7月に入ってそろそろ夏本番。僕にとって、“夏といえば” というアーティストはサザンオールスターズなんだけど、サザン以外でも、“夏といえば” というアーティストはもちろんいる。その一人が「杏里」だ。
1987年の5月に杏里の「SUMMER FAREWELLS」はリリースされる。彼女の11枚目のオリジナルアルバムだ。この年の夏は僕にとってちょっと特別な夏で、僕はこのアルバムと一緒に、このちょっと特別な夏を過ごすことになる。
1987年の夏が僕にとって何がちょっと特別だったかというと、学生最後の夏(夏休み)だったということ。来年からは社会人、小学校から大学まで続いたひと月を超えるような長い夏休みはもう無いんだなぁ〜という悲しみと、じゃあ最後の夏休みだから思いっきり遊ぼう〜と思っても就職活動でそうもいかないというもどかしさと、もちろん、いよいよ社会人かぁ〜という期待感もあったりして、もの凄く複雑な夏だったんだ。
そんな僕の複雑な心境とこのアルバムは、その「SUMMER FAREWELLS」というタイトルも相まって、見事にマッチしたんだと思う。つまり、子供から大人へと移り変わらないといけない、今までの人生に別れを告げて、新しい人生に向かい合わないといけないという僕の覚悟を、杏里は「夏よごきげんよう(さようなら)」と代弁してくれたんだ、と僕は勝手に思っている。いみじくも、この年の6月、サザンオールスターズは、2枚目のバラードベストアルバム「バラッド2 '83〜'86」をリリースしていて、僕のこの複雑な夏をバラードで演出してくれた、、、杏里もサザンもなんてお節介なんだろう。
杏里はこの「SUMMER FAREWELLS」で尾崎亜美や角松敏生によるプロデュースから卒業して、杏里本人によるプロデュース活動を開始しています。だから彼女も、1978年のデビューからこのアルバムをリリースするまでの杏里と別れを告げて、新しい杏里に “こんにちは” と言いたかったんじゃないかな。僕は、角松敏生プロデュース時代の洗練された都会のイメージの楽曲も好きだけど、このアルバム以降の杏里作曲の楽曲のほうが好きだ。このアルバムからのシングルカットは「HAPPYENDでふられたい」と「SURF & TEARS」の2曲。いづれもJTのサムタイムのCMソングに採用されています。夏を感じさせるダンサンブルなこれぞ杏里って感じがサイコーです。
2016.07.20
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