今日、僕が皆さんに紹介したいのは、ナイトフライトが1979年にリリースして、全米チャートで37位まで上がった「イフ・ユー・ウォント・イット」という曲だ。
ナイトフライトは、キューバ出身の白人ギタリスト、サンディ・トレノとマイアミ生まれの黒人シンガー、ハワード・ジョンソン。この2人からなる白黒混成ユニットである。
この曲が収録された彼らのデビューアルバム『ナイトフライト Ⅰ』は、発売当時『夢のマイアミ・ナイト』という邦題が付けられ、レコードの帯には「澄みきった星空、甘く香る大気、マイアミ・ナイトを楽しむにはバックにこの曲が流れてなきゃ…」と書かれていた。
確かに、このサウンドはとても抜けがよく、爽やさに溢れている。ジャンルとしては、ソウルミュージックともAORとも言えそうだ。このアルバムにはデイヴィッド・サンボーン、スティーヴ・フェローン、アヴェレイジ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュアート、ランディとマイケルのブレッカー兄弟といった錚々たるメンバーが参加していて、それだけでも聴くに値するのではないかと思う。
シングルカットされた「イフ・ユー・ウォント・イット」は、ひたすら「If you want it you can get it with your love」と繰り返しているだけだが、ギターのカッティングに2人のボーカルが絡み合う感じがとても心地よい。
ところで、この曲(特にイントロのギター)を聴いたら、日本の音楽ファンの誰もが、1人の日本人アーティストの名前を思い浮かべるのではないだろうか。もちろん山下達郎だ。
実は、僕がこの曲を初めて聴いたのは、彼のラジオ番組だった。FM東京(現TOKYO FM)の『サウンドアプローチ(山下達郎の世界)』という番組で、80年2月に彼のスタジオライブが放送されたのだが、その中で「イフ・ユー・ウォント・イット」が演奏されたのだ。
スタジオライブに出演したのは、山下達郎、青山純、伊藤広規、椎名和夫、難波弘之、土岐英史、吉田美奈子の7人。ちなみに、その後、このメンバー全員がヒット曲「RIDE ON TIME」や名盤『FOR YOU』のレコーディングに参加することになる。
今思い出しても、この時の演奏は本当に圧巻で、特に「イフ・ユー・ウォント・イット」での山下達郎と吉田美奈子のデュエットは、それはそれは素晴らしかった。僕にとっては、日本で一番好きな男性ボーカリストと女性ボーカリストのコラボレーションだった訳で、この放送を聴くことができた自分の運の良さを誇らしく思うのだった。
Niteflyte / If You Want It
作詞・作曲:Sandy Torano, Howard Johnson
プロデュース:Sandy Torano, Barry Mraz
発売:1979年1月1日
2017.12.09
YouTube / conkyjoe
YouTube / Keir Hardie
Information