17歳の頃から「音楽で一番誰が好き?」と聞かれては「キュアーだよ」答えてきた。
気がつけば30年を越えている。せっかくの機会なので、改めてその始まりは… と思い起こしてみたがイマイチ記憶がはっきりしない。でも、確か「ロバちゃんLOVE!」となったのはコレでした。
エキセントリックなヴァイオリンとピアノの序章からアコギとコンガが軽快に響き、能天気なコーラスがかぶさって始まる「ザ・キャタピラー」。
フーフーフーフーフーフ♪
フフーフフーフーフ♪
初期の暗黒サウンドからの脱却を模索して実験的なものとなった『ザ・トップ』を代表する曲だ。個人的にキュアーのドリーミー&ラブリー部門、最高峰のポップソングなのでは? と思う。ポップなメロディとサイケな味付けもさることながら、その歌詞がおもしろかった。
フカフカフカフカ 君がいる
カチカチカチカチ 君は毛虫の女のコ
君への思いがこみ上げて
望みを失ったボクの心を満たしてくれる
ああ だから 決してどこへも行かないで
17歳の女子高生なんて、一部を除いてほとんどが毛虫みたいなものだ(自己否定+いつか蝶になる、という希望的観測でいっぱいなお年頃)。この曲を聴いたとたん、私はロバちゃんに愛される「毛虫の女のコ」になってしまった!
カフカの『変身』を彷彿とさせる文学&変態的なニオイと、毛虫(女のコ)をただ見守り「いつかはボクの元から飛び去っていくんだね」と達観する大きなLOVEはニューウェーブ少女の大好物だった。
「ザ・キャタピラー」のPVがまた、ニューウェーブ少女たちにズキュン。温室のなか、青白い顔、ボサボサに立てた髪、黒い目張り、はみ出した赤い口紅で歌うロバちゃん。ファンの間では「ザ・キャタピラー」での彼が一番美しいという声も多い。
カチカチカチカチ キャタピラガール♪
そして、この「ザ・キャタピラー」の成功を足掛かりに、キュアーは完成度の高いポップソングを盛り込んだ『ヘッド・オン・ザ・ドア』と『キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー』で世界的ロックバンドになるのだ。ヘンテコな毛虫のうた、あなどるなかれ。
最後にこの頃のエピソードを。ザ・キュアーへの愛が高まった私は、高校の修学旅行のバスで「ザ・キャタピラー」を歌う、という暴挙に出た。もちろん洋楽カラオケなんかない時代。確かウォークマンで曲を聞きながらアカペラで歌ったか、テープをかけてもらって歌ったか…
仲のいいコたちは「何それー」とか言ってたっけ。
2016.07.05
YouTube / TheCureVEVO
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