oasisの映画『スーパーソニック』を観ました。イギリス・マンチェスターのいちインディーズバンドが、シーンを駆け上がり、2日間で25万人を動員し90年代最大と言われるネブワースパークでのライブに至るまでのドキュメンタリー。1994年−96年、わずか2年半の出来事です。
1994年というと僕は20歳。彼らの快進撃に熱病のようにうなされる日々で、oasisの曲を聴かない日なんてきっとなかったんじゃないかと思う。その熱病に冒されるがまま、僕はバックパックを背負い、96年にはひとりネブワースパークに行きました。
フジロックがはじまる1年前。まだ日本に今のようなロックフェスがなかったあの時代のネブワースの体験に「これがオレが憧れ続けたロックの歴史的瞬間ってやつで、オレはそれに今まさに立ち会っているんだ!」とひどく興奮して、その興奮のまま音楽業界に入りフジロックにも行き続けるということになったわけで、もしあの体験がなかったら、体のいい言い訳をして憧れの音楽の仕事につくのも諦めてったんじゃないかと思うし、きっとそこを離れて地方でベンチャーを起業するなんてこともなかったんじゃないかと思う。
後ろ盾もなくベンチャーなんてやっていると、ロックバンドみたいだなと年甲斐もなくワクワクします。「金はないけど夢はある」なんてね。いつケンカして解散するかわからないし、鳴かず飛ばずで終わるかもしれない。ちょっと売れたらメジャーからの投資なんて話もあるかもしれないから「魂を売るか否か」の選択を迫られたりするのかもしれない。
oasisを知らない人、興味がない人にはまったく退屈極まりない物語かもしれない。音楽に共時性は大切だ。あの時代、あの頃でなければ、oasisの音楽はあんなにも響かなかったのかもしれない。映画中でノエルはこんな風に言っていた「あの頃、俺達についてきてくれたファンたちの物語だ」。そういうバンドが同じ時代にいてくれたことが、正月早々たまらなくうれしい。
2017.01.25
YouTube / 映画 KADOKAWA
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