオマージュしたリズムチェンジや「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」を彷彿とさせる構成やエンディングなどなど、マニア心をくすぐる “ネタ” が随所に散りばめられています。
意味なんてないカッコイイひとこと、無敵の “オーイェイ”
この曲、たった2分30秒しかありませんが、その中にロックンロールの魔法が全部詰まってるんです。なんと言ってもコーラスが佐野元春。1本のマイクで2人が歌ってる姿をイメージしながら、元春がジョンで、杉サンがポール…… なんてね。特に、間奏に入る直前の2人の “キメ” が最高!
傷ついたレコードが
サヨナラをくり返す
君の消えた街は
Nobody's here tonight
オーイェイ!
そう、キメ部分の「オーイェイ!」がめちゃくちゃカッコいいんです! 元春が下のパートで杉サンが上かな。もう恐ろしいくらいハマってます。これを聴いちゃうと、歌詞なんかどうでもいい、いや、曲ですらどうだっていい、「オーイェイ!」さえあれば全てのことが上手くいくんじゃないかって今でも思います。ロックンロールの世界には百花繚乱の「オーイェイ!」がありますが、僕が知りうる限りナンバーワンの「オーイェイ!」ですね。
そう、音楽を聴いてると、こういった “アガるフレーズ” に出会うことってありますよね? シャウトというか、感嘆詞というか、全然意味なんかないんだけど、大げさに言えば人生を生き抜くための勇気をもらえるひとこと。僕はそんな “カッコイイひとこと” を求めて世界中の歌を聴き続けているのかもしれません。オーイェイ!
※2020年3月14日に掲載された記事をアップデート
薬師丸ひろ子 歌手活動40周年記念

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2022.03.12