4月7日

遂にアメリカを完全制覇「白蛇の紋章」はホワイトスネイクの最高傑作

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ホワイトスネイクのアルバム「白蛇の紋章〜サーペンス・アルバス」がリリースされた日
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photo:FANART.TV  

『白蛇の紋章~サーペンス・アルバス』は1987年に発売されたホワイトスネイクの7枚目のスタジオアルバムだ。今年はちょうど発売から30周年。先日、ワーナーミュージック・ジャパンより、30周年記念エディションの発売が発表された。最新リマスター音源に加え、数多くの未発表音源を収録するという。日本での発売日は未定らしいが、今から待ち遠しくて仕方がない。

このアルバムは、HM/HRのジャンルでありながら、ビルボード全米アルバムチャートでは最高2位まで登り詰め、現在までに1000万枚以上のセールスを記録しているモンスターアルバムだ。ホワイトスネイクは、このアルバムで念願だったアメリカでの成功を手にし、以降、名実ともにトップバンドとして君臨することになる。

ディープ・パープル時代からヴォーカルのデイヴィッド・カヴァデールを崇拝していた僕には信じられないことだけど、このアルバムが発売される前まで、ホワイトスネイクはアメリカでは無名に近い存在だったという。ヨーロッパや日本ではビックネームとして高い人気があったにも関わらずだ。

結局、アメリカで成功しないと一流ミュージシャンとして認められないというこの風潮を、僕は “いかがなものか” と常々思っている。でも、ビジネス的な成功を収めるためにはアメリカでの成功が必要不可欠だし、アメリカで売れるために、アメリカにすり寄っていくのもしょうがないとも思う。でもせめて、基本的な方向性は変えて欲しくはないと思うんだ。

デイヴィッド・カヴァデールは基本的な方向性を変えることなく見事にやってのけた。ホワイトスネイクの根幹は以前のコラムにも書かせてもらったけど、ブルージーなHRだ。このアルバムはブルースを基調としたHRの一つの完成形であると僕は思う。

この時期全盛を極めていたLAメタルにすり寄ったという古くからのホワイトスネイクファンもいるかもしれないが、それは、この時から金髪に変わったデイヴィッド・カヴァデールの見た目と、シングルカットされたPVのゴージャスさからのものだと僕は思う。

断言してもいい。このアルバムは歴史に残る傑作である。過去のアルバムに収録されていた名曲「クライング・イン・ザ・レイン」と「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」のセルフカバーも収録されていることから、ホワイトスネイクのベストアルバムと言っても過言でないのはもちろん、HM/HRというジャンルを超えても名作としてカウントされるに値する出来だ。

洗練された楽曲のアレンジ、万人受けするであろうメロディー、ドラマティックで考え抜かれた曲順、そして何と言っても見事なデイヴィッド・カヴァデールの歌声。このアルバムの収録の前に、ポリープの手術をしたことが功を奏して、デイヴィッド・カヴァデールのシャウトは、より一層凄みを増している。ホワイトスネイクを聴いたことがない方にも是非聴いてもらいたい。

でも、残念なことが1点。デイヴィッド・カヴァデールは、前作の『スライド・イット・イン』からアメリカでの成功を強く意識するようになり、創成期からのメンバーに別れを告げ、新しいメンバーで活動を開始しているのだけど、人事異動が激しいこの業界よろしく、このアルバムでも曲作りに大きく貢献していたギタリストのジョン・サイクス(元シン・リジィ)が、アルバムの発売を待たず脱退してしまうのだ。

ジョン・サイクスなくしてここまでの完成度に仕上がることは出来なかったはずだから残念でしょうがない。エンベッドしたのは、シングルカットされた3曲。

このPVのメンバーは、レコーディングに参加したメンバーではない、というところが、なんとなく納得出来ないのは僕だけだろうか。集められたメンバーは、エイドリアン・ヴァンデンバーグ、ヴィヴィアン・キャンベル、ルディー・サーゾ、トミー・アルドリッジというHM/HRファンにはよだれがでるような豪華なメンバーなんだけどね。

アルバムタイトルにあるサーペンス・アルバスとはラテン語で「白蛇」のこと。アメリカでのアルバムタイトルは『ホワイトスネイク』、ヨーロッパでは『1987』。日本のタイトルが一番凝っているとは思うけど、いづれにしても原点回帰として付けられたタイトルから見ても、このアルバムに対するデイヴィッド・カヴァデールの本気度がヒシヒシと伝わってきます。

30周年記念エディションの発売を待つも良し、1987年のCDを聴くも良し、ハード・ロックの旨味が完璧な形で凝縮されているこのアルバムをどうぞ召し上がれ。久しぶりに聴く方、初めて聴く方、カッコ良くてゾクゾクしますよ。

ちなみに、僕が一番好きな曲は、シングルカットされていない2曲目の「バッド・ボーイズ」です。これぞデヴィカヴァ。

2017.09.02
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カタリベ
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