10月15日

足かけ38年「帰ってきた あぶない刑事」舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオルの奇跡

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「あぶない刑事」の歴史を振り返る


圧倒的な人気を誇る刑事ドラマ『あぶない刑事』。今回、本作について語ろうと思うのだが、まずは軽くその歴史を振り返ってみたい。

―― テレビシリーズ『あぶない刑事』の放送が始まったのは1986年10月、当初2クール(半年間)の予定だったが予想以上に人気が出たため、さらに2クール延長。結局、翌年の1987年9月まで1年間放送された。すぐに劇場版第1弾『あぶない刑事』が制作され12月に公開、そこからおよそ半年後の1988年7月には劇場版第2弾『またまたあぶない刑事』の公開にこぎ着けた。

その勢いに乗ったまま、10月からテレビシリーズ2作目になる『もっとあぶない刑事』を放送。1989年3月末に放送が終わるや否や、4月には劇場版第3弾『もっともあぶない刑事』を公開するという怒涛の展開である。ひと息ついて、1996年には劇場版第4弾『あぶない刑事リターンズ』、1998年にはスペシャルドラマと映画で前後編に分けた『あぶない刑事フォーエヴァー前編(テレビ)』『あぶない刑事フォーエヴァーTHE MOVIE(劇場版第5弾)』、そして2005年に劇場版第6弾『まだまだあぶない刑事』、さらに2016年には劇場版第7弾になる『さらばあぶない刑事』を公開した。まさにドル箱、凄まじい人気なのは間違いない。

人気の秘密はタカ&ユージのスタイリッシュさ


何がそんなに人気なのか… それは、主役の鷹山敏樹(タカ / 舘ひろし)と大下勇次(ユージ / 柴田恭兵)のカッコよさに他ならない。彼らの軽妙なトーク、洗練されたアクションなど、後に一時代を築くトレンディドラマの男性陣と比べても遜色ない。それくらい、当時『あぶない刑事』におけるタカ&ユージのスタイリッシュさは際立っていたのだ。

たとえばこんなシーン… 煙草に火をつけるときは必ずマッチを使うこだわりや、煙草を指の根元深くに挟んで、さり気なく顔を覆うダンディな仕草(タカ)。サングラスを外すとき、僅かに乱れたリーゼントをサッと直すセクシーな素振りと振り向いたときの爽やかな笑顔(ユージ)などなど。挙げ始めるとキリがないが、そんなちょっとした所作ひとつとっても実にクールなのである。とにかく、服の着こなしから装飾品ひとつに至るまで、何から何までカッコいい。そう、それまで武骨だった刑事という役柄のイメージを、これ程までスタイリッシュに魅せるドラマは存在しなかった。



日本の刑事ドラマが、海外バディ系ドラマから辿ってきたオマージュの系譜


バディ系の警察ものドラマというと、海外ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』(1977年~1981年)や『白バイ野郎ジョン&パンチ』(1981年~1982年)が有名だけど、この辺りの掛け合いコミカルな部分を日本の刑事ドラマで取り入れたのが『噂の刑事トミーとマツ』(1979年~1982年)である。

そこに『太陽にほえろ』シリーズ(1972年~1986年)や『大都会』シリーズ(1976年~1979年)などで描かれた、捜査員の苦悩や犯人の内面でうごめく葛藤を上手く組み合わせ、さらに『西部警察』シリーズ(1979年〜1984年)で視聴者を魅了した大掛かりなカーチェイスやガンアクションを取り込んで作られたのが『あぶない刑事』といえよう。

最近ではとんと拝むことのできないカーチェイスだが、『あぶない刑事』では毎週のようにカーチェイスシーンが盛り込まれていた。まだまだ寛容な時代だったのだ。拳銃を扱うシーンも、『踊る大走査線』(1997年)の辺りから劇的に減ってしまったが、『あぶない刑事』では、タカとユージが犯人と繰り広げる銃撃戦が毎回のようにあり、それが見どころのひとつであった。リアルよりも豪快な映像でスカッとしたい時代であり、まだまだ派手な演出を求める視聴者が多かったのだ。

昭和の刑事ドラマの豪快なアクションシーン


時代は移り変わる… いまの時代、視聴者は刑事ドラマに関してスケールの大きいド派手な演出よりも、謎解きや、警察内部のリアルな設定を求めるようになった。ノーヘルでバイクに跨り手放しでショットガンをぶっ放して犯人を追い詰めるようなシーンは不適切なのだ。ただ、令和の時代に生きる昭和の残党としては「たまには豪快なアクションシーンも観たいよ」と、物足りなさを感じてしまうのも事実。

そんな僕の思いを知ってか知らずか、『あぶない刑事』で脚本を担当した柏原寛司氏は、とあるインタビューで興味深いコメントを残している。

振り子と一緒で、片方に振れるとまた元へ戻ってくると思います。アクションものは「あぶデカ」で振り切っちゃったので、それが戻ってきて、今度は逆に本格ミステリーみたいな謎解きの話になりつつ、その前に「踊る大捜査線」で警察内部の話、それから普通の刑事の話になって、ミステリーにいって、警察内部の話になって…。いつかまた、アクションものに戻る気がしています。

「あぶない刑事」シリーズを支えた脚本家・柏原寛司氏【独占】インタビュー!<後半>30年続いた「あぶデカ」を振り返る!(東映チャンネル)



現時点での刑事ドラマは、派手なアクションが下火のままだけど、その流れはまた形を変えて戻ってくるのかもしれない。2023年放送の『大病院占拠』や続編の『新空港占拠』では、CGとはいえマシンガンの連射や爆破シーンを取り入れている。

コメディ場面も秀逸だった「あぶない刑事」


『あぶない刑事』の演出の極みは、タカとユージというバディに加え、真山薫(カオル / 浅野温子)と町田透(トオル / 仲村トオル)という異なるキャラクターをコメディリリーフとして投入したところだろう。これによって硬派なアクションシーンとのギャップに厚みが増したのは言うまでもない。

ちなみに、柴田恭兵は『俺たちは天使だ!』(1979年)のDARTS(ダーツ)役で、都会派気取りの軟派男を演じた実績がある。ただ、それ以外のメンバーは、視聴者をくすりと笑わせるようなコメディ演技とは無縁であった。

ところがだ…『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)で映画デビューしたばかりの仲村トオルは、当時まだツッパリ役の印象しかなかったのだが、回を重ねるごとにいじられ役の演技がツボにハマっていった。浅野温子も、クールビューティーという “いい女” ポジションの映画女優だったのに、ドラマ中盤からはコスプレを披露するまでになってゆく。舘ひろしに至っては、後の映画「免許がない!」(1994年)で、強面な俳優という自身が持つキャラクターをコメディに繋げる抜群のセンスを披露したのだ。それぞれのコメディ演技の下地は、実はこの『あぶない刑事』で磨かれていたのかもしれない。

もうすぐ公開、8年ぶりになる最新作「帰ってきた あぶない刑事」




2023年11月1日、『さらばあぶない刑事』(2016年公開)から8年ぶりになる最新作『帰ってきた あぶない刑事』の製作発表会見が行われた。劇場版第8弾である。公開日は2024年5月24日… 1986年のテレビ放送開始から数えると足掛け38年間であり、前代未聞の長寿シリーズという記録を樹立した。

ちなみに、メインキャストがずっと変わらずに演じきった長寿シリーズといえば、『3年B組金八先生』(1979年~2011年)や、『北の国から』(1981年~2002年)などを思いつくが、どんなに面白い内容のドラマであっても、主役を演じる俳優が長きに渡って第一線で人気を維持し続けていなければシリーズ化は成り立たない。

さらにそれと同じくらい大事なのは、健康に留意して体調管理を徹底し、見た目のプロポーションを維持し、さらに暴力や薬物など法に触れる犯罪に手を染めず、不倫などのスキャンダルがないことである。華やかな芸能界ゆえに誘惑は多いし、撮影現場の都合で不規則な生活で健康を害する可能性も極めて高い。一線で活躍し続けられる俳優は、本当にごく一握りなのだ。

『あぶない刑事』の場合、この難易度の高い条件が4倍になる。舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオルというメインキャスト4人のうち、誰かひとり欠けてもスペシャル版が作れないからだ。こう考えると、テレビ放送初回から38年経ってなお最新作を手掛けられたというのは奇跡中の奇跡としか言いようがない。4人の俳優それぞれが第一線で輝き続けている実績によってこの奇跡が生まれたのである。

先日中継された記者会見映像で見る限り、彼らのカッコよさは健在だし、予告編映像のふたりに衰えは感じなかった。記者会見の場で浅野温子はふたりのことを “ゾンビ” だと笑って紹介していたが、猛然と駆け抜けるシーンがあることを明かした柴田恭兵をはじめ、4人それぞれが重ねてきた陰の努力は相当であろう。

それにしても、僕らのタカ&ユージが再び活躍する日がくるとは思わなかった。『帰ってきたあぶない刑事』に期待しかない。公開までまだ時間があるので、この機会に『あぶない刑事』シリーズをちょっとおさらいしてみてはいかがだろうか。


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2024.03.31
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