こ、こんなかわいい生き物が世の中にいるのか! と、中学生だった私が衝撃を受けたミュージシャンが、ヘアカット100のニック・ヘイワード。キュートな笑顔に、英国おぼっちゃん風ファッション。パンク、ゴス、ニューロマンティックが多い英国バンドの中では、逆に目立っていたように思う。
もちろん、ルックスだけじゃない。
ファンカラティーナと呼ばれる、ポップかつラテン風味の音も最高だった。ギターカッティングとホーンセクションがカッコいい! ダークな音が多い英国のバンドの中で、明るい太陽がぴったりなヘアカット100は、キラキラしててなんだかまぶしかった。
なのに、来日も果たさぬまま、ニックはデビューアルバム『ペリカン・ウェスト』をリリースした数ヶ月後にヘアカット100を脱退。とてもがっかりしたが、ファーストソロアルバム『風のミラクル』を聴いて、私のがっかりは吹っ飛んだ。ヘアカット100時代に負けない、キラキラな英国ポップスの玉手箱みたいなアルバムなんだもの。
この頃、ニックはファッション誌「オリーブ」に登場。高校生になり「オリーブ」を愛読していた私は、ニック・ヘイワードとオリーブ少女のデートをテーマにしたグラビアを見て、あぁこれなのよと思ったものだ。ガーリーなファッションの少女の隣に、ニックはぴったり。
彼こそ、オリーブ少女にとって理想のボーイフレンド。彼氏、恋人ではなく、まさにボーイフレンドなのだ。
数年前、音楽専門チャンネルで、英国80’sミュージシャン大集合「80’sリワインド」というフェスの映像を見た。なんとそこに、再結成したヘアカット100が登場。不仲が噂されていたニックと他のメンバーも和気あいあい、笑顔いっぱいでヘアカット100の曲を演奏していた。
理想のボーイフレンドだったニックも、今では立派なオジサマ。でも、知的な雰囲気があって、たくましくて、大人の魅力にあふれた素敵な男性になっていた。もちろん、あの人なつっこいキラキラ笑顔は昔のまま。同窓会で再会した初恋の人が、今も素敵だったときって、こんな気持ちになるんだろうな、とかつてのオリーブ少女は思うのであった。
2017.03.28
YouTube / Haircut100VEVO
YouTube / NickHeywardVEVO
Information