6月21日

J-POP界の開発屋、なぜ角松敏生はいつも早すぎるのか? vol.3

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photo:@0onos  

(vol.2からのつづき)

NYのコンクリートジャングルを後にした、J−POP界の開発屋こと角松敏生。やっぱり原点の「夏」が恋しくなったのか、海に戻ってくる。しかし、彼が漂着したのは、なんと《Tokyo Tower》から1,600キロも離れた琉球の地だった。そして、沖縄とブラコン(+コンピュータ打ち込み)を融合させるという大胆な異種混合の実験をやり出すのである。

もともとデビュー当初から「日本古来の祭りの音頭」を「コンテンポラリーなダンスミュージック」に取り入れる試みをしていた角松だが、マンハッタンで己がアジア人であるとの思いを強くしたのだろう。当時のインタビュー記事で「キーワードは、ズバリ民族。沖縄、バンコク、バリ系統の音楽。それと黒人音楽をコラボレーションしたい、結構えげつなくね(笑)」と語っている。

しかも、それらの民族音楽の要素を、NYの売れっ子音楽ユニット「ザ・システム」をプロデューサーに迎えてエレクトリック・ポップの音で包んでしまおうというのだ。会社にたとえるなら、それまでは向こうの最先端グッズを一方的に輸入してるだけだったのが、こんどは米国の会社と合弁で、しかもNYでも東京でもない沖縄に会社をつくっちゃおうぜ、みたいな話。普通だったら部長に「おいおい君、この合弁事業ホントにイケるのか?」と怪しまれるところだ。

今でこそ沖縄の要素をとり入れた楽曲は珍しくないが、80s終わり(ベストテン番組では、プリンセスプリンセス、光GENJI、Wink、工藤静香らがもてはやされていた)頃に沖縄三線の音色や「アイヤ〜」の合いの手リズムは、そうとうにヘンテコな印象を持たれたことは確かだ。当然ながら、THE BOOM「島唄」よりも、BEGINの「いかすバンド天国」出場よりも前の話である。開発部の角松課長、早すぎだっつーの。

実は私も、最初に角松の新曲『Okinawa』のイントロを耳にしたとき「あれ?このCD中身を間違えてるのかな?」と思ったくらいだ。ましてそれまでのミーハー角松ファン(主に20代OL)には違和感ひとしおだっただろう。

だが、さすが、我らがKADOMATSU、少し早すぎたきらいがあるが、これに関しては先見の明があった。この民族音楽へのアプローチが無かったら、10年後の『WAになっておどろう』(覆面バンドAGHARTA名義で、角松=長万部太郎)は生まれなかっただろう。それになにより、オリンピックの閉会式で演奏した日本のミュージシャンは、彼ぐらいのものだろう。開発というのは、10年単位でみるものなんですよ(キリッ

ま、同じころ創った『This Is My Truth』が、田村正和(当時大人気!)主演の日テレ「敵同志 好き同志」テーマ曲になるも、肝心のドラマが大コケしたのはご愛嬌ですが。


(つづく)

2016.05.19
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OKINAWA / 角松敏生



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