X JAPAN、日本の音楽史上において彼らほど奇想天外でハチャメチャなバンドはいないだろう。
中学時代、私は秋田市に住んでいたが、東京の怪物バンドの名は地方にも知れ渡っており、クラスメイトの男子たちが熱のこもった口調で、彼らについて語り合っていた。
「1分間に180回のドラムを叩くんだよ、すごいだろ!」
そう言われても、流行りの「踊るポンポコリン」でも聴いていた私は、「ふーーん。」としか答えられなかったが、男の子たちを興奮させるそのバンドの存在が気になった。
ヴォーカルのToshiとドラムのYoshikiは幼稚園の頃からの幼なじみ、そこにギターのhideとPata、ベースのTaijiが加わり、初期のXメンバーとなった。
彼らの時代は学校でロック禁止、ロックを聴くのは不良であるというレッテルがあった。一般的には歌謡曲全盛であったため、思春期にキッス、レッド・ツエッペリン、ディープ・パープルなどのハードロックやヘヴィメタルに出会った彼らの衝撃はかなりのインパクトがあったと想像する。
個性あふれる5人のバンドは反骨精神と共に、強烈なエネルギーを生み出し、日本の音楽シーンを席巻した。TVに登場するようになった彼らをみて、初めはちょっと笑ってしまった。男なのに、お化粧をいっぱいして、すごく激しい音楽を演奏してる! 変なの!
しかし、なぜか、彼らの激しくも美しい音楽と破天荒な生き様にだんだんと魅了されていったのである。
私は好きなものを好きと言えない、人の目を気にしておびえているようなところがあった。周りの大人からこれが正しい、ときいたのは、ごくつまらないと思える舗装された道だったが、はみ出たくなかった。
そのことが、能動的活動の喜びの発見を遅くしていたことがあったと思う。彼らは、そんな「正しいと言われるもの」を蹴散らして、ただ自由に楽しく暴れていた。
私も、おそらく他の若者もその姿に希望をみたのだ。
インディーズでの売上、ライブ動員も驚異的だった彼らが満を持してリリースした初のメジャーアルバムが「BLUE BLOOD」である。若い彼らの気合いと才能のつまった傑作。
今時の草食男子にも聴いて頂きたい。自分の壁をぶち破りたい時にはきっと力をかしてくれる。
2016.05.15