ポリスの名盤『シンクロニシティー』から生まれた名作ミュージックビデオ。続いては「アラウンド・ユア・フィンガー(Wrapped Around Your Finger)」。
アルバムでは「見つめていたい」「キング・オブ・ペイン」と続いた後に収録されている。ドラマチックで感動的な2曲のあとにそれらの楽曲とはまた違った趣のある曲。最初はそういった理由である意味目立たない、地味な印象でした。しかしながらシングルカットされミュージックビデオを見てからは、がらっと印象が変わりました。
無数のキャンドルの中で演奏するメンバー達。動きはスローモーションなのに歌と口の動きは合っている。回転数をあげた曲に合わせてメンバーがパフォーマンスしたあとで通常の回転数の速度に画像を合わせる(スローにする)というアイデアですが、見た当時はやっぱり感嘆しました。
いろんな計算の下で各自動いているんでしょうが、完成した映像におけるあのふんわりとした動き(跳ね走りとでも言いましょうか)は非常に美しいものがあります。そしてあのキャンドルの迷路のような配置とやや高い位置からズームしてくるカメラワーク。絶妙ですねえ。
そうやって映像に魅了されているうちに楽曲の良さも徐々に沁みわたってきました。しかしドミノ倒し同様、撮り直しのテイクを重ねればスタッフ大変だったろうなと余計な心配もしたものです(笑)。
そして続く「シンクロニシティーⅡ」はそれまでの2本とはまた全く違った作品になりました。まるでジョン・カーペンター監督の映画や『マッドマックス』を髣髴とさせるディストピア世界を見事に表現。
メンバーの担当楽器によって積み上げられた瓦礫オブジェ(スティングはベースじゃなくてマイクスタンドなんですね)の上で演奏するバンド。ジャケットの配色を思わせる色使いを施した近未来風のファッション。そして通常にも増して目力の強いスティングの熱唱。スチュアートも気合の入ったドラミング。そしてあのアンディがギターをクラッシュ! なかなか熱いものがありますねえ。
実際ドライアイスを焚きまくり、扇風機で風を起こしまくりあのセットだったので現場は結構危険だったとか。
スコットランドの湖に潜む “何か” に対する恐怖を描いた詩はややミステリアスですが、こうした映像によってさらに色々な想像が膨らんでくるのがいいですね。
いやあ、ゴドレイ&クレームは3本ともいい仕事しました。その勢いでディストピアSF映画でも制作してもらいたかったくらいです(ミュージシャン出演で)。まあその後もフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「トゥー・トライブス」やモーフィングビデオの名作「クライ」(ゴドレイ&クレーム)など凄いミュージックビデオを多数制作してますので、映画の世界に行ってしまわないで正解だったかもしれません。
これらのミュージックビデオも含めて大成功のポリスは解散してしまいます。この『シンクロニシティー』で最高到達点に達してしまったのかもしれません。
そう思うようにしてます。それくらい最高の作品だから。
2018.01.18
YouTube / ThePoliceVEVO
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