10月10日

【ゼルダ】映画「ストリート・キングダム」に登場した東京ロッカーズのバンドたち

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日本のガールズバンドのパイオニア、ゼルダ


地引雄一によるノンフィクション『ストリート・キングダム 東京パンク/インディーズ・シーンの記録』(ミュージック・マガジン刊)に基づき、1970年代後半〜1980年代前半のインディーズ・アーティストたちの青春群像を描いた映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』。熱気に満ちたこの作品は、実在のバンドが架空の存在として描かれているが、それぞれの楽曲はそのまま使用されている。

個人的に嬉しかったのは、日本のガールズバンドのパイオニア、ゼルダの前史が描かれていたこと。原作にもそれについての記述はあるが、やはり映像で再現されるとインパクトがある。筆者のゼルダへの私的思い入れは以前のRe:minderコラムに記したので、ここではこの映画におけるゼルダの取り上げられ方と、東京ロッカーズというムーブメントの中での立ち位置について記しておこうと思う。

後にゼルダを結成するベーシスト、小嶋さちほをモデルにしたサチ


本作の主人公は原作者の地引をモデルにしたカメラマンのユーイチ。1978年、彼はイギリスで流行していたパンクロックに刺激を受け、東京のアンダーグランド・ミュージックシーンに飛び込む。彼をこの世界に引き入れたのは、ストリートロックのミニコミ誌を発行していたサチ。後にゼルダを結成するベーシスト、小嶋さちほをモデルにしたキャラクターで、劇中ではヒロインと呼ぶべき存在だ。彼女はモンキー・モンキーというバンドのメンバーで、スタジオで演奏する場面もある。これも当時小嶋が参加していたボーイズ・ボーイズというバンドを仮託したもの。

サチは東京のロックシーンでカリスマ的な支持を得ていたバンド、TOKAGE(モデルはリザード)のスタッフもこなしていた。そのリーダー、モモとサチ、そしてユーイチの共闘はここから始まり、それは友情を育むことになる。この3人の強いつながりは、原作では読みとれないのでどこまでが事実かはわからないが、少なくとも劇中ではエモーショナルな効果を上げており、好感を抱いた。



当時まだ中学生、高橋サヨコがボーカルとして参加したゼルダ


さて、ゼルダの結成に話を移そう。1979年に小嶋がミニコミ誌を通じてメンバー募集を呼びかけ、当時まだ中学生だった高橋サヨコ(劇中名:加世子)がボーカルとして参加。ここからバンドが動き出す。劇中、ユーイチはサチから加世子を紹介され、中学生であることに驚くというシーンがあるが、原作によると地引に佐代子を紹介したのは当時、シーンの顔役的存在だったS-KENとのこと。

また、ゼルダは劇中ではロボトメイアというバンド名で描かれているが、これはファーストアルバムの収録曲から採られている。ロボトメイアの初登場シーンで流れる「うめたて」は1983年にリリースされたセカンドアルバム『CARNAVAL』の収録曲だが、ライブでは初期からプレイされていた。劇中では、新たなバンドがシーンに乗り込んできたことの興奮を伝えるようで、観ていて嬉しくなってくる。

どこか硬質でスリリングな東京ロッカーズの時代の新しい音


映画の中で、これと対照的な使われ方をしているのが、もうひとつの代表曲「ASH-LAH」だ。1980年、ロボトメイアはモモのプロデュースでこの曲のレコーディングを行なっているが、ヘロイン中毒でやる気を失っているモモはまったく役に立たず、サチを怒らせる。原作ではサラリとふれる程度だったこのエピソードに、深く切り込んでいる点が興味深い。映画の中のエピソードとしては胸が締めつられる思いだ。

改めてゼルダの楽曲を聴くと、1980年当時には斬新だったことがよくわかる。「うめたて」はスカのビートを基調にした陽性のナンバーだが、変幻自在のサヨコのボーカルや予測不可能なアレンジにふれると、南国的な空気感はいっさい感じられず、むしろニューヨークパンクに近い音。どこか硬質でスリリングな雰囲気は、まさに東京ロッカーズの時代の新しい音だったのだ。


ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。


▶ 公開日:2026年3月27日
▶ スタッフ:
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
▶ キャスト:
峯田和伸、若葉竜也、吉岡里帆、仲野太賀、間宮祥太朗、中島セナ、神野三鈴、浜野謙太、森岡龍、山岸門人、マギー、米村亮太朗、松浦祐也、渡辺大知、大森南朋、中村獅童
▶ 企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
▶ ⓒ 2026 映画『ストリート・キングダム ⾃分の⾳を鳴らせ。』製作委員会

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2026.04.01
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カタリベ
1966年生まれ
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