実はこれから書こうとしている日本のバンド、ボ・ガンボス(Bo Gumbos)についてはよく知らない。
よく知らないからこのバンドを聴かないと夜も日も明けないとか暮れないとかないし、いわんやこのバンドの知名度を上げようとかそんな大それた望みがあるはずもなく、それでも書こうというのはひとえにたった1曲が頭から離れないから。
ボ・ガンボスは1987年に結成され、ファースト・アルバム『Bo & Gumbos』は1989年に発表された。ボーカルは「どんと」(久富隆司さんというのかぁ。Wikiさん有り難う)。彼についてはインディーズ・ブームの真っ盛り、「ローザ・ルクセンブルグ」というバンドに(ピエロみたいな)おかしなメイクと格好をした凄いヴォーカルがいるというので名を聞いていたし、インディーズ・フェスティバルの写真も見ていたけど、結局話題先行で聴かずじまい。
87年にローザ・ルクセンブルグが解散し、ボ・ガンボスが結成されてとにかく評判が高く活動が派手でやっぱり話題性にこと欠かなかったのにやっぱり真面目には聴かずじまい。
そのうち、どんとさんが亡くなって(2000年、享年37歳)、その頃には僕はフランスにいたしネット環境になかったから日本での話題にもついていけてなかったし、再ブームがあったのかどうかよくわからないけど、それ以降はどんどん(と)再発、ベスト、コンピ、リマスターなんかが増えていったみたい。
それで或る晩、呑みの場で元ハードコア・バンドの**さんの口からボ・ガンボスの思い出話がでたり、 隠れた名曲の多いYahoo!band(やっほー!バンド)の中でも僕が愛してやまない「シリウスの彼方へ」でヴォーカルをとったサヨコさんが所属していたガールズバンドZELDAの小嶋さちほさんがどんと夫人だとわかったり、留学先で会った日本人の女の子が当時何がなんでもどんとのお嫁さんになると決意していたのにステージ上で結婚を知らされ青ざめ生きた心地もしなくなってもう帰りたいと思ったなんてトリビアを耳にしたりと、とにかく僕の中で真面目に聴いてみたい熱が盛り上がる。
で、いつもの習慣で聴くならまずファーストと結構苦労して探し買い求め、そうだそうだこんな曲があったなぁ、有名だったよなぁと感慨にふけっていたら、UA&LITTLE CREATURESがその曲をカヴァーしているのを発見(このヴァージョンの洗練度合いったら,もう壮絶)。
EGO-WRAPPIN'の中納良恵さんが同じ曲をカヴァーしているのも見つけ、おまけに、御本人の曲は1曲も知らないハナレグミのヴァージョンもYouTubeにあがってるし。
個人的にはファーストに収録されていた「見返り不美人」とかばかばかしくて好きだし(お尻と後ろ姿がイカした女性の顔をみたらがっかりしたからどうか振り向かないでと懇願する歌)、「ポケットの中」はハイポジ(Hi-Posi)が軽妙に暢気に面白おかしく歌っていてずばり80年代の雰囲気を伝えているから気に入っているんだけど、どうにも聴くたびに胸がつまるのはやはり「トンネルぬけて」。
どうやったらこんな詞が書けるんだろう……。
2017.01.19
YouTube / nighttripperyeah
YouTube / SongsintheAttic2005
YouTube / kyaraway
Information