昔は、海外のアーティストのパフォーマンスを見るためには、極端に言ってしまえば来日公演を切望する以外ありませんでした。
ミュージックビデオが流行した80年代に1曲のパフォーマンスは見られてもライヴをまるまるテレビで見ることはなかなか叶わず、ラインナップ的には乏しいライヴ作品のVHSやレーザーディスクを高価で購入するくらいしか道はなかったのです。
それでも見たい長尺の海外アーティストのパフォーマンス。そうだ、音楽映画ならレンタルビデオで見られる!
ということで、『ウッドストック』やザ・バンドの『ラスト・ワルツ』、ストーンズの『レッツ・スぺンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』、ウイングスの『ロック・ショウ』などなど、いろいろ借りてきて観たもんです。そんな音楽映画のなかで私が衝撃を受けた1本。それが、トーキング・ヘッズの『ストップ・メイキング・センス』です。
84年公開時はミニシアター中心でのロードショー。中学生だった私はまだミニシアターなどよくわからず、映画館での鑑賞を逃し、レンタルリリースを待ち続けなんとか観ることができました。「ライヴ映画が見たい」という気持ちが強すぎてトーキング・ヘッズというバンドもあまり知らなかったという「順番が違うだろ」というツッコミを受けそうな状況下での視聴。
トーキング・ヘッズといえば実際、日本ではまだそれほど知名度は高くなく、この『ストップ・メイキング・センス』以降、CM(サントリー ヨーハイ)に出演したりして広まったように記憶しています。私も『ストップ・メイキング・センス』と次作のアルバム『リトル・クリーチャーズ』で完全にファンとなりました。
で、肝心の映画の中身のほうですが、もう強烈な印象。ここで繰り広げられるコンサートは、私がそれまでに知っていたコンサートの概念からは全くあてはまらないものだったのです。
監督は『羊たちの沈黙」『フィラデルフィア』で知られるジョナサン・デミ。トーキング・ヘッズのライヴを見て衝撃を受けたジョナサン・デミが、ミュージカルなどが行われるハリウッドの劇場を使って収録しました。
ちなみにジョナサン・デミは音楽関連では、ニール・ヤングのドキュメンタリーやニュー・オーダーの『パーフェクト・キッス』MVなどを手掛けたりもしています。また、70年代には『刑事コロンボ』で1本監督しています(美食の報酬、というエピソードでコロンボ・ファンからはそんなに支持されてませんが、けっこう私は好き)。
と、また横道にそれそうなので、明日のvol.2へつづきます。
2017.03.20
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