1989年から1990年までTBSで深夜に放送されていた勝ち抜き型バンドオーディション番組『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』通称『イカ天』、覚えているでしょうか。年齢や性別、音楽ジャンルに関わらず様々なバンドが出演していた。
個性溢れる出場者たちに与えられるのは3分間の演奏時間。審査員のダメ出し赤ランプが点く度に演奏画面が小さくなっていくというワイプ攻撃システムが評判になったり、そのワイプ攻撃に怒ったあるガールズバンドのヴォーカルが生放送中「ズボン脱ぐぞ」と言いながらパンツまで脱いでしまったというハプニングも発生した。出場者だけでなく、審査員も個性的でバラエティ色があり初回放送から注目を集めていった。
毎週勝ち抜いて残ったバンドにはレコーディングの権利が与えられ、当時のアマチュアバンドには魅力的な番組だった。その後、彼らのライブで日本武道館が埋まる程の人気番組になったこともあり、この番組からデビューしたバンドも数々いた。
中でも個人的に注目していたのは、ホコ天のボン・ジョヴィ、五代目IKA-TEN KINGのRABBITだった。確か「Good time & Bad time」を聴いて「いいね!」って思った。
彼らの音楽は、ヴォーカル・岩佐友晴のヴィジュアルと同じく爽やかさを持ち合わせていた。ポップでメロディックでありながらも、ギターの野下俊哉、ベースの芝越康裕、ドラムス・林利樹が支えるロックなサウンドは “ホコ天のボン・ジョヴィ” と言われる所以だった。
アイドル的なルックスのフロントマンに、ロックなバンド―― そこはかとなくミッシェル、スージー、ポッキーのLAZYを思い起こさせた。
1989年に「Good time & Bad time」をリリース、イカ天出身バンドとしてはメジャーデビューが一番早かったのではないかと言われている。そして「Thank you my Girl」が1992年に石田ひかり主演のTVドラマ『悪女(わる)』の主題歌となり一番のヒット曲となった。
実は『イカ天』が終了してからは、RABBITの動向を詳しくは知らなかった。番組終了後、約2年ぶりに聞いたRABBITの名と曲、「Thank you my Girl」はバラードでありながら、間奏のギターソロから大サビの部分で一気にリズム変化する。持ち前のロックテイストは健在、お気に入りの曲となった。
確かその頃カラオケに入っていたのを見つけ歌ったような… そうそう、カラオケボックスが主流になったのもこの頃だった。
今思えばバブル期真っ只中から崩壊へと向かった平成最初期、日本ではTM NETWORKからB'z、世界ではガンズ・アンド・ローゼズからニルヴァーナと、音楽的にも転換期であった… そんな時代にホコ天から『イカ天』というTV番組を経て夢のようなメジャーデビューを果たしたRABBIT。
2018年、「平成」という元号に終わりが近づいている現在、今一度あの頃を思い返してみてはいかがだろうか。
2018.01.16
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