11月8日
爆走ロックンロール! スピードの魔力を教えてくれたモーターヘッド
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モーターヘッドのアルバム「エース・オブ・スペーズ」がリリースされた日
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photo:FANART.TV  

思えばロックを聴き始めた頃からアップテンポの曲が好きだった。例えば、ハードロックでいえば、ドゥーミーなブラック・サバスよりスピード感のあるディープ・パープルの方が好みなのは、本能的な部分もあるのかもしれない。

どんなジャンルの音楽でも楽曲のテンポ(BPM)で印象は大きく変わる。そういえば、シンガーソングライターの星野源の大ヒット曲「恋」のテンポは、最初はもっとスローだったらしい。それがしっくりこなくて、逆に思い切ってアップテンポにしてみたらピタリとはまった、という内容のインタビューを見て、なるほどと思った。アップテンポの楽曲はそれだけで人の心を揺れ動かす何かがある。

ロックにおけるスピードの「魔力」を、本当の意味で僕に教えてくれたのがモーターヘッドだった。彼らを初めて聴いたのは丁度1980年。地元のラジオ局FM福岡の番組内だった。

ある日の爽やかな朝、その雰囲気に似つかわしくない今まで聞いたことがないタイプの音楽が、けたたましくラジオのスピーカーから流れてきて、僕は飛び起きた。

人気DJのたけうちいづるさんがモーターヘッドというバンド名を紹介し、曲名は「ボマー」だった。すぐに唯一の情報源であるミュージックライフ誌を調べてみると、確かに「ボマー」というアルバムがリリースされていた。ふてぶてしい姿のメンバーのアー写やサメの歯のようなドラムのヘッドの写真が強烈な印象を与えた。

その衝撃が忘れられないままに、本格的にモーターヘッドを再度体験したのは、渋谷陽一さんのDJによるNHK-FM『サウンドストリート』だ。渋谷さんといえばメタルとかハードロックと遠い印象だが、この番組ではそうしたジャンルの新作もいち早くオンエアしてくれたので貴重な情報源だった。

あの飄々とした語り口の曲紹介から流れたのが、当時の最新作でのちに名盤とされるアルバム『エース・オブ・スペーズ』からのタイトル曲だ。その時はギターと思い込んでいたが、バキバキと歪んだベースのイントロからスネアの連打に続き、怒涛のように突入していく展開。

速いのではなく「爆走」という表現が相応しい息を吞むようなスリルと圧倒的なスピード感。体感では「ボマー」を倍速にしたかのようだった。そのハイスピードな曲調と轟音の塊、レミーのダミ声は衝撃を超え、僕は初めてロックを聴いて全身からアドレナリンが噴出するのを感じた。テンポの速いロックが好きだ! という感覚はこの瞬間に決まったのだと思う。

1980年という時代に、これだけ速いテンポのロックはどこにも存在しなかった。ジャンル的にはメタルのカテゴリーで語られることの多いモーターヘッドだが、本人達はそれを嫌っており、レミーいわく、シンプルに「ロックンロール」を演奏しているだけだった。だからこそ、彼らは当時相反していたメタルとパンク両方のジャンルのファンやバンドから支持を得たのだろう。

80年代の始まりを告げるように、異次元のハイスピードな爆走ロックンロールを提示した彼らに影響を受けたチルドレンたちは、メタリカをはじめとしたバンドや、スラッシュメタルといったジャンルなど、新しいタイプのロックを誕生させるきっかけを作った。

モーターヘッド自体も様々な活動の波はあったものの、オリジネーターとして時代を生き抜き、「エース・オブ・スペーズ」から約40年近く、レミーは爆走を続けた。

2015年末にレミーは70歳で亡くなってしまったが、最後の最後まで自らのロックンロールを貫いた唯一無二の生き様は、この先、誰にも真似できないだろう。

動画のエンベッド1本目は、80年の「エース・オブ・スペーズ」。今見ても全く古さを感じさせない、当時感じたままの恰好よさだ。もう1本は、レミーがこの世を去る数か月前のスペインでのライヴ映像。

老いても全く枯れていないレミーの雄姿が拝めるパフォーマンスには胸に迫るものがある。

2017.10.06
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  YouTube / [PIAS] - The Heartbeat of Independent Music


  YouTube / Resurrection Fest
 

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カタリベ
1968年生まれ
中塚一晶
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