動く薬師丸ひろ子! 1度しか放送されなかった資生堂のテレビCM
『野性の証明』公開の翌年、1979年1月4日。薬師丸ひろ子が出演するCMがこの日1回だけ放送されると聞き、これは見逃してはならないと、年が開ける前の早い段階からこの日の放送を楽しみに待っていた。
当時、薬師丸ひろ子はテレビに出演することがほとんどなく『野性の証明』以外、動く薬師丸ひろ子を確認するすべがなかった。
角川書店が発行する月刊誌『バラエティ』に毎月数ページの最新情報が載っている程度で、それも当然動かない。『野性の証明』に続く次の映画やテレビの出演を首を長くして待っていたのだ。
そのCMは正月特番として放送される映画『ウエスト・サイド物語』の途中で流れる3分間のCMだという。
これは絶対に見逃せない。
でもCMが何時に放送されるのかがわからなかったので最初からずっと『ウエスト・サイド物語』に付き合うしかない。初めて見るミュージカル映画は僕にはナニコレ状態で見ているのが辛かった。
それでも肝心のCMを見逃さないように頑張り続けた結果、待ちに待った動く姿を3分間も堪能した。堪能したのに、頑張りすぎて疲れていたのか、どんなCMだったのか記憶に残っていない。本編の映画の方は覚えているのに。
薬師丸ひろ子がカバーした映画音楽のスタンダード「Cinema Songs」
2016年11月23日、薬師丸ひろ子が歌う映画音楽のカバーアルバム『Cinema Songs』がリリースされた。洋画、邦画からスタンダードの12曲が収録されている。中でも「戦士の休息」は必聴だ。ひろ子バージョンが聴けるという驚きと嬉しさもあるが、オリジナルとは全く違う優しさが溢れる声が気持ちいい。
このアルバムを聴いていると、『ウエスト・サイド物語』の「トゥナイト」が収録されていないのはなぜか、と思うのは僕だけだろうか。
『ウエスト・サイド物語』でCMが放送された翌年の1980年1月3日。再び薬師丸ひろ子のCMが放送された。前年のCMとは違う新作で、この年は沢田研二主演のドラマ『源氏物語』の途中で流れるという。
ミュージカルではなかったが、残念ながら僕にはもう3分間のCMを見るために正月特番に付き合う気持ちはなくなっていた。
その2本の3分間のCMが YouTube に上がっている。もう二度と見ることはないと思っていたのに、なんだかすごい世の中だなぁ。
※2017年1月2日に掲載された記事をアップデート
2020.01.04